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子育ても人生も「今あるものに感謝し、ない物探しをしすぎないで」|目標は「子どもが自立して楽しく暮らすこと」…小児科医・吉川清志さんが語りました

子育ても人生も「今あるものに感謝し、ない物探しをしすぎないで」|目標は「子どもが自立して楽しく暮らすこと」…小児科医・吉川清志さんが語りました
ライター
小学4年生の男の子の母です。「一緒に遊ぼう」と言ってくれるうちは、体力を振り絞って頑張りたいと思います。1986年生まれ(徳澄)

 

「もっときちんと育てなきゃ」「他の家庭はできているのに、なぜ?」―。子育てをしていると、自分の育児に足りないものを探してしまうことはありませんか?

子育ても人生も「今あるものに感謝し、ない物探しをしすぎないで」。約 50 年にわたり子どもと家族に寄り添ってきた小児科医で、土佐希望の家医療福祉センター・施設長の吉川清志さんは、そう呼びかけます。

2026 年 7 月に高知市内で開かれた講演で、親子の絆を育むポイントや、自分らしく人生を歩むヒントを紹介。育児の目標は「子どもが自立して楽しく暮らすこと」とメッセージを送りました。

 

講演は「吉川清志先生が今伝えたい『生き方のかたち』」と題して 2026 年 7 月 11 日、高知市知寄町 2 丁目のちより街テラスで開かれました。助産師グループ「いのちのおはなしキャラバン隊!土佐姉妹が主催しました。

吉川さんは 1952 年岡山県生まれ。岡山大学医学部卒業後、高知県立中央病院などで勤めました。2015 年から高知医療センター病院長、2018 年から土佐希望の家医療福祉センターの施設長を務めています。

私生活では 5 人の父親で、8 人の孫がいるおじいちゃんです。

講演にはお子さん連れで参加した人もいました
講演にはお子さん連れで参加した人もいました

子育ては「よい加減」に…周りに助けを求めることが大切です

子育ては、正解のない「よい加減」ではないかと吉川さんは問いかけます。

例えば下のような正反対の行動のどちらかに親が偏りすぎても、うまくいきません。しかるだけだと問題ですが、褒めてばかりというわけにもいかないですよね。

  • しかる↔褒める
  • 手助け↔見守る
  • 制限する↔尊重する
  • 優しさ↔厳しさ

「こうしたバランスをどれくらい持っているかが、その人の個性。長所は短所かもしれないし、短所は長所かもしれないと思うのです」

子育ての「よい加減」に正解はありません
子育ての「よい加減」に正解はありません

育児は親の思い通りには進まず、苦労することはたくさんあります。「マイナスもプラスもあるのが子育てなんじゃないか」と語ります。

「言うことを聞かない、 汚れる、疲れる、骨が折れる…。 こんなことを毎日経験しているんですから、周りに愚痴を言い、相談し、助けを求めることはとても大事だと思います。“孤育て”にならないように周りに相談してください

親との愛着形成や安心できる居場所が、自分を抑制する力を養います

子どもの健やかな成長には、親や、信頼できる大人との愛着形成が欠かせません。

「『ここなら大丈夫』と安心できる場所があるから、外で探索行動をし、困ったことがあれば帰って来る。そうして段々世界が広がるわけです」

大人に注意されるようなことを我慢する自己コントロール力も養われると説明しました。

安心できる場所があるから、自己コントロール力が育ちます
安心できる場所があるから、自己コントロール力が育ちます

社会にはルールや決まりという「枠」があります。子どものうちは、いたずらや失敗を経験しながら、社会性という「枠」を身に付けていくといいます。

「人間だからおいしい物を食べたいし、ダラダラもしたい。その気持ちを認めながら、『でも今は頑張ろう』と思えるには、親子関係や子ども自身の感情がいい状態でないと抑制できないと思うんです

