うちの子はわがまま!どうしたらいい?|子育ての悩みに寄り添う土居寿美子さんコラム「こころのとびら」⑬
高知市の子育て支援センター「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します
子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。
コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営する特定非営利活動法人の理事長・土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。
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まず、わが子の気質をつかみましょう
「しつけはどうやってしたらいいですか?」「うちの子わがままなんです。どうしたらいいでしょう」…。いるかひろばにはこんな相談がたくさん寄せられます。子育てをされているほとんどの方が悩んでいることではないでしょうか。本当にご苦労さまです。
しつけについては、さまざまな育児書やインターネットに情報が載っていると思います。記載されている情報が正しくないわけではないでしょう。でも、その情報をわが家に置き換えてみると、通用しない、わが子に当てはまらない…。そんなふうに悩まれている方が多いのではないかと推測します。
つまり、子育ては「手法・技法」から入ってしまうと、うまくいかないということなのかもしれません。
いるかひろばで以前行っていた子育て講座で、講師からこんな話がありました。「子どもの表現は、不快の発信から始まります」。子どもの表現を親が受け止め、子どもの発達とともに関わり方を変化させていくことで、徐々に愛着が形成されていくのだそうです。
皆さんのお子さんは「不快だ」という気持ちをどのように表現していますか?
いるかひろばに来られる親子を見ていると、子どもの表現の仕方には一人一人違いがあるということが分かります。「嫌だ」という気持ちを泣いて全身で表現する子どももいれば、一人になることで「そっとしておいて」と表現している子どももいます。「甘え」の気持ちを焼きもちで表現する子どももいます。そして、その表現に保護者が気付いていないこともあります。
子育てでは「しつけ」の前に、まず、わが子の気質を把握するということが大事になってくるのではないかなと、私は思います。
気質をつかむこつは、お子さんをよく観察することです。例えば、こんな場面を見てみてください。
【困った時にどんな表現をするのか】
- 泣く
- やけになる
- 怒る
- 固まる
- 服を引っ張る…など
【うれしい時にどんな表現をするのか】
- 笑う
- ほほ笑む
- テンションが高くなる…など
【遊び方はどうかな?】
- 母(父)のそばで遊ぶ
- 自分の好きな所に行って遊ぶ
- ウロウロして遊ぶ
- いろんなこと(物)に興味が変わる
- じっとして遊ぶ
- こだわって遊ぶ…など
これらは、ほんの一例です。親にも個性があるように、子どもにも個性があります。
子どもの気質、そして親自身の気質を知ることで、子どもへの対応の仕方も変わってきます。例えば、「物を投げる」という行動が「自分の思い通りにいかない時」だと分かれば、物を投げることをただ「ダメ!」と止めるだけでなく、「どういう時に物を投げてしまうのかな」と考え、その状況を取り除くきっかけになります。
保護者はついつい、「今きちんとしつけしないと、この子のためにならない」「このままにしたら、わがままになる」と考え、良かれと思って行動します。でも、遠い将来のことを優先的に考えるよりも、「目の前にいるわが子が今、どういう気持ちで行動をしているのか」ということに思いをはせることが大事ではないでしょうか。子どもの気質をつかむことは子どもへの対応の原点であり、子育ての土台にもなってくると思います。
気質をつかむのが難しいお子さんもいます。どういうふうに関わればいいのか悩んでいる方は、いるかひろばにいらしてみませんか?次回は子どもの気質や個性を踏まえながら、「しつけ」について考えていきたいと思います。