週刊高知の子どもニュース 2020年8月30日~9月5日
9 月に入っても暑い日が続いています。新学期が始まった子どもたちは暑さに負けず、元気に過ごしています。
南国市の国府小学校の 6 年生は、土佐日記の作者、紀貫之が立ち寄った高知県東部の港などを訪ねました。6 年生は毎年、滋賀県大津市にある貫之のお墓参りをしていますが、今年は新型コロナウイルスで中止に。遠出できないことは残念でしたが、高知県内にゆかりの地がたくさんあることを知るきっかけになったそうです。
土佐清水市では市内 5 校の合同修学旅行に向けた事前交流会が開かれました。修学旅行は広島県などから高知県内に変更され、平和学習も戦時の土佐清水がテーマになりました。コロナの影響で学校の授業も行事もこれまで通りにはできませんが、子どもたちは工夫しながら学びを深めています。
2020 年 8 月 30 日~ 9 月 5 日の子どもたちのニュースを、高知新聞の紙面からお届けします。
目次
紀貫之に思いはせて 南国市 国府小児童 ゆかりの地へ
(高知新聞 2020 年 8 月 30 日朝刊より)
南国市国分の国府小学校の6年生が28日、土佐日記の作者、紀貫之を顕彰しようと、帰京時に立ち寄った県東部の港などを訪れた。俳句作りにも挑戦し、平安の歌人に思いをはせた。
同校児童は2003年から毎夏、同市の「国府史跡保存会」(岩川直美会長)メンバーと貫之の墓参に滋賀県大津市を訪問。ただ、今年は新型コロナウイルス禍で中止となったため、「意外と知られていない県内ゆかりの地を訪れよう」と同会が企画した。
6年生8人は、貫之が寄港したと伝わる南国市前浜の大湊公園を皮切りに、安芸郡奈半利町や室戸市をバスで訪問。同市羽根町の歌碑の前では、岩川会長が「羽根のある鳥のように、京都に飛んでいきたいという貫之の思いが想像できますね」などと説明。児童は、それぞれに歌を朗読していた。
児童はバスの中で、俳句作りにも挑戦。「貫之の 御崎の泊まり 秋の風」と詠んだ岡美由紀さん(11)は、「ゆかりの地がこんなにあるんだと知って驚いた。実際に訪れてみると、身近に感じた」と話していた。(小笠原舞香)
砂の特性など学ぶ 親子体験イベント 土佐清水市
(高知新聞 2020 年 8 月 30 日朝刊より)
砂について学ぶ親子体験イベント「旅する砂のものがたり」が29日、土佐清水市幸町の市民図書館で開かれ、12人が地層の成り立ちなどを学んだ。市民図書館と土佐清水ジオパーク推進協議会の共催。
イベントは「自然について学ぼう」と2018年から不定期で開催。昨夏には魚のヒレをテーマにした教室を開催した。
今回は、市ジオパーク専門員の森口夏季さん(29)がおもちゃの砂を使い、竜串海岸などで見られる地層の成り立ちを再現した。
砂の大きさは3種類(0・03~0・5ミリ)で、色はピンクや黄、青とさまざま。参加者は大きさを変えて砂を選び、水と一緒に透明なプラスチックケースに入れて、立てたり傾けたり。大きな粒から順に沈殿していくさまに、子どもたちは「しましま模様ができた。きれい」と喜んでいた。
また、海砂に含まれる、透明な石英の粒をルーペで観察。同専門員の今井悟さん(28)が、石英はガラスやパソコンの部品の原料になっていることを説明していた。
清水小5年の吉村来隼(らいと)君(11)は「砂がいろんなものに使われているなんて、知らなかった」と話していた。(山崎彩加)
梼原学園給食棟完成し提供開始
(高知新聞 2020 年 9 月 3 日朝刊より)
高岡郡梼原町川西路の小中一貫校「梼原学園」の新しい給食棟が完成し、1日に給食の提供が始まった。
新給食棟は鉄骨造りの平屋(一部木造)で床面積は約880平方メートル。旧施設は1983年完成で老朽化が進んでいたため、町が総事業費約5億4千万円で建て替えた。
調理室に併設するランチルームは冷暖房完備。食育授業などでの活用も見据えて、大型スクリーンも備えられている。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、向かい合う席の間にはアクリル板を設置した。
初めての給食を前に全児童生徒201人と教職員ら約40人が集まり、係が分担して手際よく配膳。マイクを持った中学生の「いただきます」の声を合図に、特産の鷹取キムチを使ったチャーハンなどを、会話することなく静かに味わっていた。
4年の吉冨寿(ひさ)さん(10)は「食器を運んだり牛乳瓶を洗ったりするのが便利になった。とてもきれいで気持ちがいいので、給食が楽しくなった」と笑顔を見せていた。(富尾和方)
大月町柏島で海の寺子屋 親子らがカヌーや浜辺清掃
(高知新聞2020年9月4日朝刊より)
子どもたちに海で遊ぶ楽しさや環境保護の大切さを教える「海の寺子屋」がこのほど、高知県幡多郡大月町柏島で開かれ、地元の親子らがカヌー体験や浜辺の清掃を行った。
NPO法人黒潮実感センターとB&Gくろしお海洋クラブの主催で10回目。8月30日の午前と午後に分かれ、大月町と宿毛市から小学生と保護者計25人が参加した。
午後は4~6年生が柏島の白浜海岸で、ペットボトルを抱えて海に浮いたり、救助用の浮輪を投げる練習をしたり。2人一組でカヌーをこいで、近くの竜ケ浜キャンプ場へ移動し、浜辺のごみを拾い集めた。
20分ほどで10袋近いごみが集まり、柏島に住む大月小学校6年の黒田聡君(12)は、「地元の海にこんなにごみが捨てられているなんて悲しい。きれいに使ってほしい」と話していた。その後はシュノーケリングも体験し、子どもたちは大はしゃぎでエメラルドグリーンの海を泳いでいた。(新妻亮太)
戦時の清水学ぶ 市内5校児童が平和学習前に歴史講座
(高知新聞 2020 年 9 月 4 日朝刊より)
高知県土佐清水市大岐の幡陽小学校で3日、市内5校の合同修学旅行に向けた事前交流会が開かれた。10月に県内で平和学習を予定する6年生ら約40人が、土佐清水市の戦争遺跡などについて学んだ。
幡陽小学校と下ノ加江小学校、足摺岬小学校、三崎小学校、下川口小学校の5校。例年は広島県などを訪れるが、今年は新型コロナウイルスの影響で県内に変更した。交流会では戦争について地元の歴史も学んでもらおうと、土佐清水市の市史編さん室長、田村公利さん(55)を講師に招いた。
田村さんは、太平洋戦争中に作られ、今も残る足摺岬や松尾の防空壕(ごう)を写真で紹介。足摺岬の山には海軍が築いたレーダーの基礎が残っており、地域の小学生や教員、住民も砂やれんがを運んだと説明した。
1945年に米軍の機銃掃射で撃ち抜かれたとみられる時計や医学書の実物も見せ、中浜小学校(2017年度で休校)の学校日誌には戦闘機の襲来が記録されていることを紹介。田村さんは「確実に清水でも戦争はあった。これからも地域の歴史に触れてほしい」と呼び掛けた。
児童は「清水には戦争の影響はないと思っていた」「資料がこんなに残っているとは思ってなかった」などと感想を話していた。(山崎彩加)