登下校は大丈夫?座って授業を受けられる?不安だらけだった長男の小学校入学|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㉝
子育ての悩みに寄り添ってきた「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します
子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。
コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営する特定非営利活動法人の理事長・土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。
今月からまた、土居さんの子育てを振り返ります。長男が小学校に入学し、新たな生活が始まりました。「 1 人で登下校できる?」「座って授業を受けられる?」。当時の土居さんは不安でいっぱいでした。
こころのとびらはココハレの「コラム」で紹介しています
寄り道をしてしまう理由は何?親子で整理しました
今月からまた、私の子育てを振り返っていきたいと思います。
今から 30 年ほど前、長男が小学校に入学しました。当時のことを私はほとんど覚えていません。ただただ、心配ばかりしていました。
「 1 人で学校に行けるだろうか…」
「教室で 1 時間座って授業を受けられるだろうか…」
「友達関係はどうだろう…」
「無事に家に帰ってくるだろうか…」
保育園の時は送り迎えをしていたので、行き帰りの心配はしなくてよかったのですが、小学校に入ると、親から離れての行動ばかりです。
ですが、不安だらけの親の思いとはかけ離れ、長男は学校を嫌がる事もなく、毎日機嫌よく登校していました。お友達もでき、自分で遊びに出かけることも徐々に増えていきました。
私の不安は現実になりました。
学校から帰る時間が来てもなかなか帰ってこなくて、探しに行くこと 5 回ほど。ある程度は想定していたので、どうして寄り道をしたのか、長男に理由を尋ねました。
話を聞くと、お友達と一緒に帰っている時に気がそれるということが分かりました。お友達が帰る方向に一緒に歩き、途中で気付いて元の道に戻るので、遅くなるのです。
気がそれる理由はお友達だけではありません。虫や草が気になって別の道に行くということもありました。
寄り道をした場合は、親子で整理をし、寄り道をしないためのスケジュールを一緒に考えました。
学校を出ます
↓
信号のある所は真っすぐ進みます(お友達と一緒に帰る時に気がそれるポイントでした)
虫や草で遊びたい!
↓
一度家に帰ってから、遊びに行きます
寄り道をするたびに、このやり取りを繰り返すと、だんだんとしなくなっていきました。
「学校行きたくない!」ある日突然、始まりました
長男は帰宅後、学校での様子を自分からしゃべることはなく、次男とはしゃぎながらテンション高く遊んでいました。学校の準備や宿題は自分だけでは難しかったので、一緒にしていました。
そんなある日のこと、長男は突然、「学校嫌だ!」「行きたくない!」と言い始めました。
私は少し慌てたものの、まずは長男の気持ちを聞きました。
私:「学校で何かあった?」
長男:「ちがう。イヤなが!」
私:「何が嫌?」
長男:「できん!」
私:「何ができんの?」
長男:「かけん!」
私:「何がかけんの?」
長男:「できんが!」
長男は気持ちを言葉で表現するのが得意ではありません。怒り、だんだんパニック状態になっていきます。
「かけん!」から、私は「もしかして字を書くことを言っているのかな」と想像しました。
私:「『かけん』っていうのは、もしかして字を書くこと?」
長男:「そう!書けんが!」
長男は左利きです。
私:「右の手で書けんが?」
長男:「そう!」
私:「先生に『右の手で書こう』って言われたが?」
長男:「そう!できん!」
私:「だから、学校に行きたくなくなったが?」
長男:「そう!」
当時は子どもの左利きを右利きに直すのが、普通に行われていました。長男にとってはしんどかったのです。
私:「先生に言った?」
長男:「言えん!」
私:「分かった。お母さんが先生に言ってみようか?」
長男:「うん」
その言葉で、パニック状態が収まっていきました。
私はすぐに担任の先生に伝えました。先生はとても恐縮され、「無理に直すことはないです」と謝ってくださいました。
親としては、学校にすぐに対応していただけて、本当にありがたい思いでした。
「無理に直すことはないって先生が言っていたよ」と息子に伝えると、すぐに気持ちが切り替わりました。それからは、嫌がることなく登校できるようになりました。
振り返ってみると、私はこの頃から長男に対して、「苦手なことは一緒にする」「強要はしない」「できるだけ気持ちを代弁する」というような関わりをしていくようになりました。
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