「ペアレント・プログラム」を受けてみた⑤|「デンジャラス」を探して「ギリギリセーフ」を極めよう!
褒めるこつを学ぶ「ペアプロ講座」をココハレ編集部員がリポートします
子どもの困った行動を理解し、褒めて育てるこつを学ぶ「ペアレント・プログラム(ペアプロ)」。5 歳児と 2 歳児を育てるココハレ編集部・門田が高知市内で開かれている講座を受講し、全 6 回のシリーズでリポートします。
5 回目のテーマは「ギリギリセーフをきわめる!」。自分や子どもの「困っているところ」はどんな場面で起きてしまうのか。鍵を握る「デンジャラス」を探しました。
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ギリギリセーフ行動を取る前に、「怒る」こと自体を減らしたい!
高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」で開かれているペアプロ講座も、はや 5 回目となりました。「自分編」と「子ども編」(私の場合は5歳長女)に分けて、「いいところ」「努力しているところ」「困ったところ」を書き出す現状把握を続けてきました。
4 回目の講座では、「困ったところ」から「いいところ」「努力しているところ」を引き出すことに挑戦。困らないように対処する「ギリギリセーフ行動」を見つけることで、自分も長女もずっと困っているわけではなく、それなりに対応できていることに気付きました。
4 回目の講座後、現状把握表を清書しました。まずは「自分編」。
私は「気分の調節」というカテゴリーの中で「怒る」ということに一番困っています。
【困ったところ】
- すぐに怒る
- けんかになると食い下がる
- 怒りのスイッチが入ると、過去にさかのぼって怒る
↓
【ギリギリセーフ行動=努力しているところ】
- 怒りをすぐに相手にぶつけないようにためる
- 「私はイライラしている」と口で説明する
うまく対処できることもありますが、そもそもの「怒る」という感情をもう少し抑えられたらいいなと感じました。
続いて、「子ども編」がこちら。
長女の場合は、まだ 5 歳ということもあり、「ギリギリセーフ行動」を取るためには大人の手助けが必要です。例えば、こんな感じ。
【困っているところ】自分が一番にならないと怒る
↓
【ギリギリセーフ行動=努力しているところ】「一番」を妹と交代にする(大人の提案が必要)
長女の場合も「怒る」に困っています。子どもの感情を無理に抑えることはしたくありませんが、日々の子育ての中では「もう少しかんしゃくが減ったらな…」とは思います。
最難関の宿題?!現状把握表を見た夫の反応は?
4 回目の講座にはある宿題が出されていました。それは「現状把握表を夫に見せる」というもの。参加者から「えーっ!」と声が上がった最難関(?!)の宿題。この日の冒頭、それぞれが発表しました。
- 「え?見るの?」「まぁ、そうか…」という反応だった
- 「ふーん」で終わった
- 「こんなのやってるのね」ぐらいだった
- 「いつもよくやりゆうと思う。『困ったところ』は今の時期仕方ないし、そんなに問題視することないんじゃない?」と言われた
夫の反応は 1 人を除いて大変薄く、お互いにほっとしたことでした。ちなみに、わが家では「分かりました」の一言。ただ、現状把握表を見せることで、「私はむやみに子どもを怒ってるわけではなく、怒らないようにあれこれ考えて努力はしている」と具体的に伝えるきっかけになりました。
「ギリギリセーフ」の鍵!「デンジャラス」はどこだ?
