男性の育休・取得した自分たちが伝えたいこと②|2週間取った市原諄さん「同じ親だから、妻だけに任せず一緒に育てたい」
パパもママも親。「育休取ってよかった!」と話す男性、高知でも増えています。
育休を取る男性が高知県内でも増えています。取得したお父さんたちに「どうでした?」と尋ねると、「取ってよかった!」と明るい声が返ってきました。 皆さんの体験談を紹介します。
第 2 回は、土佐市に本社があるスーパー、サンプラザ勤務の市原諄さん( 31 )。 2022 年 2 月、前年に生まれた長女の入園準備のため、育休を 2 週間取りました。「自分も同じ親なので。妻だけに任せるのではなく、自分も関わりたいと思った」と話す市原さんに、育休中を振り返ってもらいました。
(①はこちら)
目次
長女の入園準備で2週間の育休。スケジュールはぎゅうぎゅうでした
――サンプラザではどのようなお仕事を?
市原諄さん(以下、市原)育休を取った当時は、高知市の塚ノ原店の総菜部門でチーフをしていました。お総菜がよく売れるように考えて、品物を管理したり並べたりする仕事です。
――育休は、娘さんが1歳になる手前に取られたんですね。
市原:長女が生まれた時は店が忙しかったし、男性が育休を取っていいかどうかもよく分からなくて。だからあきらめかけてたんですけど、上司に「取れるよ」と声を掛けてもらって 、1 歳に間に合うように取ることができました。
――ちょうど、入園準備のタイミングですね。
市原: 2 週間の育休は長いようで、スケジュールはぎゅうぎゅうでした。保育園の説明会に行って、用品の買い出しに行って、慣らし保育に送迎して…。園で汚しても大丈夫なように服や肌着を 10 枚以上買ったら、家に物がすごく増えてしまって。
――よく分かります。
市原:通い始めたら、必要な物を毎日そろえないといけないでしょう。これは大変だと思いました。
動線を意識して模様替え。仕事のスキルが家庭でも生かせました
市原:とにかく、毎日の負担を減らす必要があると思って。数日掛けて家中を整理して、収納場所を徹底的に見直しました。
――大事な作業です。
市原:無駄がない家事動線を考えて、部屋を模様替えして…。起きてすぐに着替えられるように、寝るスペースの近くに服置き場を作りました。保育園の物品専用のコーナーも作って、効率がいい並べ方にこだわりました。
――時間も労力もかかりますね。
市原:そうです。妻が子どもを見ながら 1 人でやってたら、大ごとでした。一方、自分はスーパーの売り場作りやバックヤード管理が仕事で、効率的な動線とか、物の並べ方とか、いつも職場で考えています。スキルが家庭でも生かせて、うれしかったです。
復帰後は、育休中をカバーしてくれた人に優先的に休んでもらいました
――小売業は、人手不足が続く業界です。仕事のカバーが大変だったのでは。
市原: 2 カ月前から、育休を取ることを同僚や部下に説明して、指示書を作って引き継ぎました。勤務日を増やしてもらった人もいたので、自分が復帰した後は、優先的に休んでいただきました。
――仕事の都合を付けてでも、「育休を」と思った理由を聞かせてください。
市原:理由ですか…。うーん。理由っていうか、すごく普通に、そう思いました。
――ごく自然に、という感じですか。
市原:そうですね。それほど特別なことではなくて、自分も妻も同じ「親」だよな、と。むしろ妻だけに育児を任せている状態の方が、ちょっと違うんじゃないか…という感覚もあったので。一緒に育児することは自然だと感じています。
――社内でも、育休を取る男性が相次いでいると聞きました。
市原:いいことだと思います。できれば後輩にも取ってほしくて。会うことがある人には「カバーに行くき、応援要請を出してよ」と伝えています。それぞれ仕事の都合はあると思いますが、もっと広まればいいなと思います。
【ココハレ編集部より】育休を取って、何するの?
「奥さんが家にいるのに、男が育休取って何するの? 2 人でかわいいね、かわいいね~って言い合うの? それで給付金もらえていいね」
これは、ココハレ編集部・竹内の友人が、実際に職場で聞いた言葉です。「そんな認識!?」とギョッとしてしまいますが、正直「あるある」の発言とも言えます。
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赤ちゃんがいる生活は忙しく、育休を取ったパパたちからは「授乳して家事して、一日があっという間」という話をよく聞きます。ココハレ読者の皆さんなら、きっと同意してくださると思いますが、市原さんが取り組んだ入園準備のように、大人の手が欲しい場面はいくらでもありますよね。
さらに「2人でかわいいねって言い合う時間」も、大切でかけがえのない経験のはずで、揶揄(やゆ)するような言い方はおかしいです。
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厚生労働省の 2020 年の調査では、育休を取ろうとした男性の 4 人に 1 人が職場でハラスメントを受けていました。内訳は、上司からの「制度の利用を阻害する言動」が最も多く、 53.4 %が経験していました。
高知労働局には、ハラスメントなどを相談できる窓口があります。
「男性が育休取って、何をするの?」。冒頭の発言はともかく、取材の実感としては、純粋に分からなくて発言する人も多いようです。ココハレ編集部では、いろんな疑問にお答えできるよう、これからも男性育休について発信していきます!
2022年10月から男性育休が取りやすくなります!解説付きの①はこちら
③の公開は 4 月 27 日を予定しています。