歌には前を向く力がある|「お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙」の半﨑美子さんが12/8(日)、高知市中央公園「ここるんフェスタ」に登場します
シンガーソングライター・半﨑美子さんが土佐市高岡第一小の合唱部とコラボ!歌や子どもへの思いを聞きました
恒例の人権啓発フェスティバル「ここるんフェスタ」が 2024 年 12 月 8 日(日)、高知市帯屋町 1 丁目の東洋電化中央公園で開かれます。
今年は「お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙」「地球へ」などで知られるシンガーソングライター・半﨑美子さんがステージに登場。土佐市の高岡第一小学校の合唱部とコラボします。
合唱部の子どもたちとの顔合わせで、初めて高知を訪れた半﨑さん。高知のお父さん、お母さんに「歌には前を向く力がある」「大人が楽しんでいたら子どもも楽しくなる」とメッセージを寄せました。
目次
「ショッピングモールの歌姫」として話題に
半﨑さんは北海道の出身。大学在学中に作曲活動を始めました。
シンガーソングライターを目指し、大学を中退して上京。パン屋さんで住み込みで働きながら、曲を作りました。
全国のショッピングモールを回って歌い続け、「ショッピングモールの歌姫」として話題に。17 年の下積みを経て、2017 年にメジャーデビューしました。
2017 年にはNHK「みんなのうた」で「お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙」が放送されました。
おかえり
今日もからっぽのお弁当ばこをありがとう
毎日残さずきれいだね お弁当ばこのうた
わが子に毎日お弁当を作るお母さんの目線で書かれた歌が、子育て世代の共感を呼びました。
高岡第一小学校を訪問。「地球へ」を一緒に歌いました
2021 年には「地球へ」が配信リリースされました。
歌詞の元になったのは、2005 年に亡くなった歌手・本田美奈子.さんの散文「地球へ」です。本田さんが自然との共生を願い、闘病中に記した文章から半﨑さんがメッセージを受け取り、歌詞を書き下ろしました。
地球への問いかけから始まります。
眠らずに今日もまた まわり続けているけれど
疲れてはいないですか?
できることはありますか?
今現在と100年前とどこか違っていますか?
あつくなったり寒くなったりしてはいませんか?
2024 年には小学 5 年生の音楽の教科書に掲載されました。「自分の歌が自分自身よりも長生きしてほしい」と願い、「教科書に載ることが夢だった」という半﨑さん。現在、全国の小学校での「特別授業」にも取り組んでいます。
「ここるんフェスタ」のステージでは、高岡第一小学校の合唱部とコラボします。子どもたちとの顔合わせのため、11 月 7 日に第一小を訪れました。
合唱部には 4~6 年生が所属しています。ステージで一緒に歌うのは「地球へ」。練習を重ねてきた子どもたちが歌声を披露しました。
子どもたちは楽譜を手に、「『共に生きるために』という歌詞はどういう気持ちで歌えばいいですか?」など熱心に質問。半﨑さんは「私はお互い確認するように、かみしめるように歌っています」と丁寧に答えていました。
「ここるんフェスタ」での半﨑さんのステージは 14:50 からです。
初めての高知!「ひろめ市場のジョッキの大きさにびっくり」
高知を訪れた半﨑さんに、ココハレ編集部がインタビューしました。高知訪問は今回が初めてだそう。
――高知の印象はいかがですか?
高知、実は初めてなんです。まだ行ったことのない県が高知と宮崎で。初めて来て、街中にヤシの木があるのにびっくりしました。
――北海道にはない光景ですよね。
そう!南国って感じで。あと、ひろめ市場に行って、ビールのジョッキの大きさにもびっくりしました(笑)。
――ステージは 12 月ですが、その前に高知に来られたのはなぜですか?
