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保育園、幼稚園、学校…先生との関係で困っていませんか?|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㉑

保育園、幼稚園、学校…先生との関係で困っていませんか?|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㉑

子育ての悩みに寄り添ってきた「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します

子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。

コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営する特定非営利活動法人の理事長・土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。

今回は保育園や幼稚園、学校の先生との関係について、土居さんが思いをつづりました。

これまでのコラムはこちら

保育園が大好きだったA君。楽しい生活が一転しました

この 20 年ほどで、子育てのコミュニティーはずいぶん変わりました。昔は子どもと一緒に遊べる場所が公園ぐらいしかなかったのですが、今は子育て支援センターや子育てサークル、サロンなどずいぶん増えました。

こうしたコミュニティーは自分に合った場所を選んで利用できます。選択肢がたくさんありますので、「合わないな」と感じたら、別の場所を見つけていただきたいです。

ですが、保育園や幼稚園、学校となると、ご家庭に合う場所を…というわけにはいきません。いったん入園・入学したら、安易に転園・転校はできません。

そういう状況の中で、とても考えさせられる相談を寄せられることは、実は少なくありません。

入園した頃は保育園が大好きだったA君。毎日楽しく通っていました。

お友達とけんかしたり、自分の思いをぶつけて怒ったり、泣いたり…。担任の先生は子どもたちのそんなありのままの姿をありのまま受け止める方でした。園での様子を見守り、降園時にお母さんに丁寧に説明してくれていました。保育園はお母さんにとって、安心して子どもを預け、時には心配ごとを一緒に考えてくれるありがたい場所だったそうです。

しかし、担任の先生が替わり、これまでの保育園生活が一転しました。

A君は「いやだ~!」「保育園行きたくない~!」と登園前に泣き叫ぶようになりました。お母さんはそんなA君をなだめたり、あやしたり、気をそらせたり。時には園を休ませました。いろんな手を尽くしても、全く改善しなかったそうです。

先生に相談すると、「保育園では、そんなことないですけどね…」と言うばかり。お母さんはだんだん追い詰められていきました。。A君は「先生怒るき、いや!」と訴えたそうで、お母さんは「でも…そんなことは先生には言えません…」と泣いていました。

卒園式の当日、A君は「やった~!」とすごく喜んでいたとのことです。卒園までの親子の心情を思うといたたまれない気持ちになりました。

子どもたちだけのままごと遊び。親御さんは様子を見ています(写真と本文は関係ありません)
子どもたちだけのままごと遊び。親御さんは様子を見ています(写真と本文は関係ありません)

A君のお話は一例です。ほかにもこんな相談を受けました。

「困った」と伝えるのが苦手なB君。お母さんは園に相談しました。

母「うちの子、自分が困った時に『困った』と言えないんです」

先生「そんなことないですよ」「保育園ではちゃんとできていますよ」

確かに、園でのB君はしっかりできているのでしょう。ですが、園で頑張った反動が家で起こることがあるのです。現に、B君は家でパニックを起こし、お母さんが困っています。お母さんは「先生に伝えても理解されないので、諦めるしかありません」と話していました。

Cちゃんは園の行事があるたびに、登園を嫌がります。お母さんがCちゃんに理由を尋ねると、行事のたびに先生が「Cちゃんこれやってね」「Cちゃんがいてくれないと、劇が進まない」「頼んだよ、Cちゃん」と声を掛けるのだと教えてくれました。

お母さんは「先生から頼りにされていることがストレスになっているのでは」と考え、先生に伝えました。でも、先生は「Cちゃんは上手にやっています」と言うばかり…。お母さんは「先生はうちの子を本当に見てくれているのでしょうか。泣きながら登園するたびに、行事がなくなればいいのにと思う」と話していました。

「良かれ」と思っての声掛けが、傷つけることもあるのです

A君、B君、Cちゃんに共通するのは、先生が「手がかからない、ちゃんとした子」と捉えていること。園での姿は「子どもが頑張って見せている姿」であって、家庭では違うことや、お母さんがそのギャップから子育てをしんどく感じていることに気付いてません。

先生と保護者との関係には難しいケースがあるのは事実です。「モンスターペアレント」という言葉もあります。ですが、紹介したお母さんたちは決して「モンスター」ではありません。先生に理不尽な要求をしているのではなく、ただ「子どもを見守ってほしい」と願っています。

もちろん、先生方に悪意はないでしょう。「良かれ」という気持ちで声掛けをされているのだと思います。でも、その「良かれ」が時には真逆に受け止められたり、傷つけてしまったりしている事実もまた、存在しています。私たちは子育ての伴奏者として、常に俯瞰(ふかん)の目で親子に向き合いながら、話を傾聴し、困りごとを一緒に考えていかなければと思います。

同じようなことで悩んでいらっしゃる方はぜひ、信頼できる人にどんどん愚痴をこぼしてください。あたなの話をひたすら聴いてくれる人、自分の見方のみにとらわれていない人が、あなたのよき支援者になると思います。そして、もしよかったら、いるかひろばでもお話を聞かせてくださいね。

 

土居さんに相談したい場合は、「いるかひろば」に問い合わせをしてください。

高知市地域子育て支援センター「いるかひろば」

  • 住所:高知県高知市六泉寺町22 港孕保育園内
  • 電話:088-834-1484
  • 利用時間:月~金曜日 9:30~15:30、土曜日(月 2~3 回)9:30 ~ 12:00
  • 駐車場:無料。4 台(身体障害者用が 1 台)。置けない場合は提携先を案内します
  • オンラインいるかひろば:月~金曜日 11:15~11:45、15:00~15:30。一度ご連絡ください

※まん延防止等重点措置の適用で、高知市内の支援センターは 2 月 12 日から 3 月 6 日まで交流スペースが休止されます。オンラインいるかひろばは午前中が 11:00~11:30、午後が 15:00~15:30 になります。

土居さんへのインタビューはこちら

この記事の著者

門田朋三

土居寿美子

高岡郡梼原町出身。保育士として 2005 年から高知市の港孕保育園に勤務。07 年から港孕保育園内にある地域子育て支援センター「いるかひろば」の常勤スタッフとして、親子に寄り添った支援に取り組んできました。19 年 11 月に特定非営利活動法人いるかひろばを立ち上げ、理事長に。20 年から、いるかひろばをNPOとして運営しています。趣味はバレーボール。洋服やケーキなど何かを作ることも好きです。好きな言葉は「一所懸命」。

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