「教えて!吉川先生」伝染性紅斑(リンゴ病)|発疹ができる風邪。妊婦さんは注意を
子どもの病気やけがについて、ココハレかかりつけ小児科医・吉川清志先生が解説します
「伝染性紅斑」とは?
伝染性紅斑は風邪の一種で、発疹が出るのが特徴です。発疹は顔、上腕の外側、太ももの前面に現れます。「紅斑」と言って両頬が発疹でべたっと赤くなるので「リンゴ病」とも呼ばれています。
時間が経過すると発疹は赤色が薄くなり、レース状になり、7~10 日ほどで消えます。かゆみや、関節に痛みが出る場合もあります。
両頬に発疹が出る前に、微熱や風邪の症状が出ることもあります。
感染経路は?
伝染性紅斑のウイルスは「ヒトパルボウイルスB19」というウイルスです。せきやくしゃみなどによる飛まつ感染や、接触感染によって感染します。
感染は集団生活を送る園児から小学生の年代に多いですが、大人も感染します。感染力が最も強いのは発疹が出る前なので、その時に伝染性紅斑だと気付くことはできません。
一度かかると、「終生免疫」が得られ、再感染はしないとされています。
流行する時期は?
4~5 年に一度、全国規模で流行が見られます。
治療方法は?
伝染性紅斑の症状は軽いことが多く、経過を見ながら自然に治るのを待ちます。
紅斑が出る頃には感染力はほぼなくなっているので、紅斑が出ていても学校や保育園・幼稚園に出席できます。
注意点は?
伝染性紅斑は子どもがかかっても自然に治り、予後も良好なのですが、妊婦さんは注意が必要です。
妊娠中に初めて感染すると、胎児にまで感染が及ぶ恐れがあります。胎児が感染すると、赤血球を作る機能がストップしてしまい、重篤な貧血や、貧血による心臓への負担で全身に水分がたまる「胎児水腫」となり、流産することもあります。
ワクチンや治療薬など有効な予防方法、治療方法はありませんので、妊娠中は特に、手洗いなど通常の感染対策をしっかり行い、風邪の症状がある人には近づかないことが大切です。「流行している」というニュースが出た際は、人混みに近づかないようにしましょう。