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「パンどろぼう」はドジで失敗しながら頑張る主人公|絵本作家・柴田ケイコさんが高知市で講演

「パンどろぼう」はドジで失敗しながら頑張る主人公|絵本作家・柴田ケイコさんが高知市で講演

高知市在住の絵本作家・柴田ケイコさんが高知市内で子どもたちを前に講演し、絵本への思いを語りました。

数々の絵本賞を受賞し、人気シリーズとなった「パンどろぼう」は「ドジで失敗しながらも頑張る主人公」を描いたそう。子どもたちには「好きなこと、夢中になれることを見つけて、諦めないで」と呼び掛けました。

「パンいいですねぇ」「パンで行きますか」

講演は、11 月 14 日に高知県立文学館(高知市丸ノ内 1 丁目)で開かれた「第 24 回朗読コンクール」の記念講演。フリーアナウンサーの長谷川恵子さんが進行役を務め、対談形式で行われました。

イラストレーターとして活躍していた柴田さんが絵本を作ろうと思ったのは長男の弱視がきっかけ。眼鏡を掛ける子どもたちとその保護者に「眼鏡はかっこいいものだ」と伝えようと、2016 年に「めがねこ」(手紙社)を出版しました。「絵本作家を目指していたというよりも、眼鏡の絵本を描きたかった」と柴田さんは振り返りました。

その後、2 作目の「おいしそうなしろくま」(PHP研究所)がシリーズ化され、代表作に。「パンどろぼう」(KADOKAWA)が誕生するきっかけを作ったのは、実はしろくまだったそう。

「出版社の方に渡した名刺に、パンをかぶったしろくまのイラストを入れていたんです。それを見て『あっ、パンいいですねぇ』『パンで行きますか』みたいな話になりました」

絵本デビュー作の「めがねこ」と、人気シリーズ「パンどろぼう」
絵本デビュー作の「めがねこ」と、人気シリーズ「パンどろぼう」

「まずい」の絵を絶対に入れたかった

パンどろぼうはおいしいパンを探し求める大泥棒が主人公。有名な「まずい」の絵を先に思い付き、「絶対この絵が欲しい」と考えて物語を練っていきました。

「おいしいパンのお話で『おいしいパンを食べてよかったね』だと面白くない」と柴田さん。「泥棒だから事件も欲しいし、うまくいかない方がいい」と考え、「パンに対する愛は深くて一生懸命だけど、ドジで失敗しちゃう」という主人公が生まれました。

「うまくいっていない方がその人の深みが出てくるし、失敗しながら頑張っている姿には愛嬌がある。パンどろぼうもそんな愛されキャラになればと思いました」

11 月にはシリーズ 3 作目の「パンどろぼうとなぞのフランスパン」が出版されました。「パン祭りに向けて新作パンを作ろうと一生懸命頑張っているパンどろぼうの厨房(ちゅうぼう)が何者かに荒らされて…」というお話だそうです。

何冊描いてもまだまだです

会場の子どもたちからの質問にも答えた柴田さん。「自分の絵本の中で自信作は?」と聞かれ、「すごい難しい質問!」。人気作家となった今でも「何冊描いてもまだまだです」。「作品として出すものは 100 %頑張って描いてる。頑張ってる思いは(絵本に)たくさん詰まっています」と話していました。

「絵本をどんな人に向けて描いていますか?」という質問には「今は特に決めてなくて、絵本は子どもも大人も読むものと思っています」。

「『こういう話が好き』『自分はこれを描きたい』と思って描いています。たくさんの絵本の中から私の作品を見つけて、選んで、読んでもらえることがうれしいですね」

人を描くことに挑戦しています

子どもたちからは絵に関する質問も出ました。

「どうやったら、おっちょこちょいのおもしろい絵が描けますか?」という質問には「おっちょこちょいのおもしろいのをテレビ、映画、お友達からいっぱい吸収する。いろんな体験をすると、ペンに伝わりますよ」。「絵が上手になりたい」という子どもには「絵を描くことを好きでいて、いろんなものを描いてほしい」と語り掛けました。

夢をつかむために必要なことは「根拠のない自信を持ち、諦めないこと」。これから挑戦してみたいことについて、最後にこう話しました。

「今は絵本を作るのが楽しいです。食べ物や動物が多くて、人をあまり描いてこなかったので、今は人を描くことに挑戦しています。皆さんも好きなことにどんどん挑戦してみてください」

「号泣する話も描いてみたい」とも語った柴田さん。次の作品が楽しみですね。

この記事の著者

門田朋三

門田朋三

小 3 と年長児の娘がいます。「仲良し」と「けんか」の繰り返しで毎日にぎやかです。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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