週刊高知の子どもニュース 2020年11月8~14日
今週も高知の子どもたちの元気な活動が届きました。
高齢者や負傷者が津波避難タワーに上れない状況を想定した避難訓練に参加したのは黒潮町の子どもたち。非常用担架に同級生や大人を乗せて階段を上りました。子どもたちが自ら考えて行動できるように企画された訓練だそうです。
室戸市の羽根地区でも防災訓練が行われ、小学生が防災用品を組み立てるなど、自分たちにできることに取り組みました。自分たちの地域について、想定される災害についてしっかり学んでいる今の子どもたちは頼もしい存在だと、あらためて感じます。
2020 年 11 月 8 ~ 14 日の子どもたちのニュースを、高知新聞の紙面からお届けします。
目次
四万十市で妖怪イラストコンテストの作品展示
(高知新聞 2020 年 11 月 10 日朝刊より)
150点 大賞は森田さん(中村小)
「新型コロナウイルスを撃退してくれそう」をテーマに募った妖怪のイラストが、高知県四万十市中村天神橋の天神橋商店街で展示されている。中村小学校3年の森田琉桜那(りおな)さん(8)が考えた大賞作品「にんぎょカッパ」など約150点が並び、買い物客の目を楽しませている。23日まで。
天神橋商店街振興組合が企画。「四万十漫画倶楽部(くらぶ)」の協力も得て審査した。
4万10本も生えた毛でウイルスをからめ捕り、分解して愛を増やすツガニのような妖怪「毛、セラ、サラ」や、ばい菌を見つけると手や指がくしになってかき集めてくれる妖怪「くしときばばあ」など、市内外から作品が寄せられた。
森田さんの「にんぎょカッパ」は、上半身が緑のカッパで下半身はカラフルなうろこを持つ人魚。両手にドーナツの腕輪を着けている。森田さんは「大賞が取れてうれしい。ドーナツはコロナやインフルにかかった人にあげるためのもの。食べると治ります」と話していた。
8日、天神橋商店街内の「Shimanto+Terrace(しまんとテラス)はれのば」で表彰式が行われた。大賞作品は四万十市出身の漫画家、井上淳哉さんが清書し、大きなパネルにして展示。「インパクトがあり、デザインの面白さや色の工夫など、描いてみたいと思わせる作品」とコメントを寄せた。(平野愛弓)
ドローンをプログラミング 土佐市の新居小 自動飛行に歓声
(高知新聞 2020 年 11 月 10 日朝刊より)
高知県土佐市新居の新居小学校の3~6年生23人がこのほど、新居小学校でドローン飛行に挑戦し、プログラミングの基礎や活用法を学んだ=写真。
本年度から小学校で必修化されたプログラミング学習とキャリア教育の一環で5日に開催。土木工事の測量などにドローンを活用している福留開発(高知市)の社員が講師を務めた。
児童は土木工事の役割や仕事内容に関する説明を受けた後、ドローンを自動で飛ばすプログラミングに挑戦。指定のルートを障害物を避けながら飛ぶよう、高さや曲がる角度などを専用ソフトに入力した。
最初は数値を誤り、ドローンが輪をくぐれなかったり、壁に当たったりと苦戦。正確な数値を入れた再挑戦は大成功で、児童からは「おおー」と歓声が上がっていた。6年の中島伶(りょう)さん(11)は「意外と簡単だった。自動で操縦できるのはいろんな場面で使えそう」と話していた。(山崎友裕)
児童が運営するサッカー大会 黒潮町で「高知りょうまフェスタ」
(高知新聞 2020 年 11 月 10 日朝刊より)
16チーム 戦略も自ら
児童がプレーするだけでなく運営もするサッカー大会「高知りょうまフェスタ(U―10)ニューチャレンジカップ」がこのほど、高知県幡多郡黒潮町の土佐西南大規模公園で初めて開かれた。
高知大学サッカー部出身でサッカーイベントや選手育成に携わっている中尾拓さん(39)=神戸市=が提案し、NPO法人「砂浜美術館」などでつくる高知りょうまフェスタ実行委員会が主催。10月31日は小学3、4年生を中心に県内の16チームが出場した。
大会は子どもたちに自ら考え行動してもらうことが目的。審判をはじめ、出場選手の決定、大会の進行に至るまでを児童が担った。
はじめに、実行委が5分ほど大会の運営方法などを説明。ミーティングの時間では、児童らはチームで相談したり、試合の戦略を練ったりしていた。
宿毛小3年の上田圭悟君(9)は「自分でいろいろ決めんといかんけん大変やったけど、経験をこれからの練習にも生かしたい」と笑顔だった。