吉川さん
「この子頑張りすぎていないかな?」と思ったら、ちょっとゆっくりしたり羽目を外したり、緩めてあげる部分も必要だと思いますね。

発達障害など特性のある人の場合は、周囲が特性や年齢に応じて、「枠」にゆとりを持って見守ることが必要だと話しました。

困った行動は子どもの心の「氷山」の一角…気持ちの言語化が大切です

子どもはイヤイヤ期に始まり、少し大きくなっても不機嫌になってかんしゃくを起こしたり、暴言を吐いたりすることがあります。

「やりたい」「やりたくない」という子どもの気持ちと、大人の「してほしくない」「やってほしい」という期待が「アンバランスになっている状態」と吉川さんは表現します。

そんな時に大切なのが、気持ちの「言語化」

吉川さん
「死ね、うざい、キモい」などの言葉が出たら、「残念だね、嫌だね、悔しいね、びっくりしたね」などの言葉に換えてあげましょう。

感情を教えてあげると、子どもが気持ちが整理できやすいと言われます。気持ちがピークから収まった時や、ちょっとした間を見て、うまく誘導してあげてくださいね」

感情を言語化する方法を教えてあげてください
感情を言語化する方法を教えてあげてください

大声を上げたり、暴れたり。そうした外から「見える」困った行動を、吉川さんは水面から出ている氷山の上の一角に例えます。

「見えている行動は『氷山の上の部分』。その下には見えない原因がたくさんあります。 なぜこの子はこの行動を起こすんだろう、と考えてあげることが大切だと思います」

例えばこんなことが原因の可能性も。

  • うまく要求が伝わらない
  • やりたいことができない、やりたくないことをやらされる
  • 嫌なことを嫌と言えない
  • 我慢できない音が聞こえた
  • 急な予定変更
  • 好きな服が洗濯中で着られない
  • 座りたい席に誰かがいる
熱心に耳を傾ける親子の姿もありました
熱心に耳を傾ける親子の姿もありました

原因が改善できるのであればしてあげること。同時に、「いつも問題をゼロにすることはできませんから、気分を変える方法を自分で見つけていくことも大切」と話します。

感情を言語化したり、例えば気持ちが落ち着く自分の部屋に行ってクールダウンしたり。「これを少しずつ繰り返すことで、自己抑制する力を身につけていきます」

生き方の形は人それぞれ…「親の見栄や都合でない子育てを」

子ども同士がけんかしていると、ついつい大人がしかったり仲裁したくなるもの。ですが「子ども同士の小競り合いを認めてほしい」と吉川さんは語ります。

「いいところも悪いところもあるのが人間。いつもいい子でいるなんて、あり得ない。子どもはいたずらして面白がって、しかられて、成長するわけです」

吉川さん
親も悩みながら一生懸命生きている姿を見せればいい。親ができないことは子どもに求めないことだと思います。

子育ての目標は「自立した社会生活ができる大人に育つこと。その子が楽しく暮らしていればいいんです」ときっぱり。

「親の見栄や都合に寄らない子育てをしましょう」と言い添えました。

「親ができないことは、子どもに求めないようにしましょう」
「親ができないことは、子どもに求めないようにしましょう」

子育てに限らず、親自身の人生にも同じことが言えます。

「生き方の形は人それぞれでいい。今あるものに感謝し、ない物探しをしすぎないこと」と呼びかけます。

日本人は、自分ができないことをマイナスに捉えがち。現代はSNSを通して、他人のきらびやかな姿が見えることもあります。

「自分をこの世の誰とも比べてはいけない。それは自分自身を侮辱する行為だ」というアメリカの実業家の言葉を紹介した吉川さん。

毎日は地味なことの積み重ねだと思いませんか?その中で楽しいことや悲しいことがあるのが、生活だと思います

 

ココハレ編集部員も「他の子は○○なのに」とか「あのお母さんはこうなのに」など、周りを見て「ない物探し」をしてしまうことがありました。これからもついつい比べてしまうような気がしますが、そんな時は「また『ない物探し』してるな」と自分で気づいて軌道修正できればいいなと思います。

この記事の著者

徳澄裕子

徳澄裕子

小学4年生の男の子の母です。「一緒に遊ぼう」と言ってくれるうちは、体力を振り絞って頑張りたいと思います。1986年生まれ。

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