子育て
アイコン:子育て

「教えて!吉川先生」水痘(水ぼうそう)|体に発疹ができ、かゆみを伴います

「教えて!吉川先生」水痘(水ぼうそう)|体に発疹ができ、かゆみを伴います

子どもの病気やけがについて、ココハレかかりつけ小児科医・吉川清志先生が解説します

子どもの急な発熱に「さっきまで元気だったのに…」と焦ったり、病気やけがについてインターネットで調べて、「本当に正しい情報なの?」と迷ったりした経験はありませんか?

「教えて!吉川先生」では、高知県内でたくさんの子どもたちを診察してきた小児科医・吉川清志(きっかわ・きよし)さんが「ココハレかかりつけ小児科医」として、子どもの病気やけがについて解説します。

今回は「水痘(すいとう)」。一般には「水ぼうそう」と呼ばれています。症状や治療方法を聞きました。

 

「教えて!吉川先生」はこちらから

「水ぼうそう」とは?

Q
「水ぼうそう」とはどんな病気ですか?
A
体に発疹ができ、かゆみを伴います

 

水ぼうそうは「水痘・帯状疱疹(たいじょうほうしん)ウイルス」と呼ばれるウイルスが原因です。このウイルスは体に入り、潜伏する性質があります。初感染後に発症する病気が「水痘」で、一般には「水ぼうそう」と呼ばれています。

水ぼうそうでは、皮膚に赤い虫刺されのような発疹ができ、だんだん増えていきます。発疹が増えると、発疹の先が水ぶくれのようになり、かさぶたができます。その頃からかゆみも伴います。

発疹が全部かさぶたになると、感染力はなくなります。通常は 1 週間くらいで自然に治ります。発疹は多いことも少ないこともあり、熱は出る場合もあれば、出ない場合もあります。

ウイルスはその後も体内に潜伏します。体内に潜んでいたウイルスが、再び活性化した際に発症するのが「帯状疱疹」です。50 代から患者が増えていきますが、小児に発症することもあります。

感染経路は?

Q
どうやって感染しますか?
A
主に飛まつ感染と空気感染です。接触感染もあります

 

主に飛まつ感染、空気感染によって感染します。水ぶくれを触ることによる接触感染もあります。

水ぼうそうのウイルスは感染力が強いことで知られています。何も防御していない状態の集団で、1 人の感染者が周囲の人に感染させる人数を「基本再生産数」と言います。新型コロナウイルスが「2 ~ 3.5 人」なのに対し、水ぼうそうは「 8 ~ 10 人」。麻疹(はしか)や百日咳に匹敵する感染力です。

流行する時期は?

Q
流行する時期はありますか?
A
冬から初夏にかけて増えます

 

これまでは冬から初夏にかけて増え、秋ごろに少なくなるというサイクルでした。2014 年にワクチンが定期接種になり、2015 年以降の感染者数は激減しています。

治療方法は?

Q
治療方法はありますか?
A
塗り薬、かゆみ止めの抗ヒスタミン剤、抗ウイルス剤を使います

 

発疹に白い軟膏を塗り、炎症とかゆみを抑えます。かゆみが強い場合には、かゆみ止めの抗ヒスタミン剤を内服します。熱が高い場合には解熱剤を使って症状を和らげます。

抗ウイルス剤を使うと、発疹の数や発熱やかゆみの症状が軽くなります。2 種類の薬があり、1 日 3 回または 4 回で 5 日間服用します。

 

発疹で気をつけることは?

Q
発疹で気をつけることはありますか?
A
とびひに注意しましょう

 

水ぼうそうの発疹によって皮膚が傷ついているところに、溶連菌やブドウ球菌などの細菌がくっつくと、じゅくじゅくしたり、水ぶくれになったりします。この状態は「とびひ」が考えられますので、発疹がかさぶたになったのにさらに広がる場合は、受診してください。

 

登園・登校はいつから?

Q
登園・登校はいつからできますか?
A
発疹が全てかさぶたになればOKです

 

学校保健安全法では、出席停止期間の基準を「すべての発疹が痂皮(かひ)化するまで」と定めています。「痂皮」はかさぶたのことです。発疹が全てかさぶたになれば感染力はなくなりますので、登園・登校してかまいません。発疹の跡形がしばらく残りますが、徐々に薄くなり、分からなくなります。

予防方法は?

Q
予防方法はありますか?
A
ワクチンが定期接種になっています

 

水痘ワクチンはウイルスを弱毒化させた生ワクチンで、生後 12 か月から 36 か月未満の間に 2 回接種します。1 歳になったらすぐに 1 回目を打ち、半年後に 2 回目を打つというのが目安です。

予防接種は受けた方がいい?

Q
予防接種は受けた方がいいですか?
A
合併症を防ぐためにもぜひ受けてください

 

「ワクチンを接種するより、自然感染して免疫をつけた方がいいのでは」という意見があります。人が病原体に感染して自分で免疫をつくることは自然なことですが、子どもにとっては大きな負担であり、合併症の危険も伴います。

水痘はまれにですが、肺炎や小脳失調症などの重い合併症を引き起こすことがあります。また、全身に発疹や水ぶくれができてかゆいのは、子どもにとってはつらいことです。ワクチンの副反応を心配し過ぎないで、ワクチンで予防できる病気は、ぜひワクチンで予防してください。

ワクチンで帯状疱疹も防げる?

Q
水痘ワクチンを打っておくと、大人になってからの帯状疱疹も防げますか?
A
帯状疱疹が起こりにくくなるかどうかは、まだ分かっていません

 

帯状疱疹は体内に潜伏していたウイルスが加齢やストレスで免疫力が低下し再活性化することで発症します。ピリピリと刺すような痛みが起こり、後から発疹が体の片方に、神経に沿って帯状に出ます。水痘にかかったことがある人なら、誰でも帯状疱疹を発症する可能性があります。

水痘ワクチンが定期接種化されたのはつい最近ですので、水痘ワクチンによって帯状疱疹が起こりにくくなるのか、患者数がどのように変化するのかはまだ分かっていません。

水痘ワクチンは、帯状疱疹予防ワクチンとして50 歳以上の人が接種できるようになりました。過去に水ぼうそうにかかったことのある人は知っておいてください。

この記事の著者

門田朋三

門田朋三

小 3 と年長児の娘がいます。「仲良し」と「けんか」の繰り返しで毎日にぎやかです。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

関連するキーワード

LINE公式アカウントで
最新情報をチェック!

  • 週に2回程度、ココハレ編集部のおすすめ情報をLINEでお知らせします。

上に戻る