児童の頑張りもあり、大会進行はスムーズ。来年度からは年3回ほど開催する予定という。中尾さんは「試合中の声かけが普段の大会の10倍くらいあった。子どもの自主性を育むきっかけになるし、大人も気付くことがある」と感動していた。(今川彩香)
南国市で「土佐日記門出のまつり」 紀貫之しのび児童が囃子
(高知新聞 2020 年 11 月 11 日朝刊より)
平安期の土佐国司で歌人の紀貫之を顕彰する「第37回土佐日記門出のまつり」がこのほど、南国市比江の貫之邸跡(国司館跡)で開かれた。地元の児童らが郷土芸能の「土佐まほろば囃子(ばやし)」などを奉納し、南国市が土佐の中心地だった当時に思いをはせた。
貫之は930(延長8)年に土佐守に任ぜられ、934(承平4)年12月21日に国司館を出発。帰京する55日間の船旅を「土佐日記」につづった。
8日はコスモス畑に囲まれた邸跡に、主催する国府史跡保存会(岩川直美会長)のメンバーや貫之の後裔(こうえい)に当たる井津竹志さん(72)=安芸郡北川村=ら約150人が参列。四国霊場29番札所・国分寺の住職らが貫之の経歴などを紹介した。
国府小学校の4、5年生33人が太鼓や笛で「土佐まほろば囃子」を元気に披露。6年生8人が「男もすなる日記といふものを…」と土佐日記を朗読し、日記文学の先駆者となった貫之をしのんだ。
古里学習としてコロナ禍による休校中も暗唱を練習してきた永田侑舜君(12)は「転校してきたので、以前は貫之さんを知らなかったけど、日記を書いたすごい人が地元にいたことを学べた」と笑顔。このほか献花や俳句大会の表彰、住民によるぜんざいや抹茶の接待も行われた。(横田宰成)
日高村で園児25人が芋掘り 「大物」現れ歓声
(高知新聞 2020 年 11 月 11 日朝刊より)
高知県高岡郡日高村本郷の物販施設「村の駅ひだか」そばの畑でこのほど、村内の園児たちがサツマイモ掘りに挑戦した。
畑は村の駅に出荷する生産者たちが、買い物客に収穫体験を楽しんでもらおうと手入れをしている。約200平方メートルで季節に応じてサツマイモやタマネギを栽培。6日は同村の日下、加茂両保育園から年長の園児計25人が訪れ、芋掘りを楽しんだ。
園児たちはがっちり土に埋まったイモに悪戦苦闘しながら、少しずつ協力して掘り進めた。自分の顔を超すような“大物”が姿を現すと、「でかっ!」「めっちゃ大きい」と大喜び。自慢げに友達や先生に見せていた。
日下保育園の山本創太ちゃん(6)は「掘るのが難しかったけど、おっきいのが採れてうれしかった。焼き芋にしたい!」と笑顔で話していた。(楠瀬健太)
本山町で嶺北高生と地元児童がサツマイモ収穫
(高知新聞 2020 年 11 月 11 日朝刊より)
高知県長岡郡本山町の嶺北高校農業コースの3年生3人と本山町の小学1年生19人がこのほど、一緒に植え付けたサツマイモを収穫した。
交流やコミュニケーション能力の育成を目指し、10年ほど前から嶺北高校と町で取り組む連携教育の一環。ジャガイモやサツマイモの栽培や、収穫後の調理実習を行ってきた。
6日、高校生の指導の下、5月に植えたサツマイモを本山小学校と吉野小学校の1年生が収穫。長梅雨の影響で収量は例年より少なかったが、児童は「おっきい!」「天ぷらにして食べる」と大はしゃぎしていた。
嶺北高3年の沢田綾芽さん(18)は「農業の喜びや作業の大変さを知ってもらえたらうれしい」と話していた。(竹内将史)
四万十町で台地まつり 児童が竹で水鉄砲作り体験
(高知新聞 2020 年 11 月 11 日朝刊より)
高知県高岡郡四万十町の文化と産業の祭典「台地まつり」がこのほど、四万十町役場周辺で開かれ、土佐寒蘭やニシキゴイの展示、小学生の水鉄砲作り体験などで盛り上がった。
45回目の台地まつりは新型コロナウイルス対策のため、例年行われる「谷干城ミュージカル」とよさこい鳴子踊りが中止。7、8の両日、土佐愛蘭会窪川支部による寒蘭の展示会と、四万十町愛鯉会によるニシキゴイの品評会が開かれた。
水鉄砲体験は小学生以下の約20人が参加。四万十町で四万十川の川遊びなどを研究している高知大学地域協働学部の学生らの指導で、河原で切ってきた竹を使って水鉄砲を作った。
ペットボトル10本を2分間に何本倒せるかを競うゲームでは、子どもたちは真剣そのもの。わずか53秒ですべて倒して優勝した米奥小学校1年の宮崎美羽さん(7)は「うまく飛ぶようにスポンジの巻き方を考えた。面白かった」と喜んでいた。(井上太郎)
特産品ユズの香りを物語に おおとよ小学校で感性磨く授業
