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「変わっている」のは長男じゃなくて私?!立場が変われば、見方が変わります|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㊳

「変わっている」のは長男じゃなくて私?!立場が変われば、見方が変わります|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㊳

子育ての悩みに寄り添ってきた「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します

子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。

コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営するNPO法人の理事長・土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。

土居さんの長男は中学でも相変わらずの成績でしたが、毎日学校に通い、部活も楽しみました。大人になった長男から、土居さんは「変わってる」と言われるそうです。立場が変われば、見方も変わります。

コラム「こころのとびら」はこちらから

勉強の基礎ができていない…中学校でも相変わらずでした

「新生活に馴染むのだろうか」「学校が嫌にならないだろうか」「友達はできるかな」

長男が小学校に入学する時、私は勝手に心配していました。転校からいろいろな出会いを経て、中学生になった頃には「なるようになる」という考え方になりました。

部活は野球部に入り、卒業まで続けました。友達と決めたようです。小学生の時もそうでしたが、勝ち負けに一喜一憂せず、ただ「仲間と楽しいことをやっている」という感じでした。

部活は友達と決めました
部活は友達と決めました

勉強は相変わらずで、自分のペースです。先生が「基礎ができていない」と心配してくださいました。

お母さん、今しっかりと基礎ができてないと、将来が大変だと思います。これから毎日、新聞の社説の書き取りをするようにしてみてはどうでしょうか」

そんな提案を息子が承諾することは、もちろんありませんでした。学校は嫌がらず、毎日通っていました。

先生にたたかれた?!中学生の長男から教わることが増えていきました

ある日、保護者から「うちの子から聞いたけど、息子さんが先生からひどいことされたみたい。大丈夫?」と電話がありました。私は長男から、何も聞いていません。ほどなく、こんなやりとりがありました。

長男:「今日病院に行きたいき、『部活休む』って先生に連絡しちょって」

私:「どうしたが?」

長男:「掃除中にゆで卵が落ちちょって、友達とほうきで転がして遊びよった。先生に見つかって、たたかれた。ちょっと肩が痛いき、病院に行ってくる」

私:「大丈夫?」

息子:「大丈夫。先生、謝ってくれたき」

長男から話してくれました
長男から話してくれました

その後、先生がわが家に謝りに来られました。

もし、「大丈夫。先生が謝ってくれたき」という息子の言葉がなかったら、私は先生の振る舞いに腹が立ち、感情的になっていたかもしれません。この頃から、彼から教わることが増えていったように思います。

やればできる!根気よく関わってくださった家庭教師の先生

小学生の頃は「テント暮らし」だった長男の夢。中学では「ミュージシャン」「高校には行かない」となりました。

中学 3 年の時、「高校に行きたい」と言いだしました。「よかった…」と思いましたが、今の成績ではとても無理。塾は難しいので、家庭教師のお世話になることにしました。

ところが、家庭教師の先生が続きません。1 カ月で辞めた方、数日で辞めた方、1 日で辞めた方…。短期間で 6 人が辞めていきました。

開花の時期も咲き方も、それぞれです
開花の時期も咲き方も、それぞれです

最後の先生に、長男の特徴を説明しました。実際に関わり、理解してくださったようです。

勉強していて気がそれた時は、好きな話題を振って落ち着かせ、再び勉強へと切り替えてくださいました。難しい時は「今日は帰ります」と、無理のない対応をしてくださいました。

根気強い関わりで、長男に「やればできる」が少しずつ身に付いていきました。おかげさまで、高校に入学できました。

家庭教師の先生たちとのやりとりから、子どものことを中心に考えて連携をする大事さを学びました。

毎日、こつこつ、淡々と

わが家は、個性の塊です。夫はこだわりがとても強く、自分のスケジュール通りにならないと機嫌が悪くなります。

その血筋を受け継いでいるのが長男。その様子をそばで見ていた次男。個性的な家族がうまく回っていくやり方はないかといつも模索している私…。

本当にいろいろありましたが、長男は結婚し、今は子育ての真っ最中です。

孫にも恵まれました
孫にも恵まれました

長男や夫は、私やお嫁ちゃんをこう評します。

「よいよ、おまんらあ変わっちゅう」

「やっぱりな」と思いました。私たちからしたら、彼らは変わっていると思います。でも、彼らからしたら、私たちの方が変わっていると見えているのです。

「普通」とは何だろう、と考えます。

私は「家族は社会の縮図」だと常々思っています。私たち家族にはそれぞれ、「得意」「苦手」があります。「苦手だ」と上手に言えなくて、泣いたり、怒ったりもしてきました。

相手の苦手なことをとがめるのではなく、共感し、補ったらいいんだと、4 人で暮らしながら分かってきました。「お互いさま」ということなんだと思います。

「お互いさま」を忘れずに
「お互いさま」を忘れずに

わが家は毎日、エピソードが絶えません。そのたびにどうしたらいいかを考え、乗り越えられています。何とかなるんです。

これからも夫、子どもたち、孫たちのエピソードを受け止めながら、「毎日」「こつこつ」「淡々と」過ごしていきたいと思っています。

土居家の子育て編は、ひとまずこのあたりで終了とさせていただきます。

 

 

土居さんに相談したい場合は、「いるかひろば」に問い合わせをしてください。

高知市地域子育て支援センター「いるかひろば」

  • 住所:高知県高知市六泉寺町22 港孕保育園内
  • 電話:088-834-1484
  • 利用時間:月~金曜 9:30~12:00、12:30~15:30  日 、土曜日(月 2~3 回)9:30 ~ 12:00
  • 駐車場:無料。4 台(身体障害者用が 1 台)。置けない場合は提携先を案内します

オンラインいるかひろばのスケジュール

  • お試しオンライン(相談も):月~金曜日 9:30~10:00
  • オンラインいるかひろば:月~金曜日。午前は 11:00~11:30 、午後は 15:00~15:30 。通所いるかひろばとつないで「集まりの時間」を行います

 

土居さんへのインタビューはこちら

【ココハレインタビュー】「いるかひろば」理事長・土居寿美子さん|しんどい気持ち、安心して話して

この記事の著者

門田朋三

土居寿美子

高岡郡梼原町出身。保育士として 2005 年から高知市の港孕保育園に勤務。07 年から港孕保育園内にある地域子育て支援センター「いるかひろば」の常勤スタッフとして、親子に寄り添った支援に取り組んできました。19 年 11 月に特定非営利活動法人いるかひろばを立ち上げ、理事長に。20 年から、いるかひろばをNPOとして運営しています。趣味はバレーボール。洋服やケーキなど何かを作ることも好きです。好きな言葉は「一所懸命」。

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