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「子どもが育つおもちゃ」とは?シンプルな積み木、ブロック玩具で創造力と想像力を養いましょう

「子どもが育つおもちゃ」とは?シンプルな積み木、ブロック玩具で創造力と想像力を養いましょう

乳幼児のおもちゃ選びについて、ヨシオカ社長・吉岡久智さんが高知市で講演しました

世の中にあふれるように存在する子ども向けのおもちゃ。子どもが望み、楽しめるものが一番ですが、親としては「少しでもいいものを…」と考えますね。

乳幼児のおもちゃ選びをテーマに、モデルショップヨシオカを経営するヨシオカの社長・吉岡久智さんが講演しました。

「子どもが育つおもちゃ」として吉岡さんが紹介したのはシンプルな積み木とブロック玩具。「男の子、女の子関係なく触れさせて、創造力と想像力を養ってあげてほしい」と語りました。

 

講演は高知市竹島町の高知愛児園で 2021 年 11 月 25 日に行われました。未就園の親子が交流する「サロンおひさま」の活動で、親子 3 組が参加しました。

講師はヨシオカの社長・吉岡久智さん。経営するモデルショップヨシオカ(高知市上町 1 丁目)では知育玩具や鉄道・ジオラマ模型、ジグソーパズル、プラモデルなどを販売。ラジコン模型の製造メーカーとしても知られています。

プライベートでは中学 1 年生と小学 3 年生の兄弟のお父さん。自身の子育て経験も交えながら語りました。

精巧な鉄道模型、ジオラマ…遊びだけど、「遊び」と言ってしまっていい?

吉岡さんはまず、世界最大のおもちゃショー「ニュルンベルク国際玩具見本市」が開かれるドイツ・ニュルンベルクの風景を写真で紹介しました。ヨーロッパの美しい街並みに、戦争やナチスの爪痕が今も残っています。

街並みの後に披露したのが鉄道模型や街のジオラマの写真。おもちゃショーで展示されていたもので、その精巧さに驚きます。

線路を走る列車や機関車は本物と構造が同じで、「小さい分、工作精度が必要とされる」と吉岡さん。「鉄道模型もジオラマも大人の趣味、遊びなんですが、『遊び』と言っていいのかというほど作ってる人たちは真剣勝負です」

大人になってからの趣味や仕事の原点となるのが、幼い頃に親しんだおもちゃです。

「例えば、シルバニアファミリーは人形遊びですが、ゆくゆくはインテリアデザインにも、街づくりにもなる。子どもの頃に真剣に取り組んだことは、趣味だけでなく、その後の勉強や仕事にもつながっていきます。直接の仕事にならなくても、物の見方や、『美しい』と感じる意識につながっていくということをぜひ知ってください」

積み木は形が極力少なく、シンプルなものを

吉岡さんが「幼少期にどこかで遊ばせてあげてほしい」と紹介するおもちゃは積み木とブロック玩具です。

積み木は「形が極力少なく、大きさが同じもの」がいいそうです。「同じものが規則正しく並んでいるだけでもきれいですし、遊び始めるといろんな想像が広がり、表現できます」

吉岡さんは長男の 3 歳の誕生日に、木の積み木をプレゼントしました。同じ形が 100 個あるタイプ。ですが、最初は全く遊んでくれなかったそうです。

「『失敗したな。高かったのにな』と思っていたら、半年後に突然作り始めました」

そこで、4 歳の誕生日には「カプラ」という積み木をプレゼント。小さな薄い板状の積み木です。

エッフェル塔、船、線路、街…。長男は作りたいものを次々と作っていきました。「同じピースが柱になり、壁になり、道路になり、線路になる。最初から子どもの興味を引く形ではありませんが、作り始めると想像がどんどん広がります」

長男と作ったエッフェル塔
長男と作ったエッフェル塔
船とさざ波。波もピースで表現しています
船とさざ波。波もピースで表現しています

子どもは完成した作品をそのまま残しておきたがります。そこで、吉岡さんは「写真を撮って終わりにする」というルールを決めました。「積み木はすぐに崩れますし、片付けも必要です。出来上がった物がいつまでもあるわけではないというはかなさや悔しさがチャレンジ経験につながります」

