「おねしょ」「加熱式たばこ・電子たばこ」「一緒に遊ぶ機会」「予防接種」の傾向は?|ずっと、ぎゅっと!第3部・高知のエコチル調査より⑤
高知のエコチル調査の基礎データから見えてくる子どもたちの姿と、子育てのアドバイスを紹介します
環境省の「エコチル調査」(子どもの健康と環境に関する全国調査)は、化学物質が子どもの成長に及ぼす影響などを調べる調査です。
連載「ずっと、ぎゅっと!」では、高知の子どもたちの生活に関する基礎データを紹介しています。第 3 部では 5~7 歳のデータを中心に、エコチル調査高知ユニットセンター(高知大学医学部内)からのアドバイスを交えてお届けします。
この記事では「おねしょ」「加熱式たばこ・電子たばこ」「一緒に遊ぶ機会」「予防接種」をテーマに傾向を紹介します。
目次
【おねしょ】失敗しても、焦らず、怒らず、比べず、じっくり取り組みましょう
6 歳の調査で、おねしょについて聞きました。「最近 3 カ月の間、毎月 1 回以上の頻度でおねしょをすることがありましたか?」という質問で、おねしょがほぼないお子さんは 76.9 %でした。
おねしょが 5 歳を過ぎても月に 1 回以上、3 カ月以上続く場合は、「夜尿症」と診断されます。
夜尿症は生活習慣の見直しで改善することがあります。水分は日中しっかり取り、夕食後から就寝前は控えめに。夕食は薄味を心がけ、早めに済ませましょう。
就寝前にはトイレに行く習慣をつけましょう。夜中は無理にトイレで起こさず、寝ている間は寒くないようにしましょう。
生活習慣を見直しても改善が乏しい場合は、薬物療法、アラーム療法などの治療法もあります。
就学後も続く場合は、かかりつけ医に相談を
夜尿の多くは成長とともに軽快しますが、ごくまれに、他の病気が原因となって続いていることもあります。就学後も夜尿の程度が改善しない場合や、ご家庭で生活を工夫してもうまくいかない場合は、一度かかりつけ医に相談することをおすすめします。
おねしょは本人の意思とは無関係に起きるもので、本人の努力不足ではありません。失敗しても、焦らず、怒らず、比べず、じっくり取り組んでいきましょう。
(監修:小児科医・満田直美さん)
【加熱式たばこ・電子たばこ】受動喫煙を子どもたちが避けるのは困難!防煙を心掛けましょう
加熱式たばこ、電子たばこをご存じですか?喫煙者でない方も、広告やコンビニなどで見かけたことがあるのではないでしょうか。ここ数年、「煙が少ない」「紙巻きたばこより安全だ」といった理由で、紙巻きたばこから切り替える割合も増えてきています。
6 歳の調査で、電子たばこの使用状況を聞きました。お母さんが使用している割合は 5.7 %、同居家族では 17.5 %でした。さらに、同居している人の 9.6 %がお子さんの近くで使うと回答しました。
日本禁煙学会では、加熱式たばこは普通のたばこと同様に危険性があると警告しています。しかし、煙が見えにくく、臭いもわずかであることから、子どもたちが加熱式たばこの受動喫煙を避けるのは困難であると考えられます。
受動喫煙には、ぜんそくや肥満などのリスクがあると報告されています。喫煙者ではない子どもたちの健康を守るためにも、「防煙」を心掛けてください。
喫煙される方は、非喫煙者の近くで吸わないこと、屋外の決められた場所で吸うことなどを意識しましょう。お互いが気持ちよく過ごせるようになるといいですね。
(監修:エコチル調査高知ユニットセンター)
【一緒に遊ぶ機会】食事、お風呂、車内…普段の時間も大切に
普段、お子さんと一緒に遊ぶ機会はどれくらいありますか?
5 歳 6 カ月の調査では、「週に 5 回以上」というご家庭が最も多く、37.0 %。「週に 1~2 回」が 35.2 %でした。
9 割以上の方がお子さんと週に 1 回以上は遊んでいて、約 8 %の方はなかなか遊ぶ時間がないという結果となりました。
「残念ながら、なかなか一緒に遊ぶ時間が取れない」という人は、お子さんと一緒に過ごす時間、例えばご飯を食べている時間やお風呂に一緒に入る時間、車の中の時間などを大切にしてみるといいかもしれません。
一緒に歌を歌うなど、移動中の車内でできることもあります。どこかに出かけなくても、子どもにとっては親と遊んだ思い出の一つになるはずです。
子どもは小学校に上がると、友達と遊ぶ時間が増えてきます。習い事などの時間も増えていくでしょう。
家族で遊ぶ時間はいつまでも続くわけではありません。一緒に遊べる間は、泣き笑いも含めて、その時間をたっぷり味わってみてください。
(監修:公認心理師、臨床心理士・小森香さん)
【予防接種】就学前の麻疹・風疹ワクチン、忘れていませんか?
子どものワクチン接種は生後 2 カ月から始まります。たくさんのワクチンがありますが、年齢に応じた接種は完了していますか?
麻疹(はしか)と風疹を予防するMRワクチンは、1 歳( 1 期)と就学前( 2 期)の 2 回接種が推奨されています。7 歳時の調査では、MRワクチン 2 期を接種済みと回答した方は 94.3 %でした。
高知県全体でも、MRワクチン 2 期の接種率は例年 95 %を下回り、全国平均よりも低い接種率が続いていることが報告されています。
母子手帳の接種記録をもう一度確認しましょう
ワクチンにも極めてまれではありますが、副反応はあり、リスクがゼロとは言えません。しかし、ワクチンで防げる病気を予防するメリットの方が、ワクチンのまれなリスクよりもはるかに大きく、意義があります。
定期接種のワクチンは接種時期が決まっていますが、時期が過ぎてしまっていても接種は可能です。その場合は任意接種となります。任意接種は費用がかかりますが、お子さんが未接種のまま病気にかかり、重症化することを予防するだけでなく、周りにいる大切な人々、そして未来の子どもたちを感染症から守ることにつながります。
母子健康手帳をもう一度確認してください。MRワクチン 2 期をはじめ、接種が完了していないワクチンがあれば、今すぐかかりつけ医と相談しましょう。
(監修:小児科医・満田直美さん)
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エコチル調査について
エコチル調査は 2011 年に始まった追跡調査です。全国から 10 万組、高知県からは約 7000 組の親子が参加し、年 2 回の質問票に答えています。
調査期間はお母さんの妊娠期から、生まれた子どもが 13 歳になるまでの予定でしたが、18 歳まで継続されることになりました。
高知県内のエコチル調査は、高知大学医学部内にあるエコチル調査高知ユニットセンターが行っています。
第 3 部で紹介するデータは、2022 年 6 月時点の高知県内の回答に基づく暫定的な結果です。データは四捨五入しており、加算値が 100 %にならない場合があります。
ココハレの「エコチル調査」で「ずっと、ぎゅっと!」を掲載しています。