川や海でおぼれた時、おぼれた人を見つけた時、どう行動すればいい?「着衣泳体験講習」で聞きました
2022 年の夏休みが始まりました。コロナ対策も考え、屋外の海や川で泳ぐ、釣りに行くなどの計画を立てているご家族もあると思います。
水辺で遊ぶことが増えるこの季節、もしおぼれた時、おぼれた人を見つけた時、どんな対応をすればいいのでしょうか。
高知市内で開かれた「着衣泳体験講習」で聞きました。
目次
着衣泳体験講習は 2022 年 7 月 18 日、高知県立県民体育館(高知市桟橋通 2 丁目)の室内プールで開かれました。高知市消防局東消防署の特別救助第 2 係で水難救助などに対応している浦伸吾さんらが講師を務め、小学生の親子が参加しました。
【おぼれた時】ペットボトルの浮力を利用。呼吸のみでも浮けます
着衣泳講習では、服や靴を身に着けたまま水に入り、救助を待つ方法を学びます。服を着た状態では泳ぎにくいので、無理に泳がず、静かに浮きながら助けを待ちます。
①ペットボトルを使う
まずはじめに、ペットボトルの浮力を利用して浮く方法を体験しました。使ったのは 1.5 リットルサイズのペットボトル。500 ミリリットルだと小さいそうです。
背泳ぎの体勢を取り、胸やおなかの上でペットボトルを抱えます。こつは「大きく息を吸って、肺に空気をためる」。手足を大きく動かすと沈むので、静かに身を任せます。子どもたちも上手に浮いていました。
②服に空気を入れて浮力にする
着ている服に空気を入れて浮力にするという方法もあります。隊員さんが見せてくれました。
子どもたちもチャレンジしましたが、膨らませるには服の首元とおなか周りの両方をふさぐ必要があるため、「難しい!」。一般の人にはハードルが高いようです。
③肺に空気をためて浮く
浮力となる物が何もない場合は、肺に空気をためて浮きます。浦さんが伝えたこつはこちら。
【何もない状態で、浮きながら救助を待つ方法】
- 背泳ぎの体勢で、あごを突き出す
- 肺に空気をためておくイメージで、吐き切らずに呼吸を続ける
- ひざは軽く曲げる
- 手足が下がるのは仕方がない。無理に水から出そうとせず、広げる、手を円を描くように回す(スカーリング)などしながら、バランスを取る
服も靴も浮力になるので、身に着けたままでいいそうです。無理に脱ごうとしたり、パニックになって大声を出したりすると、肺から空気が出てしまいます。難しいかもしれませんが、静かに浮いて待ちましょう。
【おぼれた人を見つけた時】泳いで助けに行くのは危険!陸上から助ける方法を考えて
次に、おぼれた人を見つけた時。浦さんによると、「救助=助けを呼ぶ」です。
「自分で泳いで助けに行くのは一番危険。わが子を親が助けに行き、おぼれて亡くなる事故は毎年のように起きています。親なら助けに行きたくなると思いますが、絶対にやめてください」
陸上でできることは、次の通りです。「1 人で全部やろうとせず、周囲の人に協力してもらいましょう」
【おぼれている人を見つけた時の対応】
① 119 番通報する
②浮力になる物をおぼれている人に届くように投げる…ペットボトル、膨らませたビニール袋など
③おぼれている人がパニックにならないように、声を掛け続ける…「落ち着いて、体の力を抜いて」「上を見てあおむけになって、浮いて待って」など
講習ではペットボトルを投げてみました。ペットボトルに少し(高さ数センチ程度)水を入れておくと、投げやすくなります。
膨らませたビニール袋にも、少し水を入れておくといいそうです。釣りで使うクーラーボックスなども浮力として使えます。
ちなみに、ランドセルも浮力になります。「中身が入っていても大丈夫ですよ」と話していました。
【おぼれる前に】水難事故は未然に防ぐ!救命胴衣や浮輪を子どもに着けておきましょう
浦さんは最後にあたらめて、おぼれた時、おぼれた人を見つけた時の対応を紹介しました。
- おぼれた時…無理に泳がず、静かに浮いて助けを待つ
- おぼれた人を見つけた時…決して自分で泳いで助けに行かず、陸上でできることを考える。119 番通報し、浮力のある物を投げ入れ、声を掛け続ける
その上で、「おぼれるのを未然に防ぐのが一番です」。子どもを連れて川や海に行く際には、救命胴衣や浮輪を必ず着けておきましょう。「今は背負うタイプの浮輪や、腕にはめる浮輪もありますよ」
「自分や子どもの泳力を過信しない」ということも大事です。
「『水泳教室に行っているから大丈夫』という人がいますが、プールと、自然の川や海は違います。悲しい事故を防ぐため十分に注意して、楽しい夏休みを過ごしてください」