高岡第一小の合唱部との練習は、最初は「オンラインで」というお話だったんですが、「子どもたちに直接会いたい」とお願いしました。子どもたちの顔を見て、声を聴きたいなと。
ご縁を頂いたら、できる限り、直接会うようにしています。実際に訪れて、その土地の空気を感じたり、対話をしたり。そこから生まれる作品もあります。
お弁当作りは「永遠じゃない、特別な期間」
「みんなのうた」で流れた「お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙」は、子育ての喜びとともに、子離れの切なさも感じさせられる歌。ココハレ編集部員も「いつかこんな日が来るのかな…」とうるっとしました。
――「お弁当ばこのうた」を聴いて、「お弁当作り、めんどくさいなぁ」と思っていた自分をちょっと反省しました。
ありがとうございます。毎日作るのって本当に大変ですよね。お弁当作りって「苦労」にフィーチャーされがちだと思うんですが、「こんなふうに食べてくれるんだ」「いつか終わりがくるんだ」という感想をお母さん方からは頂きました。
――確かに。子どもがお弁当を食べている様子を見る機会って実はないですね。
作ってもらう側のお子さんたちからは「『ありがとう』って伝えます」「残さず食べてみようと思います」という感想も頂いていて、こういう形で皆さんの中で深く根付いているのがうれしいです。
――コンサート映像では、まな板などで台所の音を実際に出されていますね。
台所の音って温もりがあるし、家族の存在を近くに感じられるものだなと思って取り入れました。泡立て器やざるなども使ってるんですよ。
――身近な音も加わって、「お弁当作りって楽しいことなんだ」と思い直しました。
お弁当って独特な、手紙のようなコミュニケーションですよね。帰ってきて、お弁当箱が空っぽだと、「いっぱい食べてくれたな。元気だな」。ちょっと残ってると、「大丈夫かな。何かあったのかな」と心配になります。
――親子の会話のきっかけになりますね。
「思春期で会話がなくなったけど、お弁当のやり取りでつながれた」という声も頂きました。お弁当作りって永遠じゃない、特別な期間なんだなと思います。
子どもへのメッセージは、時間差で届きます
昔はCD、今はスマホ。音楽を聴く環境は若い世代を中心に大きく変わりました。
――私は昭和生まれの 40 代なんですけど、自分が子どもの頃と違って、今は新曲を買わなくてもすぐ聴けますし、MVもYouTubeなどですぐ見られます。ずいぶん便利になったなと感じます。
歌って、自分が手にする、触れるまでの時間に苦労があればあるほど、手にした時に大事にできますよね。たどり着くまでの間にあるものがすごく大事なのに、何でも「コスト」で切っちゃうと…。
――「タイパ」もありますね。そこまで効率的に詰め込まなくても…。
余白とか隙間って非常に大事。今は答えがすぐに探せる時代ですが、解決しなくていいものも突き詰めて考えなきゃいけないのは不健康だなと。答えを探すより、問いを立てることに力を入れたい。
――合唱部との練習では「この歌詞、どう思う?」と子どもたちに問いかけている姿が印象的でした。
小学校の授業では「考える」よりも「感じる」をテーマにしています。「このメロディーは悲しい」「このリズムは元気が出る」というふうに、歌から自分がどう感じたかを確かめてもらう。この前、京都の小学校で授業した時に「何か分からんけど泣ける」という感想が上がって。これが「感じる」。
――歌の聴き方や感じ方に、「正しい」「間違い」はないですね。
そうなんです。特に「地球へ」という歌の解釈には正解はなくて。「この歌詞はどういうことだろう?」と対話すると、新たな問いが生まれます。一度歌ってもらって、対話をした後にもう一度歌ってもらうと、歌声が変化するんですよ。
――大人って、子どもにいいもの、正しいものを届けたい、すぐに分かってもらいたいと思いがちです。
小学校の授業でも、あまり反応がないな…という時があります。でも、後から感想で思いを伝えてくれたりします。私も子どもの頃はあまりよく考えてなくて(笑)。「あの時、先生はこう言ってくれてたんだ」と今ごろ気づいたりします。子どもには時間差で届くので、長期的なまなざしが大事なんだろうなと思います。
――合唱部の歌声を聴かせていただき、心が洗われました。もう忘れちゃってましたが、みんなで歌を歌うのって、とても楽しいことなんですね。
合唱は、相手の声を聴きながら歌うという、特別な身体感覚なんです。ハーモニーは対話と同義だと思っていて、みんなで歌うことはすごく大事な表現の場であり、関わり合いの場でもあります。
――親子で一緒に歌うのも、コミュニケーションなのかなと思いました。
そう思います。楽しむってすごく大事。授業でも私が楽しんでいると、子どもたちに伝播します。お父さん、お母さんが楽しんでたら、子どもも楽しくなります。
あと、歌って下を向いては歌えないんですよ。
――(やってみて)あ、確かに。声がうまく出ない(笑)。
でしょう(笑)?身体的にも前を向ける。歌にはそういう力もあります。同じ歌でも、今日と明日で感じ方が違います。お子さんといろんな歌を聴いて、歌って、対話もしていただけたらと思います。
半﨑さんへのインタビュー、いかがでしたか?「ハーモニーは対話」という言葉が印象的でした。歌のうまい、下手はひとまず置いておいて、今のうちに親子で歌うことも楽しんでいきたいと思いました。
半﨑さんが出演する「ここるんフェスタ」は 12 月 8 日(日)、高知市の東洋電化中央公園で開かれます。
- 開催日:2024 年 12 月 8 日(日)
- 場所:東洋電化中央公園(高知県高知市帯屋町 1 丁目 11-27)
- 時間:9:30~15:30
- 入場料:無料
- 駐車場:周辺の有料駐車場を利用してください
「じんけんコンサート」は 14:50 から、ステージで開かれます。