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泣きわめく子どもに、あなたはどう関わりますか?|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㉔

泣きわめく子どもに、あなたはどう関わりますか?|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㉔

子育ての悩みに寄り添ってきた「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します

子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。

コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営する特定非営利活動法人の理事長・土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。

ゴールデンウィークが終わりました。土居さんは利用者から「連休は実家でゆっくりできた」と聞くと、あるお母さんを思い出します。そのお母さんは実家で暮らしながら、わが子が泣きわめくことに困っていました。

これまでのコラムはこちら

突然泣きだす、大声を出す…否定はせず、その裏にある気持ちを大事にしました

今年は 2 年ぶりに制限のないゴールデンウィークとなりました。皆さん、どのように過ごされましたか?少し遠出をした、実家に帰省した、家族でゆっくりした…さまざまな過ごし方があったと思います。

連休明けには「久しぶりに、実家でゆっくりできました」という声をたくさん聞きました。その言葉を聞くと、私はAさん親子を思い出します。

 

■東日本大震災後に高知に戻り、実家で暮らしていたAさん親子

東日本大震災が起きた 2011  年、東北や関東から高知に避難していた方がいましたね。いるかひろばにもそんな親子が 10 組以上いらっしゃいました。Aさんは 2 歳ぐらいになる娘さんと一緒に、高知の実家に避難したお母さんでした。福島の原発事故による放射能汚染の影響を心配されていました。

いるかひろばに初めて来た時、娘さんは周りの様子を見ながら、固まっていました。毎日来るようになり、徐々に慣れ、表情も明るくなっていきました。でも、突然泣きだしたり、大声を出したりという様子も毎日のようにありました。環境の変化に戸惑っていたのか、ご実家でも同じ状態だったようです。

いるかひろばでは、娘さんが思いを十分に出せるように関わりました。泣きだした時には泣くことを否定するのではなく、「いっぱい泣いてかまんきね」と声を掛けました。抱っこして部屋の中を散歩し、少し落ち着いた頃に、手が届く所におもちゃを置いてみる。気持ちが切り替わったら遊びだす。そんな毎日でした。

さまざまな事情により、離ればなれで暮らしているご家族もいます
さまざまな事情により、離ればなれで暮らしているご家族もいます

娘さんが落ち着いて遊べるようになるとともに、Aさんもリラックスしていったように見えました。Aさんは少しずつ、本音を話してくれるようになりました。

 

「放射能汚染が子どもに悪影響を及ぼすのではないかと心配です」

「でも、本当は夫と離ればなれになりたくなかった」

「子どもが落ち着かないんです。向こうでは突然泣きだしたり、わめいたりしなかったのに」

「実家の居心地がよくない」

「私も泣きたい」

 

特に、ご実家でのことがストレスになっているようでした。

帰省した当初、ご実家は「よう帰ってきた」と快く受け入れてくださったそうです。ですが、孫に当たる娘さんが毎日泣いたり、わめいたりすることをだんだんと受け入れがたくなっていきました。数カ月後には「もう家に帰ったら…」と言われ、Aさんは「ショックだった」と話してくれました。

ご実家は集合住宅で、Aさんはお母さんから「泣かせんようにして」「また言われるろ」と言われたそうです。「子どもがどうして泣いたり、わめいたりしているのか」を想像して関わるというよりも、「周りにどう言われるか」に敏感だったようです。

「私の話をただひたすら聞いてくれたことがありがたかった」

Aさんの中には「夫の元に帰って家族で生活をしたい」という思いと、「放射能の影響が怖い」という思いがありました。ご実家でのことも新たな悩みとなりました。私はAさんの思いを毎日傾聴しました。ただ傾聴をしていくだけなのですが、それによってAさんは自分の気持ちを整理できたようで、夫の元に戻ることを決めました。

自宅に戻られる際、Aさんはこんな話をしてくれました。

「被災後、避難できる実家があるということは本当にありがたいと思っていました。でも、子どもは泣くし、私も泣きたかった」

「自分の母に言うと、『あなたはお母さんでしょう。しっかりしなさい』と言われました。毎日の生活の中でだんだんと母の本音が見えてきて、それもショックでした」

「そんな話も含めて、いるかひろばでは私の話を全て、ただひたすら聴いてくれました。それがとてもありがたかった。高知に来てよかったです」

傾聴していくことで、Aさんは気持ちを整理していきました
傾聴していくことで、Aさんは気持ちを整理していきました

その後、しばらくは毎日、Aさんから連絡が来ていましたが、暮らしが落ち着くとともに連絡は遠のいていきました。心配していた放射能の影響の怖さも、実際に暮らしてみて薄れていったようです。今は年賀状でご家族の様子を知らせてくれています。

皆さんは、それぞれご家庭の事情の中で生活をされています。「しんどい」と感じることも多々あるでしょうし、何がしんどいのかが分からなくなることもあるでしょう。

いるかひろばが、しんどいことを「しんどい」と言える居場所に、そして話をすることによってしんどさの理由を整理していける居場所になればと思っています。

 

 

土居さんに相談したい場合は、「いるかひろば」に問い合わせをしてください。

高知市地域子育て支援センター「いるかひろば」

  • 住所:高知県高知市六泉寺町22 港孕保育園内
  • 電話:088-834-1484
  • 利用時間:月~金曜日 9:30~15:30、土曜日(月 2~3 回)9:30 ~ 12:00
  • 駐車場:無料。4 台(身体障害者用が 1 台)。置けない場合は提携先を案内します

オンラインいるかひろばのスケジュール

  • お試しオンライン(相談も):月~金曜日 9:30~10:00
  • オンラインいるかひろば:月~金曜日。午前は 11:15~11:45 、午後は 15:00~15:30 。通所いるかひろばとつないで「集まりの時間」を行います

 

土居さんへのインタビューはこちら

この記事の著者

門田朋三

土居寿美子

高岡郡梼原町出身。保育士として 2005 年から高知市の港孕保育園に勤務。07 年から港孕保育園内にある地域子育て支援センター「いるかひろば」の常勤スタッフとして、親子に寄り添った支援に取り組んできました。19 年 11 月に特定非営利活動法人いるかひろばを立ち上げ、理事長に。20 年から、いるかひろばをNPOとして運営しています。趣味はバレーボール。洋服やケーキなど何かを作ることも好きです。好きな言葉は「一所懸命」。

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