子どもの筋力、バランス能力がコロナで低下しています|バランス能力を上げるストレッチ、運動を親子で体験しました
「うちの子、姿勢が悪い」「バランスが取れてない」と気になっていませんか?親子で楽しめる運動を土佐リハの先生が紹介します
「うちの子、姿勢が悪いなぁ」「バランスがうまく取れていないかも…」なんて気になっていませんか?
新型コロナウイルスの影響で 2020 年以降、子どもたちが家の中で過ごす時間が増えました。その結果、「子どもの筋力やバランス能力が落ちている」という研究データが出ています。
わが子のバランス能力を上げていくには?土佐リハビリテーションカレッジが企画したイベントから、親子で楽しく取り組めるストレッチや運動を紹介します。
目次
土佐リハとオーテピアがコラボ。運動体験と運動に関する本の紹介が行われました
イベント「バランス能力をパワーアップ!」は 2023 年 10 月 9 日、高知市追手筋 2 丁目のオーテピア高知図書館で開かれました。
理学療法士、作業療法士を養成する土佐リハビリテーションカレッジとオーテピアがコラボしたイベントで、運動体験と運動に関する本の紹介が行われました。
講師は、土佐リハ作業療法学科の講師で作業療法士の稲富惇一さん。脳性まひの子どものリハビリなど、子どもの作業療法を専門にしています。小学 3 年、1 年、年少の 3 人の子どものお父さんです。
小学 3 年生までの親子 6 組が参加。土佐リハの学生が親子をサポートし、和やかな雰囲気で進みました。
【体をほぐす】「足を上げる」「手を上げる」で準備運動を
イベントではまず、体をほぐしました。家の中でできる手足の準備体操です。
①足を前に出す
足を前に出して上げ下げする運動を、左右 5 回ずつ行います。リズムは「いーち、にーい、さーん、しーい、ごーお」。「いーち」で上げて下ろします。
子どもがバランスを崩すようなら、手をつないで行いましょう。
②太ももを上に上げる
続いて、太ももを上げる運動です。これも左右 5 回ずつ。稲富さんは「できるだけ、膝を腰の高さに上げて」と呼び掛けました。
③両手を上に動かす
上半身もほぐしましょう。足を、かけっこの「よーいどん」の形にします。
下半身がぐらぐらしないように姿勢を保って、両手をバンザイのように上に動かします。「腕は耳につけるように、真っすぐ上に上げます。手のひらは内側に向けて、ぴんと伸ばしましょう」
この運動は、足を入れ替えて 5 回ずつ行います。
ストレッチというと、時間をかけて体をぐーっと伸ばすイメージですが、稲富さんは「ぐーっと伸ばすのは、運動後のストレッチです」。運動する前は、リズムよく体を伸ばすのがいいそうです。
【体幹・バランス能力を見る】座っている姿勢、立っている姿勢を定期的にチェックしましょう
体をほぐしたところで、子どもの体幹とバランス能力をチェックしました。
子どもの体幹は座っている姿勢、立っている姿勢を見るといいそうです。
【座っている時の姿勢は?】
- 背筋が伸びている
- 背中が丸まって、口が開いている
- 椅子の背もたれに寄りかかっている
一番いいのは「背筋が伸びている」です。稲富さんによると、最近は「座った時に背中が丸まって、口が開いている」という子どもが増えているそうです。
「テレビやゲームだけでなく、学校のタブレット学習などでも背中が丸まりがちですね」と稲富さん。
家のテレビは、画面が大人の目線に合わせた高さに設置されている場合が少なくないそう。
「うちもそうですが、子どもは床に座ってテレビを見上げがちです。子どもの目線の高さになるように、テレビの位置を変えたり、椅子に座らせるなどの工夫をしてあげてください」
立っている時の姿勢チェックはこちら。
【立っている時の姿勢は?】
- 背筋が伸び、肩から胸、腰にかけて真っすぐになっている
- 背中が丸まっている
- 胸を張り過ぎている
背筋が真っすぐ伸びた姿勢がいいですね。背中が丸まり過ぎている、胸を張り過ぎている場合は気をつけましょう。
バランス能力は「片足立ち」と「前屈」でチェックします。
【片足立ち】
目を閉じて、両手を腰に当てて、片足で 30 秒間立ちます
早速、親子でチャレンジ。30 秒は長く、よろけるたびに盛り上がっていました。家でやると、楽しそうです。
続いて、前屈です。
【前屈】
体を前に倒して、指先を床につけます。両足はそろえて、膝は曲げないようにします
前屈は子どもの方が得意ですね。「できない」という大人が結構いました。
稲富さんは「体幹やバランス能力は、今の状態を見ておいて、1 カ月後、2 カ月後と定期的に見ていくといいですよ」と話していました。
【バランス能力を上げる運動】「けんけん」「体を押す」など遊び感覚で行いましょう
子どもの体幹、バランス能力を把握したら、いよいよ運動です。
子どもが一人でできるのが「かかとの上げ下げ」です。
①かかとの上げ下げ
真っすぐに立ち、膝を曲げないように注意しながら、かかとを上げ下げします。10 回行い、少し休憩し、もう 10 回行います。
保護者は上げ下げしている様子を、横で見てあげましょう。
「かかとを上げた時に背中が反っているのは、背骨を使って上げているサインです。頭が天井からつられるように背中が真っすぐに伸びているかどうかを確認してください」
続いて、親子でできる運動です。
②けんけん
親子で数メートル離れて立ちます。子どもがけんけんをして、保護者の元へ、できるだけ速く近づきます。
ゴールしたら、子どもをしっかりと抱きしめます。子どもはテンションが上がるので、運動というよりも楽しい遊びになります。
上手になってきたら、ゴールをハイタッチに変えます。ハイタッチの姿勢でしばらく止まると、片足立ちになり、バランス能力がより高まるそうです。
さらに遊びの要素を取り入れたのが、両脇から押されながらバランスを取る運動です。
③押されても我慢
子どもは足をそろえて立ちます。大人が両脇に立ち、子どもの左右から押します。子どもは動かないように、倒れないように我慢!
慣れてきたら、レベルアップ!子どもは目を閉じ、左右どちらから押されるか分からない状態で我慢します。
さらに慣れてきたら、腰を落として忍者のポーズでもやってみましょう。
最後に、家でやるのにぴったりな運動がこちら。
④どっちが残る?!うつぶせからの片足立ち
親子で向かい合ってうつぶせになります。
「よーいどん」の掛け声で急いで起き上がり、そのまま片足立ちをします。
片足立ちを続けて、先に足をついた方が負けです。
雨の日に家で遊ぶのにもよさそうですね!
イベントで紹介された運動は、「子ども体幹トレーニング」シリーズ(すずき出版)の①「背すじがシュッ!」と②「ブレずにピタッ!」で紹介されています。オーテピアで借りられます。
一番の運動は外遊びです!
コロナの影響で、2020 年以降、子どもの外遊びの時間が大きく減りました。
子どもの運動に関する研究を続ける稲富さんによると、「子どもの筋力やバランス能力は、コロナ前を100とすると、70くらいに落ちたというデータが多い」そうです。
子ども向けのトレーニング方法はたくさんありますが、「一番効果的なのは外遊び」とのこと。
「走ったり、跳ねたり、くぐったり、遊びの中でバランス能力は自然と高まっていきます。季節も良くなってきましたので、親子で公園などにおでかけして、ぜひ外遊びを楽しんでくださいね」