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子どもの「イヤ!」に困っていませんか?|土居寿美子さんコラム「こころのとびら」⑥

子どもの「イヤ!」に困っていませんか?|土居寿美子さんコラム「こころのとびら」⑥

利用者の気持ちに寄り添う支援を。高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」理事長、土居寿美子さんのコラムです

わが子との毎日。穏やかに、楽しく過ぎる日もあれば、うまくいかず、イライラしてしまう日もありますね。子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。

ココハレのコラム「こころのとびら」では、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営する特定非営利活動法人の理事長、土居寿美子さんが執筆を担当します。土居さんはいるかひろばで 10 年以上にわたり、たくさんの親子に寄り添ってきました。「ご飯を食べてくれない」「おむつが外れない」「また怒り過ぎてしまった」…。そんな悩みを打ち明ける保護者とのエピソードをもとに、わが子への関わり方を紹介します。

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「普通」って何?

子どもは成長していくに伴い、いろんな感情を出してきます。「自分でやる~!」とやってみるものの、思うようにいかず、泣いたり、怒ったり、時にはわめいたり…。何をするにも「イヤ!」と言い、どう関わっていいのか分からず、親は困惑…。子育ての中で、ほとんどの親が経験しているのではないでしょうか?

でも、子どもの頃から自分の感情を出すことは、とても大事なことなんです。

いるかひろばには、自分の感情を出すことができないまま大人になり、今もそのことで悩んでおられる方々がいらっしゃいます。

 

■Bさん

今まで支援センターに通うということがなかったBさん。初めているかひろばに遊びに来られ、それから、ご自身のペースで来られるようになりました。多くを語らず、子どもが遊ぶそばで見守り、寄ってきたら一緒に遊ぶ。そんな過ごし方をされていました。

3 回目あたりから子どもの個性の話などを語り、家族の話をつぶやいてくれるようになりました。そして、回を重ねるごとに、つらい過去、つらい今の状況を語り始めました。

彼女の家庭の中では父親が絶対的な存在で、誰も逆えなかったそうです。Bさんは幼い頃からそんなご両親に気を使い、父親がたとえ理不尽なことをしても、反発も反抗も一切できなかったそうです。Bさんは「自分の気持ちを考える」ということをしなくなり、いつしかできなくなり、周りの言うままに過ごしていく。そういうことが「普通」になってきたそうです。

結婚し、子どもを育てていく日々の生活の中で、今度は夫から罵倒や暴言を受けました。「嫌だな」「つらいな」と思っても、「どこかに、誰かに相談する」ということを思いつかなかったそうです。実の母に愚痴をこぼすと、「我慢しなさい」という言葉が返ってきます。誰にも言わずに我慢することを「普通」ととらえていたという話をしてくれました。

私は「それは決して『普通』ではないことです」とBさんに伝えました。そこから少しずつ、彼女が自分のことを客観的に見ていくようになりました。そして、子どもに対しても理不尽な夫のふるまいに対して、「やめてほしい」「このままではいけない」というお母さんの気持ちが出てきました。

そのことに気づいた時、Bさんは子どものように泣きました。私は彼女の気が済むまで、落ち着くまで、傍らで背中をさすりながら静かな時間を過ごしました。

その日から少しずつ、「自分がこれからどうしたいか」「子どものためにどうすればいいか」を一緒に考えるようになりました。専門機関も交え、「Bさんと子どもが安心して、安全に生活できること」を目標に、彼女の意思を尊重しながら新たな一歩を踏み出しました。これからも寄り添い、支えながら見守っていきたいと思います。

うまく通れるかな?(写真と本文は関係ありません)
うまく通れるかな?(写真と本文は関係ありません)

「子どもの頃から自分の感情を出すことは大事だ」と分かっていても、受け止める方は大変ですね。感情の出し方、表現の仕方は子どもによって違いがあります。お子さんの気質によっては、出し方が下手ということもあると思います。

私も子育てでは大変な思いをたくさんしました。息子は泣いたり、わめいたり、叫んだり、暴れたり…と、とても激しい出し方をしました。もちろん、怒ったりもしましたが、怒ったところで収まることはありませんでした。試行錯誤しながら関り方を模索し、「あの手この手」で何とか乗り切ってきたことを思い出します。皆さんのご苦労、お察しいたします。

自分の子育てを終え、いるかひろばでたくさんの親子と関わる中で思うのは、甘えとは「安心」の表れではないかということです。子どもが安心できているから親に自分を出せているのでは…と思います。

子どもへの関わり方は、その子の気質と親の気質によって変わってきます。「こういうふうにしたらいいですよ」という一般的なアドバイスがそのままうまく当てはまることばかりではありません。どう関わったらいいかお悩みの方がおられましたら、ぜひいるかひろばにいらしてください。折り合いの付け方を方を一緒に考えていきましょう。

育児は楽しいです。でも楽しいことばかりでもありません。心のモヤモヤを上手に吐き出しながら、時には自分を褒めながら子育てしていきましょう。これからも、皆さんの子育てを応援していきたいと思います。

 

 

土居さんに相談したい場合は、「いるかひろば」に問い合わせをしてください。

高知市地域子育て支援センター「いるかひろば」はこちら

土居さんへのインタビューはこちら

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この記事の著者

門田朋三

土居寿美子

高岡郡梼原町出身。保育士として2005年から高知市の港孕保育園に勤務。07年から、港孕保育園内にある地域子育て支援センター「いるかひろば」の常勤スタッフとして、親子に寄り添った支援に取り組んできました。2019年11月に特定非営利活動法人いるかひろばを立ち上げ、理事長に。2020年から、いるかひろばをNPOとして運営しています。趣味はバレーボール。洋服やケーキなど何かを作ることも好きです。好きな言葉は「一所懸命」。

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