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勉強を無理強いすると、パニックに…。長男の見守りが続きました|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㊲

勉強を無理強いすると、パニックに…。長男の見守りが続きました|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㊲

子育ての悩みに寄り添ってきた「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します

子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。

コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営するNPO法人の理事長・土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。

小学生の親が気になるのが学校の成績です。土居さんの長男は勉強が苦手で、無理強いするとパニックになりました。「こうしたらうまくいく」という決め手が見つからないまま、見守りが続きました。

コラム「こころのとびら」はこちらから

ソフトボールクラブに入る?兄弟でも、一人一人にペースがあります

3月の修了式が終わると、すぐに新天地にお引っ越し。子どもたちは大喜びでした。

その場所に決めた要素はたくさんありますが、わが家にとって大事なポイントは学校でした。

家から歩いて 2~3 分の距離にある、こぢんまりとした小学校。ここが子どもたちの「居場所」になることを願い、転校の手続きを進めました。

ありがたいことに、子どもたちは新しい環境にすぐに慣れました。

新しい小学校は長男の居場所になりました
新しい小学校は長男の居場所になりました

地域にはソフトボールのクラブがあり、2 人を誘ってくれました。

次男はすぐに入部しましたが、長男はなかなか入ろうとしません。

「どうして入らんが?」聞いてみると、「自信がないき、今は入らん」「自信ができたら入る」。

こういうやり取りをした 2 カ月後に「僕も入る」と言い、兄弟でお世話になることになりました。

このやり取り一つにしても、何かを決める時に一人一人ペースがあるんだと気づかされました。

一人一人にペースがありますね
一人一人にペースがありますね

「やんちゃな 2 人が入部した」と地域でプチ話題となりましたが、子どもたちの居場所がまた一つ増え、私にとってはうれしいことでした。

ソフトボールは家族共通の話題ともなりました。コミュニケーションが得意でない夫も、子どもたちとキャッチボールをするようになりました。試合の時には応援に行き、最後はクラブの会長を引き受けました。

九九は「ぎっこんばったん」で覚えました

長男は相変わらず、お勉強が苦手でしたが、学校は大好きでした。毎日ほぼ決まった時間に登校していました。

転校しても、勉強の話は面談で毎回出ました。こればかりはどう関わればいいのか結論に至らぬまま、見守りの時間だけが過ぎていきました。今思えば、わが家の場合、この見守りがよかったのかもしれません。

お勉強は苦手でしたが、学校は大好きでした
お勉強は苦手でしたが、学校は大好きでした

私も最初は、声掛けをしていました。例えば宿題です。

私:「今日の宿題は?」

長男:「やったよ」

見てみると、抜かりがいっぱい。間違いもいっぱい。

私:「ここ、間違ってる」

長男:「もうえいが。分からん」

私:「一緒にやろう」

長男:「いや~~~~~!」

落ち着いている時は一緒に取り組めました。でも、気が乗っていないと、パニック気味になります。

その状態を横で見ていた夫が頭ごなしに怒りだし、私がそれをなだめる。その繰り返しだったように思います。

無理強いはしないようにしました。

無理強いはせず、見守りが続きました
無理強いはせず、見守りが続きました

長男は暗記が苦手でした。小学生の登竜門・九九では、こんな工夫がヒットしました。

長男と向かい合って座り、足の裏をくっつけ、手をつなぎます。ボートこぎの要領で「ぎっこんばったん、ぎっこんばったん」。リズムに合わせて歌ったり。

楽しくなった頃を見計らい、手を引っ張りながら九九を唱えます。

私;「ににんが~」

長男:「し」

私:「にさんが~」

長男:「ろく」

もちろん、乗ってこない日もたくさんありました。そんな時は無理強いをせずにスルーしました。時間はかかりましたが、覚えることができました。

漢字のテストで80点!これで勉強もやる気になるはず!

長男が 6 年生になった頃だったと思います。漢字の小テストで 80 点を取りました。

長男:「これみて!」

私:「あら、すごい!」

長男:「ごほうび!ごほうび!」

私:「何が食べたい?」

長男:「牛丼!」

私:「よし、今晩は牛丼!」

長男:「やった~!!!」

6年間で一度だけ、テストの話をしてくれました
6年間で一度だけ、テストの話をしてくれました

これをきっかけに、勉強に少しでもやる気が出ればと少し期待をしましたが、その点数は 1 回きり。その後、彼がテストの話をすることはありませんでした。

あらためて、長男の通知表を見返しました。私が思っていたほど評価は低くなく、少し驚きました。

先生のコメント欄では、表現の工夫が伝わってきました。漢字テストの時の担任の先生はこう記していました。

「○○君にこんな力が隠れていたのだと驚きました。もっと引き出してあげたいと思いました」

長男ができることのみを評価するのではなく、ささいなことをちゃんと見てくださっていたのだと思います。

ちなみに、6 年生の時の長男の夢は「テント暮らし」。不安がよぎりました。

 

 

土居さんに相談したい場合は、「いるかひろば」に問い合わせをしてください。

高知市地域子育て支援センター「いるかひろば」

  • 住所:高知県高知市六泉寺町22 港孕保育園内
  • 電話:088-834-1484
  • 利用時間:月~金曜 9:30~12:00、12:30~15:30  日 、土曜日(月 2~3 回)9:30 ~ 12:00
  • 駐車場:無料。4 台(身体障害者用が 1 台)。置けない場合は提携先を案内します

オンラインいるかひろばのスケジュール

  • お試しオンライン(相談も):月~金曜日 9:30~10:00
  • オンラインいるかひろば:月~金曜日。午前は 11:00~11:30 、午後は 15:00~15:30 。通所いるかひろばとつないで「集まりの時間」を行います

 

土居さんへのインタビューはこちら

【ココハレインタビュー】「いるかひろば」理事長・土居寿美子さん|しんどい気持ち、安心して話して

この記事の著者

門田朋三

土居寿美子

高岡郡梼原町出身。保育士として 2005 年から高知市の港孕保育園に勤務。07 年から港孕保育園内にある地域子育て支援センター「いるかひろば」の常勤スタッフとして、親子に寄り添った支援に取り組んできました。19 年 11 月に特定非営利活動法人いるかひろばを立ち上げ、理事長に。20 年から、いるかひろばをNPOとして運営しています。趣味はバレーボール。洋服やケーキなど何かを作ることも好きです。好きな言葉は「一所懸命」。

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