前回を振り返ったところで、この日の本題「ギリギリセーフをきわめる!」です。対処行動である「ギリギリセーフ」が見つけにくい行動について、さらに分析することになりました。
状況把握の鍵となるのが「デンジャラス(危険)」だそう。「困ったところ」が起きてしまう「時間」「場所」「相手」「作業」を探っていきます。例えば、こんな流れです。
- 【困ったところ】必要な物をよく忘れる→【どんな時に忘れる?】朝、急いでいる時(=デンジャラス・タイム)
- 【困ったところ】イライラした時に周りに当たる→【誰に?】子どもに(=デンジャラス・パーソン)【どんな時に?】食事中(=デンジャラス・タスク)
「デンジャラス」と逆の状況を考えると、ギリギリセーフ行動が見つかるとのこと。早速、「自分編」を分析しました。
私はいつ怒っているのか?「朝の準備」「夜、帰ってから寝るまで」でした。では、なぜ怒るのか…。「あっ、時間がないからだ!」
子育て中は朝も夜も「何時までにこれをしなきゃ!」と時間に追われます。5 歳と 2 歳という年齢を考えると、「効率的に」というのはまだまだ難しい。となると、怒らないためには子どもたちにかける時間を増やして余裕を持つ必要がある。そのためには、仕事の効率を上げて早く帰ろう…というのが結論となりました。
「すぐに怒る」という行動で浮かんだ「デンジャラス・パーソン」は夫でした。こう書くと夫が危険人物みたいですが、そうではありません!
夫は日頃から、私が大きな声で子どもを叱ることに対し、いらだちを感じています。私は夫がいらだつことに対して、「私は叱りたくて叱っているわけではないのに!」といらだち、ここでいつもけんかになります。では、どうすればいいのか。次の二つが浮かびました。
- 子どもを叱る理由を夫に冷静に説明する
- 「叱りたくて叱っているわけではないので、私が叱っているその場面だけを見て否定しないでほしい」と伝える
続いて、「子ども編」がこちら。
長女がどんな時に怒ったり、かんしゃくを起こしたりするのかを考えると、意外にも「楽しい時」「休日」でした。
例えば休日、「歯を磨いて」「服を着替えて」と伝えると、長女は「分かっちゅう!」「後でする!」とぷんぷんします。反抗的な態度にイライラさせられますが、「もしかしたら『お休みの日は時間があるから、私の順番でしたい』と考えているのかもしれない」と、分析しながら感じました。
私の「困ったところ」にある「子どもに『ちゃんとする』ことを求め過ぎる」とも通じますが、子どもは子どもなりに予定を立てているのだと気付かされました。「子どもの考えを聞く」という親の対応(環境調整)が、ギリギリセーフ行動のために必要なのだと思います。
「デンジャラス」「ギリギリセーフ」を見つけることで、考え方が変わりました
他の参加者からは、以下の「ギリギリセーフ行動」が発表されました。
【自分編】
- 「早くしなさい」とせかす→待ったり、早めに準備する
- 夜やるべきことをせずに携帯を見る→「ギリギリセーフ」は見つけられなかったが、「息抜きになってるならいいんじゃない?」と言われて気持ちが楽になった
- 自分の思いを具体的に話すことが苦手→とりあえず、思っていることを口に出す
【子ども編】
- スーパーで走っていなくなる→約束してお店に入ると、短時間は歩いて買い物ができる
- 一つ嫌なことがあると、解決するまで泣き続ける→ 5 回に 2 回くらいは時間がかかるが、気持ちを切り替えられる
- 周りを見ずに走ってよく転ぶ→お友達がいる時はぶつかる寸前に止まっている
文章だけ読むと、どれもとても平凡です。夫たちの反応ではありませんが、「ふーん」「そりゃ、そうでしょ」という印象を受けるのではないかと思います。
ですが、この発表に至るまでの作業、つまり「困ったところ」を分析し、「デンジャラス」を考え、「ギリギリセーフ行動」を見つける中で、自分の苦手なことを発見したり、日々の子育てを反省したり、自分なりのアイデアを見つけたりすることができました。この過程を体験することがペアプロの醍醐味(だいごみ)で、考え方の変化につながるのだろうなと感じた 5 回目の講座でした。
分析はできました。子ども、そして夫との関係は変わるのか?!次回はいよいよ最終回。3 月下旬に開かれます。