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「教えて!吉川先生」麻しん(はしか)|感染力はインフルエンザの約10倍!「1歳」と「就学前」のワクチン接種で予防しましょう

「教えて!吉川先生」麻しん(はしか)|感染力はインフルエンザの約10倍!「1歳」と「就学前」のワクチン接種で予防しましょう
イラスト・岡崎紗和

子どもの病気やけがについて、ココハレかかりつけ小児科医・吉川清志先生が解説します

子どもの急な発熱に「さっきまで元気だったのに…」と焦ったり、病気やけがについてインターネットで調べて、「本当に正しい情報なの?」と迷ったりした経験はありませんか?

「教えて!吉川先生」では、高知県内でたくさんの子どもたちを診察してきた小児科医・吉川清志(きっかわ・きよし)さんが「ココハレかかりつけ小児科医」として、子どもの病気やけがについて解説します。

「麻しん(はしか)」の患者が国内で増えています。感染力が非常に強く、「インフルエンザの約 10 倍」と言われています。感染や重症化を防ぐには 1 歳と就学前の 2 回のワクチン接種が必要とのこと。症状やワクチン接種について聞きました。

(記載されている内容は 2026 年 6 月 16 日時点のものです)

はしかとはどんな病気ですか?

Q
「はしか」とはどんな病気ですか?
吉川先生
A
風邪と同じような症状の後、さらに熱が上がり、全身に発疹が出ます。

 

「麻しん」は一般的に「はしか」と呼ばれています。「麻しんウイルス」を病原体とする感染症です。

感染すると、10~12 日間の潜伏期間の後、38~39 度の高熱が出ます。鼻水や咳のほか、目やにを伴うこともあり、はじめは風邪と同じような症状です。口腔(こうくう)粘膜に「コプリック斑」と呼ばれる白いぶつぶつができて気づくこともあります。

熱は 4 日目あたりでさらに 39~40 度に上がり、赤い発疹が出始め、全身へと広がります。

合併症がなければ、約 7 日間程度で熱は下がります。

はしかでは高熱が出て、赤い発疹が全身に広がります(画像は高知県のウェブサイトより)
はしかでは高熱が出て、赤い発疹が全身に広がります(画像は高知県のウェブサイトより)

はしかの感染力はどれくらい?

Q
「はしかは感染力が非常に強い」と聞きましたが、どれくらいですか?
吉川先生
A
感染力は「インフルエンザの約 10 倍」と言われています。

 

麻しんは感染力が非常に強い感染症です。免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ 100 %の人が発症すると言われています。

感染力は「インフルエンザの約 10 倍」と言われています。感染力の強さを表す指標に「基本再生産数」があります。1 人の感染者が平均で何人にうつすかを表したもので、インフルエンザの「1.3~3」に対し、麻しんは「12~18」。この数字からも、感染力の強さが分かると思います。

感染経路には、飛まつ感染や接触感染に加えて、空気感染があります。室内や電車の中など、感染者と空間を共有すると、感染するリスクが生じます。他の人に感染させる可能性のある期間も長く、発症日の前日から解熱後 3 日間程度となっています。

感染力が非常に強いので、手洗いやマスクなど、私たちが一般的に行っている感染症対策で防げるものではありません。

はしかの治療法は?

Q
はしかの治療法を教えてください。
吉川先生
A
特効薬はなく、症状に合わせた対症療法が中心となります。

 

麻しんウイルスに効く特効薬はありません。高熱の場合に解熱剤を使うなど、症状に合わせた対症療法が中心となります。

「はしかは怖い病気」とはどういうこと?

Q
「はしかは怖い病気」と聞きました。詳しく教えてください。
吉川先生
A
約 1000 人に 1 人の割合で脳炎や肺炎などを発症し、死亡する場合もあります。

 

麻しんの合併症として中耳炎、肺炎、脳炎が知られています。

脳炎は乳幼児だけでなく成人でも合併する可能性があります。「麻しん脳炎」とも呼ばれ、およそ 1000 人に 1 人の割合で発症します。死亡率は 10~20 %、後遺症は 25~50 % で、先進国であっても脳炎や肺炎などで 1000 人に 1 人が死亡すると言われています。医療が発展した現在でも、亡くなる可能性のある病気です。

「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」という病気もあります。主に乳児期に麻しんにかかり、回復した後、数年から十数年の期間を経て発症します。普通に生活していた子が歩けなくなったり、しゃべれなくなったりして、自立した生活ができなくなります。根本的な治療法は確立されていません。この「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」もワクチン接種によって予防できます。

日本でなぜ、はしかが増えているの?

