スポーツ、音楽、絵画、書道…高知の子どもたちが活躍しています!
5 月 5 日は「こどもの日」。高知新聞の紙面では「こどもの日スペシャル」と題し、スポーツ、音楽、絵画、書道で活躍している子どもたちが紹介されました。練習に励む真剣な姿や、入賞した喜びの表情をお届けします。
目次
マリンバで世界2位 山口さん(土佐女子中2年)
国際的な演奏家を輩出している「バンベルク国際マリンバコンクール」で、高知市の土佐女子中2年、山口絢愛(あやら)さん(13)が13歳以下の部で2位に輝いた。受賞を喜ぶ山口さんは「自分が120パーセント納得できる演奏をしたい」と、さらなる鍛錬に励んでいる。
幼いころからピアノと声楽を習っていた山口さんがマリンバを始めたのは、江陽小4年の秋。同級生に誘われ学校のクラブに加わった。やがて、表現力の高さとのみ込みの早さが外部講師のマリンバ奏者、山下恵理さん(43)の目に留まり、教室に通うことになった。
持ち前のセンスと努力でめきめき力を伸ばし、数カ月後には「KOBE国際音楽コンクール」で奨励賞を受賞。小学6年の冬には全国大会で目標にしていた本選考に残った。
だが、予想だにしない事態が起きた。全国的な新型コロナウイルスの感染拡大。東京で開催予定だった大会は中止となった。「覚悟はしてた。でも、ショックは消えなかった」
両親が医療関係者ということもあり、以降は感染防止の観点から県内コンクールに絞って出場。全国大会の出場権を得ても、辞退を続けてきた。
そんな時に国際大会を知った。1次選考、ファイナルとも動画を審査する形式。知ったのは申し込み締め切りまで1週間と時間はなかったが、挑戦しない選択肢はなかった。
1次は「ボロボロの演奏だった」ものの何とか通過。6人のファイナルに向け、3カ月で新たに2曲に挑戦することを決めた。
うち1曲が「独り」。マリンバの国内第一人者、安倍圭子さんの作曲で、母親のがん宣告を知った時の悲しみ、揺れ動く感情を表現している。
曲の色を思い浮かべて演奏するという山口さんは「イメージは海底の深い青。泣いている、悲しんでるって感じながら弾いた」。
あまり自信はなかったが、結果は2位。審査員を務めたマリンバ界の巨匠、ゴードン・スタウトさんから審査員特別賞も贈られた。
「まさかでした。今でも実感が湧かないくらい」。山下さんも、「ファイナルに残っただけでもすごいって2人で話してたのに。びっくり。本当によく頑張った」とたたえた。
現在は、6本バチに挑戦中。「大会の結果はあくまで後からついてくるもの。作った人の思いを込めた、いい演奏をするのが目標です」。山口さんの奏でる音色は進化を続ける。(福井里実)
陸上女子100メートルで日本一 岡林さん(南国市大篠小6年)
力みのないストライドでぐんぐん加速。しなやかに駆ける背中には羽が生えているかのよう。2020年度の小学生女子100メートルで全国1位の12秒77を記録した、南国市大篠小6年の岡林結衣さん(12)。走っている最中の「風も音もない、自分だけの世界」が好きだと笑う。
小学女子の日本記録は12秒67。岡林さんは小学5年だった今年3月、高松市の大会で0・1秒差の好記録で走った。「計測器が壊れているかと二度見した」と、自身も驚く結果となった。
競技を始めたのは小学1年の時。陸上クラブ「まほろば南国」で鍛える五つ上の兄と、二つ上の姉の背中を追った。土曜はクラブで、日曜は家族で浜辺や山道を走って練習。新型コロナ禍の冬場には、一本げたをはいたり、ダンスしたりして体幹を鍛えてきた。
兄、姉とも中学の400メートルリレーで全国4位となった実力者。常に先を行く身近な存在に、今年3月の大会まで「自分の足が速いとは思ってなかった」という。
目標は、兄と姉を超えること。具体的な目標は「個人で全国3位以上」とし、「まずは姉に勝ちたい」。
その先に、16歳で五輪に出場した、憧れの土井杏南選手(JAL)の持つ中学記録(11秒61)の更新や、日本代表入りが懸かる大会への出場などの夢を膨らませている。
