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南海トラフ地震、乳幼児を育てる家庭に必要な備えは?高知赤十字病院の看護師さんに聞きました

南海トラフ地震、乳幼児を育てる家庭に必要な備えは?高知赤十字病院の看護師さんに聞きました

授乳、食事、持ち出し品…準備を始めてみませんか?

南海トラフ地震への備えはできていますか。「いつか来る」と分かっていながら、「毎日忙しくて、それどころじゃない」「まだ大丈夫」と後回しにしているお父さん、お母さんもいるのではないでしょうか。

近年は西日本豪雨や北海道地震など、大きな災害が毎年のように発生しています。乳幼児を育てる家庭に必要な防災の備えについて、高知赤十字病院の看護師さんに聞きました。「いつか」に向けて準備を始めてみませんか。

(高知新聞2018年9月28日朝刊より)

非常持ち出し品はリュックに入れて、両手を自由に使えるようにしましょう

Q
乳幼児を連れた避難で気を付けることは?
A
両手を自由に使えるようにしましょう

 

災害が起きる時間帯によっては、お母さんが一人で複数の子どもを連れて逃げることが想定されます。非常持ち出し品はリュックサックに入れて背負い、両手は自由に使えるようにしましょう。

地震では道路にさまざまな物が散乱し、粉じんもひどいです。地面に近いベビーカーに子どもを乗せて逃げることはお勧めできません。

歩ける子どもは迷子になるかもしれません。連絡先などを書いた名札を着けておくといいでしょう。

紙コップ授乳の練習をしてみましょう

Q
ミルクを飲ませているので不安です
A
紙コップ授乳を練習しておきましょう

「災害時は母乳がいい」と言われますが、全てのお母さんが対応できるわけではありません。ストレスから母乳が一時的に出なくなるお母さんもいます。

粉ミルクの場合は水が不足し、哺乳瓶の消毒が難しいことが想定されます。紙コップで飲ませる方法がありますので、練習してみてください。

【紙コップ授乳のこつ】

  • 赤ちゃんを縦抱っこする
  • コップが下唇に軽く触れ、コップの縁が上唇の外側に触れるようにする
  • コップを唇につけたまま、赤ちゃんが自分で飲むようにする
  •  注ぎ込まないように注意する

 

※ココハレ編集部より… 2019 年に液体ミルクが発売されました。使い捨てタイプの哺乳瓶と一緒に備蓄しておくと、災害時に安心です。温めていない常温のミルクを嫌がる赤ちゃんもいるので、試してみてください

食事は3日分は用意しておきましょう

Q
食事はどうなりますか?
A
3日分は用意しておきましょう

 

災害の規模にもよりますが、しばらくは菓子パンなどの配給が続きます。食べ慣れたベビーフードを最低でも3日分は用意しておくと安心ですし、食中毒予防にもなります。炊き出しが始まれば、ご飯をおみそ汁に入れておじやにすることもできますよ。

アレルギー対応食も最初は手に入れることが難しいので準備を。徐々に物資が届きますので、避難所の責任者にはアレルギーがあることを伝えておきましょう。

避難所では乳幼児家族を別にしてもらいましょう

Q
避難所で気を付けることは?
A
部屋を分けてもらいましょう

環境が大きく変わって落ち着かず、眠れない、泣きやまない子どもが増えます。おむつ替えでは臭いが気になります。過去の災害では、周囲に気を使って車の中で過ごす家族をたくさん見ました。

避難所では乳幼児連れの家族を別の部屋にする対応が増えています。遠慮せずに、避難所の責任者に部屋を分けることをお願いしてください。子どもは大人のように免疫を獲得できていませんので、感染症予防の点からも有効な対応です。

子どもとのスキンシップを大切に

Q
子どもが落ち着かないときの対応は?
A
スキンシップを大切にしてください

 

子どもはストレスを言葉で表現できません。西日本豪雨の避難所で「おなかが痛い」と訴えた子がいました。話をじっくり聞くと「痛くなくなった」と元気になりました。ストレスだったのだと思います。

極端に甘えたり、わがままを言ったり、赤ちゃん返りをする子どももいます。非常時における正常な反応です。叱らずにスキンシップを増やしてください。遊びの場をつくる、お手伝いできる子には役割を与えることもいいでしょう。

大人の気持ちが安定しないと、子どもは不安になります。お父さん、お母さん自身のケアも大切に。不安な気持ちは抱え込まずに話してみてください。

持ち出し品は3日分を目安にまとめましょう

非常時の持ち出し品は3日分を目安にまとめましょう。両手が自由に使えるように、リュックサックがお薦め。子どもを連れて逃げられるかどうか、背負ってみてください。

中身は半年に1回は確認を。お子さんの誕生日など、覚えやすい日に決めておくといいですよ。

ホットタオルの作り方

体をきれいにしたい時はホットタオルが便利です。タオル、ビニール袋、カップ、熱湯で作れます。

周囲の理解と助けが必要です

高知赤十字病院看護師長・矢野明美さんからアドバイス

東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨で支援活動に携わりました。大勢の被災者が集まる避難所は不衛生になりやすく、感染症が発生しやすくなります。

環境の変化が大きなストレスとなる乳幼児とその保護者は、災害時に支援が必要な「災害時要援護者」です。幼い命を守るためには家庭での備えに加え、周囲の人の理解と助けが必要です。

 

■日本赤十字社高知県支部からのお知らせ

日本赤十字社高知県支部では「災害時の乳幼児支援」を含む「幼児安全法」の講習を行っています。子どもの心肺蘇生や病気、けがへの対応も学べます。問い合わせは事業推進課(088・872・6295)へ。

この記事の著者

ココハレ編集部

ココハレ編集部

部員は高知新聞の社員 6 人。合言葉は「仕事は楽しく、おもしろく」。親子の笑顔に出合うことを楽しみに、高知県内を取材しています。

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