「完全母乳」がかなわず、母親失格?!思い悩んだ授乳の日々|「ママと記者やってます」⑥
毎日が体力・気力勝負! 40代ママ記者による子育てコラム
ココハレ編集部員・門田がお届けする子育てコラムです。40 代に突入したけれど、子どもはまだ幼児。うまくいかない子育てに悩み、体力・気力の衰えを嘆いています。泣いて笑って、怒ってしまって反省して…、そんなどたばたの毎日をご紹介します。
次女が先日、卒乳しました。私の母乳育児は「わが子に全力拒否され、一滴も飲んでもらえない」という衝撃の幕開けでした。
これまでのコラムはこちら
「お乳いらーん!」誕生後、泣いて全力拒否した長女
長女を出産したのは 2015 年夏。初産は、妊娠中の体の変化やつわりのしんどさ、陣痛の痛みなど驚きの連続でしたが、私が一番驚いたのは実は出産翌日。初めての授乳の時でした。
産院の授乳室で助産師さんから一通り説明を受け、「さあ、やってみましょうか」。2700 グラムと少し小さく生まれた長女をこわごわ抱っこし、緊張しながら授乳を試みると…、「ふえぇーん!」。長女は大泣きしてお乳から逃れようとします。「えっ?何で?」。戸惑う私に、助産師さんが言いました。
「あぁ、これは飲みにくいお乳だね」「母乳はしばらく難しいかもね」
えーっ?!飲みにくいって何?!お乳に飲みやすい、飲みにくいってあるの?!
その時まで、授乳についての知識を全く持たず、「産んだら母乳はすぐ出るし、赤ちゃんは生まれたらお乳を飲むものだ」と軽く考えていた私。衝撃が大き過ぎて声には出しませんでしたが、ふぇんふぇんと頼りなく泣く長女を抱っこしながら、「どうしよう…」と頭の中は大混乱でした。
授乳前と授乳後の体重測定…「0g」が続き、落ち込みました
入院中は病室から 3 時間おきに授乳室に通い、授乳を試みては拒否され、大泣きされます。一滴も飲んでいないので当然体重は増えません。授乳前と後の体重差で測る「母乳量」の欄に「0g」が延々と続きます。他のお母さんは「10 g」「20 g」と書き込んでいて、焦ります。
測定後にはミルクを作って飲ませます。長女は私の母乳をあんなに拒否したくせに、哺乳瓶のミルクはごくごく飲んで、満足そうにすやすや。焦りの次には、うらめしい気持ちが生じてきます。
加えて、入院中はいつまでたってもお乳が張らず、母乳がなかなか出ないことも分かりました。赤ちゃんが無事に生まれておめでたいはずなのに、暗い気持ちで退院しました。
退院後も、授乳のたびに全力で拒否されました。泣き声が「お母さんのお乳いらーん!」と聞こえます。「何で飲んでくれないの!」。イライラしながら無理やり飲ませようしても、もちろん逆効果です。
インターネットで「母乳 新生児 飲んでくれない」などと検索し、「泣くたびに授乳を」といったアドバイスを片っ端から試してみますが、うまくいきません。
「お願いだから飲んでよ!」「母乳を飲んでもらえない私は、母親失格ってこと?」「こっちが泣きたいよ」「何で私、子どもを産んだのかな…」「もう無理。もう嫌だ」
思考は悪い方へ、悪い方へと落ち込んでいきました。
「完全母乳」はできませんでしたが、「混合」で私なりにやり切りました
本来はポジティブで、うまくいかないことがあっても「まぁ、仕方ないか」と開き直れるタイプですが、産後しばらくは「完全母乳」にとらわれ、精神的に追い詰められていました。育児を手伝ってくれていた私の母は「この子は子育てができないかもしれない。私が育てよう」と覚悟したそうなので、相当だったようです。
妊娠中、出産後はホルモンのバランスが崩れ、メンタルにも影響が出ると言われますが、まさか自分が…という思い。産前産後のメンタルケアは本当に大事だと心から思います。
その後ですが、来る日も来る日も大泣きされながらも授乳を試みた結果、生後 20 日ほどたったある日、突然飲んでくれるようになりました。その時の喜びは、今でも覚えています。
結局、完全母乳への切り替えはかなわず、ミルクとの混合で 2 歳近くまで授乳しました。卒乳の日から 3 日間は寝かしつけで何時間も大泣きされ、「飲ませるのにあんなに苦労して、やめるのにもこんなに苦労するのか…」。授乳の難しさ、奥深さに恐れ入ったことでした。
次女も生後すぐに母乳を全力拒否し、20 日ほど大泣きして突然飲むという、長女と同じ道をたどりました。「私のお乳はそんなに飲みにくいんかい!」と経験済みでもやはり落ち込みます。
同じように混合で授乳を続け、先日 1 歳 8 カ月で卒乳しました。次女が名残惜しそうにしつつもあまり泣かなかったのは、ちょっとしたご褒美だったのかもしれません。
授乳という母親の役目を無事終えた今、あの授乳拒否は何だったんだろうと考えます。もしかしたら、「これからの子育て、うまくいかないことだらけだけど、よろしくね」と長女が教えてくれたのかもしれません。
娘たちと向き合いながら、悩んだり、イライラしたりの毎日ですが、最初の衝撃のおかげで、最終的には「元気に大きくなってるから、まあいいや」と吹っ切れています。
「完全母乳で育てたかった」という残念な気持ちはきっと、ずっと残ります。それでも、「私なりにやり切った」と自分を認めたいと思います。