「果物とかハッシュドポテトとか。食べることが好き」とはにかむ育ち盛り。前に誰もいない世界を目指し、駆ける。(宮崎順一)
カニの絵で全国大賞 岡村君(高知市潮江小1年)
全国公募の「ブリヂストンこどもエコ絵画コンクール」で高知市の潮江小1年、岡村駿(すぐる)君(6)が描いた「元気なカニ」が大賞に輝いた。鮮やかな赤のカニが生き生きと描かれており、岡村君は「これからもいっぱい賞を取りたい!」と張り切っている。
コンクールは2003年から毎年開催。今回は「せかいに つたえよう! すきな しぜん」をテーマに小学生以下の子どもが5万6579点を寄せた。大賞は5点のみ。
岡村君は、たくさんの受賞歴がある姉の栞奈(かんな)さん(11)に憧れ、3歳から幼稚園の絵画教室に通い始めた。絵を描くのは「ゲームをするのと同じくらい大好き」という。受賞作は一昨年の夏に、鏡川の上流で見つけたサワガニを思い出して描いた。
一番大きなカニはお父さんで、とびきり大きなはさみは「サメの歯より鋭い」。逆さまの小さなカニは「水の高いところから落ちた赤ちゃん」。手を真っ赤にしながらクレヨンを握り、1カ月(計4時間)ほどで仕上げた。審査員の漫画家、ヒサクニヒコさんは、「明るい色で元気よく描かれており、うれしくなりました」とコメントした。
大賞受賞の知らせに、「いろんな人がびっくりして、うれしかった」と岡村君。これからも「人とか宇宙人とか、でっかい鳥とか車とか。難しい絵をいっぱい描きたい」とやる気満々だ。(石丸静香)
書道全国展で上位入賞 楠瀬さん(県立安芸中1年) 有光さん(土佐女子中1年)
すっと背筋を伸ばして一呼吸置き、半紙に筆を走らせる。楠瀬心実(ここみ)さん(12)=県立安芸中1年、有光由藍(ゆら)さん(13)=土佐女子中1年。通う学校や書道教室は違うが、ともに安芸市在住で同学年。互いに全国展で上位入賞した経歴も。高知の書道界を背負う人材に、と期待されている。
2人は姉や兄の影響で小学入学後に書道を始めた。書道の喜びを「筆が思うように動きだす」(楠瀬さん)、「思うような字が自然と書けだす」(有光さん)と、口をそろえる。
時間を忘れて練習する姿勢も同じ。楠瀬さんは4時間半、100枚以上をぶっ続けで書いたことも。有光さんも硬筆と習字で4時間ほど、字と向き合うという。
全国で約1万5千人の応募がある全国学生書道展でも活躍。楠瀬さんは小学5年時に準大賞に輝き、有光さんは翌年に書道芸術院理事長賞(3位相当)を受賞した。
ともに小学校では運動会のスローガンや教室に張り出す目標などを書くように頼まれるそうで、「誇らしい」とはにかむ。
そんな2人の目標は「全国学生書道展の大賞」。半紙に協力して、「切磋琢磨(せっさたくま)」と記してくれた。力強い筆致同様、強い思いで高みを目指す。(宮崎順一)
高知県レスリング界 期待の星 楠瀬君(十市小6年)
マットの上では存在感がある。南国市の十市小6年、楠瀬空詩(こうた)君(11)。身長130センチ、体重34キロと小柄ながらも物おじせず、果敢に攻める。県レスリング界の期待の星だ。
小学1年の時。2016年のリオ五輪を見た父の勧めで、「極東ジュニアクラブ」を見学。同い年の選手を倒し、「手加減してくれたんだろうけど。楽しかった」と入門した。
練習相手に負けて泣くこともあったが、覚えの早さと向上心が実り、小学3年時に初出場の全国大会で優勝。4年時には別の全国大会で3位入賞した。
持ち前のスピードに加え、「力負けしないように」と相撲も練習。自宅で四股やすり足に励む。「全国の強豪選手にライバル視されている」(小玉康二監督)選手に育った。
県レスリング界は、今年3月の全国高校選抜大会で南高1年(当時)の西内悠人さんが初優勝するなど活況続き。ただ先輩たちの練習を間近で見ているから、楠瀬君に夢を尋ねても、大言壮語は口にしない。「まずは目の前の大会で頂点に立つこと」という。
「小学校最後の年。全国大会があれば、絶対に優勝する。誰にも負けたくない」。勝利を重ねた先に大舞台が待っている。(村上和陽)