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女性の「働きたい」を無料でサポート!「高知家の女性しごと応援室」

女性の「働きたい」を無料でサポート!「高知家の女性しごと応援室」

子育てしながら働きたいお母さんの味方「高知家の女性しごと応援室」を訪ねました

出産後、「そろそろ働きたい」と就職や再就職を考えているものの、子どもの預け先に困ったり、「ブランクがあるけど、ちゃんと働けるかな」と不安を感じたりして、ためらっている女性は少なくないそうです。

そんな女性たちの就労支援に取り組んでいるのが、高知市内にある「高知家の女性しごと応援室」。女性に特化した高知県の就労相談窓口で、年間 1500 件前後の相談に対応しています。「子育てしながら働きたい」と考えるお母さんたちにどんなサポートを行っているのか、訪ねてみました。

女性しごと応援室は「ソーレ」の3階にあります。落ち着いて相談できます

「高知家の女性しごと応援室」は 2014 年 6 月、高知県がこうち男女共同参画センター「ソーレ」(高知市旭町 3 丁目)に設置しました。現在は 3 階に部屋があり、女性のキャリアコンサルトを中心に 11 人の職員が対応しています。

主な業務は、「女性の就労に関する相談への対応」と、求人の開拓などによる「就職情報の一元提供」。「働きたい」と希望する女性に対して、「どんな仕事をしたいか」「どんなペースで働きたいか」「子どもの預け先をどうしたいか」などの希望を聞き取り、ぴったりな仕事を一緒に探し、就職につなげています。

室内には仕切りのある相談コーナーのほか、キッズスペースがあります。予約制の無料託児サービスもあり、落ち着いて相談できる環境が整っています。

「高知家の女性しごと応援室」の入り口
「高知家の女性しごと応援室」の入り口
仕切りに囲まれた相談ブース
仕切りに囲まれた相談ブース
ブース内には求人情報の閲覧や適性診断を行うパソコンがあります
ブース内には求人情報の閲覧や適性診断を行うパソコンがあります
キッズスペースもあります
キッズスペースもあります

ちゃんと働けるかな…迷っている人、自信のない人には職業適性診断

相談は無料。30 ~ 40 代を中心に、これまでに 10 代から 80 代まで、延べ 2400 人以上の相談に対応してきました。

20 ~ 40 代の子育て世代は、子育て真っ最中の人と、子育てからある程度手が離れた人に分かれています。キャリアコンサルタントで産業カウンセラーの資格を持つ山下由香さんによると、「事務系で働きたい」など、はっきりした意思のある相談よりも、「家庭のためにも働いた方がいいとは思うのですが、私にどんな仕事ができるでしょうか」といった漠然とした相談が多いそうです。

職業適性診断はパソコンで行います
職業適性診断はパソコンで行います

40 代のAさんは 3 人の子どもを出産後、「これから学費がかかるので働きたい」と再就職を考えるようになりました。「ずっと家庭にいるのではなく、社会とも関わっていきたい」という思いもありました。ただ、前の会社を辞めてからブランクが数年あり、「ちゃんと働けるかな」と不安で、応援室を訪ねました。

相談では、Aさんの希望や経歴、持っている資格、パソコンを使った職業適性診断などから、Aさんにどんな仕事が合っているのかを見つけていきました。さらに、Aさんと子どもたちの生活に合った働き方の条件を決め、フルタイムではない働き方ができる介護系の仕事に挑戦することになりました。

その後、条件に合った事業所をキャリアコンサルタントと一緒に訪問し、就職後の働き方や職場の人間関係などを事前に確認。履歴書の書き方を教えてもらいながら一緒に書くといった細かいサポートも受け、最初の相談から 3 カ月以内に就職することができました。

応援室を訪れる女性は「迷っている人や、自信のない人が多い」そうですが、山下さんは「お母さん同士や保育園の先生とコミュニケーションを取ったり、地域活動に参加したり、子育て中の経験は次の仕事に生きていきます。ご本人は気付いてないですが、お母さんはかなりの即戦力になるんですよ」と話します。

パート、時短、週3日…女性の多様な働き方に対応しています

最近の相談を分析すると、「働きたい」と考えている子育て中のお母さんには、次のような希望が多いそうです。

  • 夫の扶養範囲内で働きたい
  • 延長保育を使わずに、子どもを送り迎えできる時間( 9 ~ 15 時)で働きたい
  • 週 3 日くらいからスタートして、慣れたら週 4 日か 5 日に増やしてもいい
  • 将来、正社員に登用してもらいたい

「そんないい条件が実際にあるの?」と驚きますが、人手不足の現在は、事業者側が働き方改革や短時間労働に対する意識改革を進めているそうで、山下さんによると、「ある時にはありますよ」とのことです。

応援室でも、子育て中の女性の多様なニーズに応えるため、県内の事業所に「フルタイム 1 人の求人を、午前と午後のパート 2 人に分けてみたらどうですか」といった働きかけをしています。求人の仕方を変えたり、育児・介護と仕事の両立を支援するために、30 分、1 時間単位の時間休を取り入れたりする事業所も増えてきつつあるそうです。

電話相談に応じる山下由香さん
電話相談に応じる山下由香さん

それでも、再就職したものの、退職するお母さんがいます。退職の主な理由が「人間関係」。「職場の人に受け入れられなかった」「子どもが熱を出して早退することに、理解が得られなかった」といった声が寄せられています。事業者側には、時短や休暇などの制度をきちんと使えるものにすることと、育児中の人の仕事をカバーする人への配慮が求められています。

相談に訪れる女性の多くが家庭を大切にしながら、「自分自身の人生、生き方も大切にしていきたい」と口にするそうです。家庭の状況や金銭面など、子育て中の女性の再就職にはハードルがありますが、山下さんたち応援室のキャリアコンサルタントが大切にしているのが「あなたはどうしたいんですか?」という問いかけ。じっくり話をしながら、その人の思いを引き出して整理し、その人に合った就職につなげています。

山下さんは「女性のライフプランを一緒に考え、働きたい女性を応援するのが私たちの仕事です。子育て中でも心配することはありません。自分自身の力をぜひ試してみてください」と話しています。

 

 

こうち男女共同参画センター「ソーレ」
こうち男女共同参画センター「ソーレ」

「高知家の女性しごと応援室」では女性の就労相談に無料で応じています。男性の場合は相談内容を確認した上で、専門の相談先を紹介しています。電話やメール、ウェブサイトで相談の予約ができます。

高知家の女性しごと応援室

  • 所在地:高知県高知市旭町 3 丁目 115 こうち男女共同参画センター「ソーレ」3 階
  • 受付時間:月曜… 9:00 ~ 17:00 、火、木曜… 9:00 ~ 18:00 、土曜… 10:00 ~ 17:00
  • 水曜、金曜、祝日、年末年始はお休みです
  • 電話:088-873-4510
  • メール:soudan@kochijyosei.jp
  • ウェブサイト:https://www.kochijyosei.jp/

この記事の著者

武田茉有子

門田朋三

小1と年少児の娘がいます。「仲良し」と「けんか」の繰り返しで毎日にぎやかです。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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