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「教えて!吉川先生」マイコプラズマ肺炎|小学生以上の子どもに多い呼吸器感染症。咳や熱が長引きます

「教えて!吉川先生」マイコプラズマ肺炎|小学生以上の子どもに多い呼吸器感染症。咳や熱が長引きます
イラスト・岡崎紗和

子どもの病気やけがについて、ココハレかかりつけ小児科医・吉川清志先生が解説します

子どもの急な発熱に「さっきまで元気だったのに…」と焦ったり、病気やけがについてインターネットで調べて、「本当に正しい情報なの?」と迷ったりした経験はありませんか?

「教えて!吉川先生」では、高知県内でたくさんの子どもたちを診察してきた小児科医・吉川清志(きっかわ・きよし)さんが「ココハレかかりつけ小児科医」として、子どもの病気やけがについて解説します。

「マイコプラズマ肺炎」は小学生以上の子どもに多い感染症で、咳や熱が長引くのが特徴です。高知県内では 2024 年 5 月から増加傾向が続いています。

(記載されている内容は 2024 年 10 月 21 日時点のものです)

「教えて!吉川先生」は「病気・けが」で紹介しています

マイコプラズマ肺炎の症状は「咳」と「熱」

Q
マイコプラズマ肺炎とはどんな病気ですか?
吉川先生
A
風邪のような症状で、咳と熱が長引きます

 

マイコプラズマ肺炎は、細菌の一種である「肺炎マイコプラズマ」に感染することによって起こる呼吸器感染症です。多くは気管支炎で済み、一部の人が肺炎を起こします。

風邪のような症状で、咳と熱が長引きます。咳は乾いた咳で、熱が下がってから 3~4 週間続くことも珍しくありません。

肺炎の場合、通常の肺炎のような息苦しさはないことが多いのですが、レントゲンを撮ると肺の一部が白くなっています。このため、以前は「異型肺炎」と呼ばれていました。

まれに、皮疹や脳炎、中耳炎などの合併症を起こすことがあります。

感染経路は「飛沫感染」「接触感染」。潜伏期間が長いのが特徴です

Q
マイコプラズマにはどうやって感染しますか?
吉川先生
A
飛沫感染と接触感染です

 

せきなどによる飛沫感染が主で、手などに付着した細菌からの接触感染でも感染します。

肺炎マイコプラズマはゆっくり増えるのが特徴で、感染してから発症するまでの潜伏期間は 2~3 週間、時には 1 カ月と言われています。

感染は家族や友人間の濃厚な接触により起こります。遅れて感染することも多いので、家庭や学校などで感染した人がいたら、受診の際に医師に教えてください。

小学生以上に多い感染症。報告の8割が14歳以下です

Q
マイコプラズマ肺炎はどの年代に多いですか?
吉川先生
A
報告の 8 割が 14 歳以下で、小学生以上に多く見られています

 

マイコプラズマ肺炎は 6 歳以上の学童期に多い感染症と言われています。報告のおよそ 8 割が 14 歳以下となっています。

幼児もかかっていると思われますが、いわゆる「普通の風邪」や「少し長引く風邪」で治っているようです。

小学生以上で「咳や熱が長引く」と受診した子どもを検査すると、今流行しているマイコプラズマ肺炎だったというのが多いですね。

最近はたくさんの感染症の検査が可能となっていますが、小児科で必ず行うものではありません。症状や流行状況などから判断して行われます。

マイコプラズマは成人にも感染しますが、その病状は一般に軽いです。多くは風邪症状であり、肺炎に至る例は感染者の 3~5 %とされています。

肺炎を起こした場合は抗菌薬で治療します

Q
マイコプラズマ肺炎には治療方法はありますか?
吉川先生
A
抗菌薬を使用します。重症化した場合には入院が必要です。

 

マイコプラズマ感染症は通常、自然治癒する疾患であり、抗菌薬の投与は必ずしも必要としません。

抗菌薬を投与する場合、肺炎マイコプラズマには細胞膜がないため、通常のペニシリンやセフェム系抗菌薬は効きません。「マクロライド系」と呼ばれる抗菌薬を使用します。苦い薬ですが、何とか服用させてください。

マクロライド系が効かない菌もあって、「テトラサイクリン系」という別の抗菌薬を使う場合もあります。ただし、テトラサイクリン系は 8 歳未満の小児には原則使用しません。

肺炎が強くなった場合や、合併症など重症化した場合は入院が必要です。

お父さん、お母さんへ

マイコプラズマ肺炎は新型コロナウイルス感染症の流行以降、報告が減っていましたが、2024 年に入って増えています。

「肺炎」という病名なので驚くかと思いますが、過度に心配する必要はありません。基本的には普通の風邪と同じ対応をしてください。

熱が出て、咳が長引く場合、親御さんが「ちょっとひどい風邪だな」と感じた場合は受診してください。

 

ココハレでは高知県の感染症の流行状況は毎週紹介しています。こちらから

吉川先生へのインタビューはこちら
【ココハレインタビュー 】小児科医・吉川清志さん|ほどほどの子育てを

この記事の著者

門田朋三

門田朋三

小 3 と年長児の娘がいます。「仲良し」と「けんか」の繰り返しで毎日にぎやかです。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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