Q
日本では「はしかは排除状態にある」と聞きましたが、最近なぜ増えているのですか?
吉川先生
A
ウイルスが海外から持ち込まれていると考えられます。

 

日本では麻しんのワクチン接種が進み、2015 年にはWHO(世界保健機関)から「排除状態にある」と認定されました。これは国内に土着するウイルスによる感染が確認されなくなったという意味です。

ですが、海外からの帰国者や訪日客からウイルスが持ち込まれ、感染が広がっています。2026 年の累計患者数は、6 月 2 日に発表された速報値で 511 人。これは過去 10 年で最も多かった 2019 年の 744 人に迫るペースです。

患者が多いのは東京都です。高知では 2025 年に、17 年ぶりに患者が報告されました。

予防する方法はワクチン接種だけですか?

Q
はしかを予防するにはワクチン接種しかありませんか?
吉川先生
A
ワクチン接種しかありません。「1 歳」と「就学前」に必ず接種してください。

 

麻しんは一般的な感染症対策では予防できないため、ワクチン接種が大切です。風疹のワクチンと一緒になった「MRワクチン」があり、「1 歳」と「就学前」の 2 回が定期接種となっています。

ワクチンを 2 回接種すると、ほとんどの人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得します。感染を防ぐため、国は 95 %以上の接種率を目標としていますが、2024 年の高知の接種率は 1 歳が 91 %、数学前は 89.3 %でした。

MRワクチンを接種できていない場合は、1 歳 6 カ月での健診や、小学校に入る前の就学時健診で「忘れずに打ってください」と声がかかります。お子さんの命を守るため、必ず接種してください。

免疫をしっかり獲得するためには、特に 2 回目の「念押し」が大事です。年長児の親御さんはお忘れなく。

ワクチンを接種したかどうか分からず困っています

Q

子どもにはワクチンを接種しましたが、親である私は接種歴が分からず、困っています。

吉川先生
A
 接種歴が分からない大人は「抗体検査」を受けてください。

 

麻しんのワクチンの定期接種は 1978 年に始まりました。初めは 1 回で、1990 年 4 月 2 日以降に生まれた人は 2 回接種となりました。

このため、麻しんにかかったことのない人に加えて、1 回しか接種できていない人も感染のリスクが高まっています。

「麻しんにかかったことがあるかどうか分からない」「ワクチンは 1 回しか接種できていないようだ」という人のために、高知県が無料で抗体検査を行っています。検査の結果、抗体の値が低い場合は接種を検討してください。

麻しんの抗体検査は保健所で受けられます。検査を受けたい保健所に事前に電話予約をしてください。高知市保健所では行われていませんのでご注意ください(画像は高知県のウェブサイトより)
麻しんの抗体検査は保健所で受けられます。検査を受けたい保健所に事前に電話予約をしてください。高知市保健所では行われていませんのでご注意ください(画像は高知県のウェブサイトより)

接種歴や罹患歴が分からない人が抗体検査なしでワクチンを接種しても、健康に問題はありません。海外に行く予定のある人はかかりつけ医に相談して、接種することをお勧めします。

妊娠している場合はワクチン接種ができません。妊娠中に麻しんにかかると、流産や早産を起こす可能性があります。お母さんの免疫が赤ちゃんを守りますので、妊娠を考えている人は接種を検討してください。

「MRワクチン」の接種歴は母子手帳で確認できます

吉川先生
母子健康手帳で「MRワクチン」の接種歴を確認してください!

 

高知のMRワクチンの接種率は、1 回目も 2 回目も目標値、全国平均を下回っています。お子さんが 1 歳になるタイミングでお母さんが仕事に復帰し、ご両親ともに忙しい毎日を送っていることが要因でしょう。

ですが、空気感染もある麻しんは、生活の中で感染予防できるものではありません。残念ながら有効な治療方法も確立されていません。お子さんの感染を防ぎ、命を守るのは、ワクチン接種だけです。

母子健康手帳をあらためて開き、接種歴を確認してみてください。接種歴のない場合は、かかりつけの先生に相談してくださいね。定期接種の期間を超えていても任意接種は可能です。

この記事の著者

門田朋三

門田朋三

小学生ママです。長女は思春期入りの5年生、次女はSnow Man好きの2年生です。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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