須崎市の鳴無神社で古式祭「チリヘッポ」。小さな「神の子」が結婚しました|週刊高知の子どもニュース(2023年10月9~15日)
須崎市浦ノ内東分の鳴無(おとなし)神社で、「チリヘッポ」と呼ばれる古式祭が行われました。幼い男の子と女の子が「神の子」として結婚する神事で、地域で暮らすきょうだいが務めました。
2023 年度末で閉校となる宿毛市の橋上小学校の子どもたちが、地域の農家らともち米を収穫しました。30 年以上続いてきた農業体験は最後となりました。
2023 年 10 月 9~15 日に高知新聞に掲載された子どもたちのニュースをお届けします。
目次
小さな「神の子」結婚 鳴無神社で「チリヘッポ」 須崎市
(高知新聞 2023 年 10 月 9 日掲載)
国の重要文化財に指定されている須崎市浦ノ内東分の鳴無(おとなし)神社で7日、幼い男の子と女の子が「神の子」として結婚する「チリヘッポ」と呼ばれる古式祭が行われた。秋風が吹く参道で、4年ぶりに全ての神事が執り行われ、見守った住民らが子孫繁栄や五穀豊穣(ほうじょう)を願った。
「チリヘッポ」は「四方八方」を意味するとされ、浦ノ内の8地区が持ち回りで取り仕切る。今年の神の子「行児(ぎょうじ)」「斎女(いたじょ)」は中ノ浦地区の上野新太君(8)と、いち華ちゃん(5)のきょうだいがそれぞれ務めた。
本殿での神事の後、ご神体を移したみこしが参道のやぐらへ。「チーリヘッポー」と御幣を持つ宮本心太君(11)がよく通る声で歌って一行を先導した。きょうだい2人は参拝客らに見守られ、行儀良く三三九度の杯を交わした後、伝統的な膳を囲む直会(なおらい)に臨んだ。
杯にはお神酒に代わって「子どもが喜ぶ飲み物」が注がれ、いち華ちゃんは「アクエリアスおいしかった!」。後ろで控えていた宮本君は「神事で退屈せんかはらはらしたけど、2人ともよく頑張った。僕もちゃんと声が出て、ほっとした」と話していた。(蒲原明佳)
豊ノ島さんと「はっけよい!」 高知県民体育館50周年 記念イベント盛況
(高知新聞 2023 年 10 月 11 日掲載)
スポーツの日の9日、開館50周年を迎えた県民体育館(高知市桟橋2丁目)で記念行事が開かれ、約千人がトークイベントなどを楽しんだ。
元大相撲力士の豊ノ島さんはけがに耐えながら現役を続けた苦労話だけでなく、夫人に交際を申し込んだ際の話も披露。「2桁以上勝ったら付き合ってあげる」と言われた時は8勝、「勝ち越したら」と言われた時は7勝止まりだったそうで、もう一歩足りずに交際できない悔しさが後の快進撃(11勝)につながったと述懐し会場を沸かせた。
県内から9人のレスリング世界王者を育てた高知国際高校教諭の桜井優史さんは「選手自身が強くなりたいと自立することが大事」と説き、「高知は人(練習相手)も物(練習環境)も金もない。厳しい環境だからこそ、高知の子どもたちには志を高く持ってほしい」とエールを送った。
相撲やレスリングの体験会もあり、相撲では園児18人が豊ノ島さんに挑戦。子どもたちが懸命に腕を突き出し、足を踏ん張り、豊ノ島さんを押し出すと大きな拍手が起こった。同館の伊藤勝次館長は「今後も県民の健康の維持・増進の場として、利用しやすい施設を目指して進化していきたい」と話していた。(二瓶満瑠)
ごみもアイデアで作品に ファッションデザイナーの小西翔さん 黒潮町三浦小で講演
(高知新聞 2023 年 10 月 13 日掲載)
高知市出身のファッションデザイナー、小西翔さん(32)の講演会とワークショップが12日、黒潮町出口の三浦小学校で開かれ、1~6年生30人が創作を楽しく学んだ。
小西さんは米ニューヨーク在住。東京パラリンピック開会式の衣装デザインを手がけるなど世界的に活躍している。
小西さんはスライドを用いて花や葉をあしらった作品を見せたり、「この服は何でできているでしょう?」と語りかけたりして、自身の仕事について説明。「使わなくなって捨てる物をごみと呼ぶけど、アイデアさえあればごみを使ってすてきなドレスが作れる。作品になると、ごみじゃなくなる」と伝えた。
その後児童らは、同町田野浦の砂浜で小西さんと貝殻やプラスチックごみなどを採集。学校で小物入れやリース作りに励んだ。5年の森大地君(10)は「木の実とか自然にある物を使って服を作る発想がすごい。今日はお母さんの誕生日だからプレゼントにする」と話していた。(川田樹希)
閉校の橋上小 最後の農業体験 宿毛市
(高知新聞 2023 年 10 月 15 日掲載)
宿毛市橋上町橋上の橋上小学校の全校児童8人がこのほど、地域の農家らともち米を収穫した。30年以上続いてきた農業体験は、同校が本年度末で閉校となるため最後となった。
6月、学校近くの約500平方メートルの田んぼに植え付けた苗は、今年も無事に実った。今月12日、子どもたちは稲を根元からつかみ、ざくっと鎌で次々に刈り取った。三代木咲来さん(8)=3年=は「去年はいっぱい力を使って疲れたけど、今年は楽しかった」とほほ笑んだ。
収穫した約100キロは、同校で来月開催される収穫祭で、保護者や住民らと餅にする。年々収穫の手際が良くなっていたという竹村優衣さん(11)=6年=は「おいしいお餅を作って、お世話になった地域の人たちに食べてもらいたい」と話していた。(坂本出)
過酷な南極体験を児童が学ぶ 高知市の長浜小で元観測隊員が授業
(高知新聞 2023 年 10 月 15 日掲載)
高知市の長浜小学校で13日、元南極観測隊員の秋元茂さん(55)を招いた授業が行われ、6年生51人が過酷な環境下での仕事について学んだ。
将来について考える機会にと、南極昭和基地の建物を整備、管理する住宅メーカー「ミサワホーム」(東京都)などの協力で開かれた。
秋元さんは同社社員で、2009~11年に隊員を務めた。授業では、激しいブリザードになれば1メートル先が見えず、氷点下35度の屋外は「寒い、というより痛い」「お湯を入れたカップラーメンが3分しないうちに凍る」などと説明し、児童はどよめいていた。
また日本の選挙はファクスで投票でき、理容の訓練を受けた隊員が髪を切るといった話も披露。児童は同基地での最大瞬間風速に近い秒速約60メートルの風をブロワーで浴びて悲鳴を上げたり、南極用の防寒服を着たりして、隊員気分を味わっていた。
質疑では「南極では風邪をひく?」「食料は持っていくの」といった問いに、秋元さんは「ウイルスがいないからひかない」「1人1トン分を持っていく。食料も腐らないから、15年前の馬刺しも食べた」などと話していた。
土居尊君(11)は「危険と隣り合わせの仕事をする隊員はすごいと思いました。自分だったら怖くてできません」と話していた。(加藤風花)
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