吉岡さんがおすすめする積み木のよさは次の五つです。

【積み木のよさ】

・抽象的デザイン

・造形美

・色彩美

・バランス感覚

・一発勝負の反復経験

ブロック玩具では「数を数える」「ルールに従う」「空間認知」などが身に付きます

積み木の次に遊ばせたいのがブロック玩具。さまざまなメーカーがある中で、吉岡さんはブロック玩具の世界的代名詞になっている「レゴ」を例に挙げました。レゴの説明書には言葉での説明がなく、文字が読めなくても全世界共通で遊べるようになっています。

ブロック玩具は積み木と違い、お手本通りに作るには説明書、つまりルールに従う必要があります。「4~6 歳にとっては説明書を見て色や大きさ、突起の数が同じピースを探すだけでも、ものすごいチャレンジ。数を数える、計算をする、物の向きや形を把握する『空間認知』などが遊びの中で自然と身に付きます」

レゴの中にはキャラクターや乗り物などを作るセットがあります。特定の形ができるものではなく、いろいろ入った基本的なセットを購入すると、飽きることなく長く遊べるとのことです。

吉岡家でも幼児期にレゴで遊ばせました。中学 1 年になり、しばらくレゴから離れていた長男が先日、思い立って作品を作ったそう。「子どもが成長し、もう一度戻ってくるのが積み木やブロック玩具の奥深さだと思います」

長男が久しぶりに作ったヘリコプター
長男が久しぶりに作ったヘリコプター

吉岡さんがおすすめするブロック玩具のよさは次の五つです。

【ブロック玩具のよさ】

・観察力

・忍耐力

・空間認知

・達成感

・学ぶ

 

「もちろん、子どもたちにはこんな難しい言葉で説明しなくてもいいんです」と吉岡さん。「子どもは思い通りにならない悔しさも経験しながら、『これを作りたい』という気持ちで頑張ります。その経験は小学校に入った後、ルールや規則の中でも自分で楽しみを見つけることにつながりますし、仕事にも生きてくると思います」

面倒なこと、トラブルも大切な経験です

積み木やブロック玩具は、広げて遊ぶと場所を取ります。片付けは面倒ですし、時にはなくなってしまうこともあります。さらには、けんかの原因になることも。

吉岡家の兄弟は 4 歳差。次男が生まれて成長すると、長男が作った作品を壊し始めました。「兄弟げんかは毎日。そして、『片付けなさい!』で親子げんかです。僕もしょっちゅう怒ってました」

子どもはそういったトラブルを経験しながら、「どうすれば壊されないか」と考え、自分の楽しみのために周囲に配慮していくことを覚えます。「好奇心ややりたいことは困難を乗り越えるモチベーションになる」と吉岡さんは語ります。

参加者からは「子どもがゲームを欲しがっている。どう対応すればいい?」という質問が上がりました。

ポータブル電子ゲームやスマホ、タブレットなど現在の電子デバイスは、スイッチを入れたらすぐに遊べます。「準備も必要ないし、場所も必要ないし、片付けも簡単。子どもも静かにしてくれますね」。ですが、便利であるがゆえに、「体を使うことで得られる心身の発達、文字通り『身に付ける学び』がそぎ落とされているという面があります」。

例えば、将棋。実際の将棋盤を使った場合も、電子デバイスを使った場合も「戦略を立ててゲームを進めるという点は同じ経験です」。一方で、「将棋盤の木材の風合い、駒を動かす速さ、『パチン』と打つ音の緊張感といった体感は、実際の将棋盤を使った場合ならではのものです」。

吉岡さんは「ご家庭やお子さんによって電子デバイスの使い方はさまざま」と前置きした上で、「『入院した時に便利に楽しめるもの』くらいの感覚を持っておくというのはどうでしょうか」と提案しました。

「電子デバイスにも楽しみ方があります。全く使わせないというわけではなく、例えば、10 分 20 分遊んだら『元気ながやき、体を動かしてきいや』と声を掛ける。子どもにさまざまな経験させることを大切に考えてみてください」

(この記事で紹介した鉄道模型やジオラマ、積み木などの作品の写真は吉岡さんの提供です)

 

 

モデルショップヨシオカ

  • 場所:高知県高知市上町 1 丁目 4-6
  • 営業時間:10:30~19:00
  • 定休日:水曜日
  • 電話:088-872-6420

この記事の著者

門田朋三

門田朋三

小 3 と年長児の娘がいます。「仲良し」と「けんか」の繰り返しで毎日にぎやかです。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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