子どもの言うことを、親はどこまで聞いてあげるべき?|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㊺
子育ての悩みに寄り添ってきた「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します
子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。
コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営するNPO法人の理事長・土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。
今回は、いるかひろばの利用者から質問が多い「わがまま」について。子どもの言うことをどこまで聞いてあげたらいいと、皆さんは思いますか?
コラム「こころのとびら」はこちらから
子どもの言うことを聞くと、わがままになる?
いるかひろばを利用されている親御さんから、よくこんな質問を受けます。
「子どもの言うことを、親はどこまで聞いてあげたらいいのでしょうか」
「子どもの言うことを聞き過ぎると、わがままな子になってしまうのではと心配です」
子育て中の“あるある”だと思います。皆さん、ご苦労さまです。
「こころのとびら」でご紹介してきた土居家の子育ての中でも、わが子への関わりについて触れてきました。子どものやけ(自棄)への対処法は、私の悩みどころでもありました。
当時、子どもの困っている行動について相談できる所はありませんでした(私が知らなかったのかもしれませんが…)。
身近な方に相談をしても「もっと怒らないと」「ちゃんとしつけを」「そのうち、落ち着いてくる」…。
私はどうもふに落ちず、自分で“あの手この手”を考えていきました。
子どもを叱った日の夜は、寝顔を見て自己嫌悪になりました
自分で「あの手この手」を考えると言っても、なかなかうまくはいきません。特に長男は、自分の思いをうまく表現できたないため、思いを通そうとわめいたり、泣いたりしていました。
私はその行動をつい、叱って止めていました。「もっと怒らないと」という周囲の言葉を受け入れたくなかったはずなのに…。
でも、叱っても叱っても、子どもの行動は一向に改善しません。そればかりか、叱る頻度が増えました。
子どもを叱った後の夜は、子どもの寝顔を見て、自己嫌悪!一人でよく泣いていました。
このままでは親子でしんどくなるばかり…。関わり方を変えようと思いました。
効果的だったのが「お約束」と「自分で選ぶ」
3 歳頃の長男がやけを言う場面の一つが、スーパーでの買い物でした。当時、次男は 1 歳でベビーカーに乗せていました。スーパーでは、長男は気になった物の方に寄っていきます。
長男:「これ、いる~!」
私:「今日はいかんよ」
長男:「いや~!いるの~!」
私:「今日は買いません」
こんなやりとりの後、泣きわめく長男を抱えて帰りました。
どうすれば、落ち着いて買い物ができるのか。いろいろ試した結果、効果的だったのが「お約束」と「子どもに選んでもらう」の二つでした。
まず、買い物に行く前にお約束をします。
私:「お買い物に行く人!」
長男:「は~い!」
私:「ベビーカーを押してくれる人!」
長男:「は~い!」
私:「お約束を守れたら、お菓子を一つ買おうね」
長男:「は~い!」
私の提案に、長男は自分の意思で「は~い!」と答えます。親子の調子がいい時には、このやり方で買い物ができました。
しかし、私の体調が悪い時や、子ども機嫌が悪い時には通用しませんでした。そんな時には「買い物をやめる」という選択をしました。買い物をせずに帰ったことも、しょっちゅうでした。
それでも、私にとっては試行錯誤の末にやっと見つけた“あの手この手”です。長男がやけを言いそうな場面をあらかじめ回避することで、無理に我慢させることが減りました。
ですが、周囲の評判はよくありませんでした。「お約束」としてお菓子を買うことを「甘い」と言われました。
「そんな子育てをしていたら、子どもがわがままになる」という批判に私がどう向き合ったのか、次回お話したいと思います。
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