緊急地震速報…揺れと津波が来る!保育園の避難訓練はどんな感じ?|園児の命を守る防災対策とは?高知市潮江地区の「子育てネットうしおえ」で考えました
保育園や幼稚園では幼い子どもたちの命を守るため、先生たちが日々頑張っています。
防災対策もその一つ。地震の揺れや津波による被害を想定し、毎月のように避難訓練が行われています。
園の避難訓練を保護者が見る機会はあまりない…ということで、園の防災対策について考える会をココハレ編集部が取材しました。
避難訓練ってどんな感じ?子どもの命を守るための取り組みは?高知市潮江地区の「子育てネットうしおえ」の活動から紹介します。
目次
「子育てネットうしおえ」で子育ての支援者たちがつながっています
ココハレ編集部が取材したのは、「子育てネットうしおえ」の集まり。2026 年 3 月 11 日に高知市百石町 3 丁目の南部健康福祉センターで開かれました。
「子育てネットうしおえ」とは、高知県が進める多機能型保育支援事業「らいーな」から生まれました。潮江地区からは次の 5 園が参加し、親子の集まりなどを企画しています。
- 高知愛児園(高知市竹島町)
- 潮江第二双葉園(高知市仲田町)
- ふくし園(高知市百石町 3 丁目)
- 城南保育園(高知市竹島町)
- 潮江双葉園(高知市潮新町 1 丁目)
5 園は合同で未就学児の親子向けイベント「いーな らいーな たのしいな」を企画するなど、連携を深めてきました。
潮江地区で子育て支援に携わる支援者でつながろうと、2024 年度に発足したのが「子育てネットうしおえ」。「らいーな」の園以外にも保育園や幼稚園、地域子育て支援センター、子ども食堂などが参加しています。
今回の集まりでは、潮江第二双葉園で行われた避難訓練を振り返りながら、防災対策を考えました。
※園の情報や登壇者の肩書は 2025 年度時点のものです。
揺れから30~40分で津波が来る!60人の園児を連れてどこに逃げる?
避難訓練について発表したのは、潮江第二双葉園の園長・田井昭子さん。園では火災想定も含め、避難訓練を毎月行っています。
南海トラフ地震では、潮江第二双葉園は激しい揺れの後、30~40 分ほどで高さ 3~5 メートルの津波が来ると想定されています。津波被害から逃れる目安として「 3 階以上に逃げる」と示されていますが、園舎は 2 階建て。このため、周辺のマンションなど 3 カ所を避難先として確保しているそうです。
田井さんが発表した避難訓練のシナリオは次の通りです。
園児は 生後 6 カ月から 6 歳まで約 60 人。4~5 歳児クラスの子どもたちは園庭で遊んでいます。0~2 歳児は 2 階で過ごしています。
10:00 に緊急地震速報が発表されました。
園児や先生たちはまず園庭に出ます。「カエルのポーズ」で頭を守り、揺れが収まったら向かいの 4 階建てマンションに歩いて避難します。
訓練では 10:03 に園庭に全員が集合。0 歳児はカートと抱っこで、1 歳児以上は歩いてマンションの 4 階まで上がり、10:08 に全園児の避難が完了。備蓄品を持ち出した先生も 10:10 には避難できました。
田井さんは「マンションの階段は段差が高いですが、職員同士の声かけでスムーズに移動できました」「訓練を繰り返してきて、子どもたちが緊急地震速報の放送や笛の音に反応できるようになりました」と振り返りました。
激しい揺れ、子どもたちがパニック…想定通りに避難できる?
すぐに避難行動に移れるようにするため、潮江第二双葉園では次のような対策も取っています。
- 各教室前に、頭を保護するクッション付きの帽子とヘルメットを準備している。
- 園児たちの上着は大きな袋にまとめて入れて、入り口に置いておく。
- 0 歳児の靴とおんぶひもをセットで置いておく。
- 備蓄倉庫にはリヤカーも常備し、すぐに持ち出せるようにしている。
ココハレ編集部員は「そんな細かいところまで考えているんですね」と感じましたが、まだまだ必要な準備があるとのこと。発表を聞いた参加者からはこんな声が上がりました。
- 激しい揺れの最中に、2 階から園庭まで避難できる?園舎の安全な場所で身を守るべきでは。
- 教室前に置いている帽子とヘルメットは固定してる?揺れで飛んでいくかも。
- 実際の揺れでは子どもたちがパニックになるかも。先生に備蓄品を運ぶ余裕はある?
なるほど、言われてみれば…。
地域の防災会の会長さんからは「10 分で避難完了というのは難しいかもしれない。子どもたちがパニックになることも想定して、15 分で考えたらどうか」という意見が出ました。
「急いで避難する」→「落ち着いて冷静に避難する」
発表の後、高知市地域防災推進課の武内昭憲さんがアドバイスを行いました。武内さんは「門扉」を例に、こんな話をしました。
「園の門扉は普段、安全対策で閉めていますよね。揺れが収まった後に開ける想定でいると、揺れで支柱が曲がってしまい、門扉が開かなくなるかもしれません」
確かに。自宅で揺れが起きた時は「すぐにドアを開けて出口を確保しましょう」と言われています。
園での対策を考える場合、「○○先生が開ける」と役割を事前に決めても、その通りに動けない可能性があります。
「出口の確保など、事前に役割分担ができない対策は『近くにいる人が開ける』と全員で意識しておいてください。津波被害が想定される地域では。出口の確保は特に重要です」
避難完了までの時間について、武内さんも「 30~40 分で津波が来る想定ならば、15 分での完了を目指してください」と語りました。
「目標を『急いで避難する』とすると、慌て過ぎてしまい、思わぬけがをするかもしれません。冷静に落ち着いて避難することが大事。訓練ではタイムキーパーの先生を置いてみるのもいいですよ」
園の先生たちにとって「園児たちの命を守る」とは最も大事な使命ですが、武内さんは「子どもの命を守ることを、学校や園に任せきりでいいでしょうか」とも問いかけました。
「防災では『命を守る対策』と『命をつなぐ対策』が必要です。責任は園だけでは背負いきれません。例えば、保護者向けに講座を開いたりして、学校や園と、保護者、地域の皆さんが同じ目線、同じレベルで命を守る知識を共有していただきたいです」
発表の後、参加者の皆さんがグループに分かれ、それぞれの園や施設での対策を出し合いました。
「顔の見える関係」とよく言われますが、防災対策では特に重要です。
園や学校と地域とのつながりの中に、私たち保護者も加わっていかなければと感じた取材でした。
この記事の著者