旅行に帰省…家族と一緒に過ごす時間が増える夏休み、疲れていませんか?|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㊾
子育ての悩みに寄り添ってきた「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します
子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。
コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営するNPO法人の理事長・土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。
夏休みになると、いるかひろばの利用者から「家族と出かけると、言い合いになる」「夫とぶつかってしまう」といった声が寄せられます。旅行や帰省などで生活リズムや環境が変わり、家族と過ごす時間も増える長期のお休み。うまく乗り切るこつとは?
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「家族で出かけるたびに、言い合いになります」
8 月に入っても暑い日が続いています。「熱中症警戒アラート」も毎日のように発令されています。ストレスも、いつも以上に感じてしまいますよね。
夏休みに入ると、利用者から多く寄せられる声があります。
「家族で出かけるたびに、意見が合わず言い合いになります」
「夫が休みで家にいてくれてうれしい時もあるんですが、ついぶつかり合ってしまいます」
夏休みは家族で過ごせる時間が増えて楽しい半面、コミュニケーションがかみ合わないことも増えるようです。
わが家も子育て中は特にそんなことばかりだったので、すごく共感できます。
今回はその当時を少し振り返ってみたいと思います。
個性豊かな夫。家族を喜ばせるための「旅行計画書」のはずが…
わが家は長期休みになると、旅行に出かけていました。旅行をすると、子どもが喜ぶ姿を見られます。子育てで一番のご褒美かもしれません。
ただ、わが家はとても個性豊か。夫と長男には特に「『自分』を主語に考える」「待つことが苦手」という特徴があり、旅行はとてもハードルの高い行事でした。
夫は目的に添って計画を立てるのが得意です。旅行では「旅行計画書」なるものを作成し、細かな時間を区切り、移動をしていきます。
もちろん、その目的は「家族を楽しませるため」だと思います。でも、コミュニケーションが得意でないので、家族の意見をほとんど聞かずに計画を立てていました。
長男が 7 歳、次男が 5 歳だった 1993 年には、東京旅行に出かけました。
当時の夫のポリシーは「四国を出る時は公共の乗り物」でした。飛行機が苦手なので、遠出をする際もJRです。私からしたら、訳が分かりません。
列車の旅はそれはそれで楽しいけれど、子育て中は時間がかかって大変です。「せめて東京への移動は飛行機で…」という私の切なる願いは、残念ながら即却下。寝台特急を含めた長時間移動となりました。
移動中も旅行先でも小競り合い、けんかが絶えず…
写真を振り返ると、ディズニーランド、動物園、自動車博物館に行っていました。
旅行前は「ディズニーランドに行ける!」とわくわくした記憶がありますが、その旅行が楽しかったかと言えば、「疲れた」のが正直なところ。楽しくその場をやり過ごせるように心がけ続けた旅でした。
移動中、駅での待ち時間に自動販売機を見つけた長男は「欲しい!」を連発!夫は「買わんと言うたろ!」と頭ごなしの対応です。電車が来て長男の気が変わるまで、子どもたちが興味を持つかもしれないクイズを出題して気をそらせました。
兄弟で過ごしていたら、必ず小競り合いになります。そんな時は私が 2 人の間に入り、気をそらしていきました。
楽しみにしていたディズニーランドは子どもたちにはヒットせず、私がひたすらテンションを上げた記憶があります。
自動車博物館では子どもたちが展示物に触らないように、気をつけてばかりでした。
小競り合いやけんかが耐えないわが家ですが、旅行での経験の一つ一つから、家族の個性を把握し、困っている時(パニック、怒る)の対応を学びました。
子どもの気をそらせて、落ち着かせていく関わりはおでかけ以外でも日常茶飯事でした。そして、そこにはもれなく、周囲の冷ややかなまなざしや、「そんな時に叱らないからわがままになる」という言葉がありました。「まあ大変ですね」という声かけもありました。
毎回が私にとっては大事な勉強でした。「その子に合った関わりが大事だ」と気付き、いるかひろばで今でも実践しています。
家庭内での小競り合いを軽減していくには?
夏休み、年末年始、春休みなどの長期のお休みは、いつもと違う生活リズムになります。旅行したり、実家に帰省したりで、いつもと違う環境にもなります。普段の日よりもストレスがかかるかもしれません。
自分の思いばかりを主張していたら、家族はなかなかかみ合わないように思います。
- 相手の主張をどこまでOKにできるか。
- どこまで子どもの気持ちをくみ取り、関わっていくか。
- 親の気持ちばかりを押し付けていないか。
生活の中でこれらを把握して関わっていけば、家族内での小競り合いは軽減していくのでは…と思います。
それ以前に、家族のそれぞれの個性を把握することが大事かと思います。
この夏休み、「楽しいこともたくさんあったけれど、ちょっと疲れた」という方がいましたら、ご家族のことをつぶやきにいらしてみませんか?
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