(高知新聞 2020 年 11 月 11 日朝刊より)
特産品を通じて子どもの感性や郷土愛を育もうと、高知県長岡郡大豊町のおおとよ小学校でこのほど、ユズの香りから物語を創造する授業が行われ、5年生15人が挑戦した。
地域学習の一環で、「香り感性教育プログラム」を展開する東京のベンチャー企業と大豊町教育委員会が初めて企画した。5日、テレビ会議システムで東京の講師と教室をつなぎ、「香りと言葉」をテーマに授業を行った。
児童は手渡された地元のユズをかぎ、それぞれが脳裏に浮かんだ色や音、天気などを表現した。続いて、香りから浮かぶ情景を基に自由に物語を発想。リスとミミズクが遊ぶ話や、人なつこいシカが現れる話などを絵も添えながら紙に記していった。
岡田蒼太君(10)は「本当に爽やかで、心の底まで香りが染み渡った。大豊のユズの素晴らしさをみんなに知ってほしい」と笑顔で話していた。(竹内将史)
津波避難、高齢者らタワーへ運べ!黒潮町児童が担架で訓練
(高知新聞 2020 年 11 月 12 日朝刊より)
高齢者や負傷者が津波避難タワーに上れない状況を想定した避難訓練がこのほど、幡多郡黒潮町入野で行われ、大方児童館の子ども会や南郷小学校の児童20人が非常用担架に人を乗せて階段を上った。
児童自らが考え行動できるようにと、同館は毎年、さまざまな避難訓練を企画。6日は万行地区の津波避難タワーで、町内のタワーに常備しているエアバッグ式の非常用担架を用いて訓練した。
児童はタワーの下で担架に空気を入れて膨らませ、まずは同級生、次に大人を乗せて運搬。「そっち、ちゃんと持って」「優しく運んでね」などと声を掛け、階段を上った。
子ども会のメンバーで入野小5年の村越藍さん(11)は「手がちぎれそうやったけど、運ぶことができた。災害の時も誰か助けることができそう」と胸を張っていた。(今川彩香)
意見交わし作文磨く 小砂丘賞研究会 蓮池小で提案授業 土佐市
(高知新聞 2020 年 11 月 13 日朝刊より)
第35回小砂丘賞作文教育研究会が12日、土佐市の蓮池小学校で開かれた。提案授業を通じて、教員ら70人がより良い作文指導の在り方を考えた。
2年生は作文に書きたいことをメモした付箋を、列車の車両に見立てて「先頭」「中(詳しく書きたいこと)」「最後尾」に並べた「作文れっ車」を使って授業を進めた。
ゴカイを養殖する父親の頑張る姿を書きたいという男児の「作文れっ車」を例にして、「ゴカイは何ですか」「(養殖する)ハウスの中には何がありますか」などと質疑応答。友達とやりとりすることで伝えたいことが伝わる作文が書けることを確かめた上で、2人一組になりそれぞれの作文れっ車について意見を交わした。
授業後の研究協議では「説明することで、メモ内容を追体験し、書いていなかったことも思い出す。作文を書くときに役立つ授業だった」と評価する意見などが出た。
3、6年生は推敲(すいこう)の観点や構成の仕方を考える授業を行った。
研究会は小砂丘賞委員会(宮田速雄理事長)の主催。同委員会は県内児童生徒の優れた作文に「こども小砂丘賞」を贈っており、2020年度の作品を11月30日(消印有効)まで募集している。(沢田万亀)
避難所開設で共助実践 室戸市羽根 住民100人が防災訓練
(高知新聞 2020 年 11 月 14 日朝刊より)
室戸市の羽根地区合同防災訓練がこのほど、同市羽根町乙の羽根中学校で行われ、子どもから高齢者まで約100人が防災用品の組み立てや避難所の開設を体験した。
同地区の沿岸部は津波浸水被害が想定され、高台にある同校は避難所に指定されている。合同訓練はより実践的な内容に取り組もうと8日、市と同地区自主防災組織連絡協議会が初めて実施した。
参加者は簡易トイレなどの組み立てに挑戦し、シート式の間仕切りはグループごとに速さを競ってスムーズに設置。段ボールベッドは部品が多く、複雑な構造に手を焼きながら土台を仕上げた。
各地区の防災リーダーが運営役、一般参加者が避難者役となった避難所開設訓練も行い、体育館に避難者を受け入れるまでの流れや役割分担を確認した。起震車や降雨体験装置、土石流3D体感シアターなどで、災害の危険性や発生の仕組みも学んだ。
羽根小学校6年の前田梨乃さん(12)は「防災用品の組み立ては大変なところもあったけど、みんなで協力したら簡単にできた。いざ地震が起きたら、自分たちにできることで避難所の運営を手伝いたい」と話していた。(大野耕一郎)