新型コロナウイルス・自宅療養での注意点は?吉川清志先生に聞きました
新型コロナウイルスに感染し、自宅療養となった場合の注意点について、高知県感染症対策協議会の会長で、ココハレでもおなじみの吉川清志先生に聞きました。
家族と同居で自宅療養する際は、生活ゾーンを分け、換気や消毒をこまめに行い、感染している人以外の家族もマスクをすることが望ましいそうです。
県内では 10 歳未満、10 代の子どもたちの感染が報告されています。毎日の感染対策とともに、いざという時のシミュレーションもしてみてください。
自宅療養、家でもマスクを 吉川医師 空間分け感染対策
(高知新聞 2021 年 9 月 11 日掲載)
新型コロナウイルスに感染した軽症者らを原則自宅療養とする運用が県内でも続いている。自宅療養中の症状悪化や同居家族への感染を防ぐためには―。県感染症対策協議会の吉川(きっかわ)清志会長=小児科医、土佐希望の家医療福祉センター長=に注意点を聞いた。
換気こまめに
吉川医師は、家族と同居で自宅療養する場合、(1)個室など患者のみが過ごす場所(2)廊下やトイレ、風呂など共用の場所(3)リビングなど感染者以外の家族が過ごす場所―の3ゾーンに生活空間を分ける考え方が重要とする。
共用部のドアノブや感染者が使用後のトイレは、家庭用漂白剤や消毒剤でこまめに清掃する。患者の個室や共用部分は1時間に1、2回、5~10分間ほど換気する必要がある。
感染力が強いデルタ株がまん延しており、接触・飛沫(ひまつ)感染だけでなく、ウイルスを含んだ微小な粒子を吸い込む「エアロゾル感染」のリスクも高まっている。吉川医師は「家の中では感染者以外の家族もマスクをつけることが望ましい」とした。
自宅療養者には血中酸素飽和度を測る「パルスオキシメーター」が配布される。飽和度96%以上は軽症とされるが、95、94%は呼吸困難が起き、93%以下は酸素投与が必要とされる。「急に熱が上がった時や指が冷たい時は数値が悪くなりやすい。数値だけでなく、息が苦しくて横になれなかったり、会話が続かなかったりする症状にも気を付けてほしい」とする。
「災害」級に備え
自宅療養には「災害時と同じような備えが必要だ」とも。食料は最低3日分、できれば5日分を備蓄し、トイレットペーパーや消毒液などの日用品も多めに買い足しておくと安心だ。新型コロナの症状には発熱やせきなどのほか、下痢も多いとし、「フルーツの缶詰やゼリーなど、日持ちしやすく、食べやすい食料があるといい」とアドバイスする。
自宅療養が始まると、一緒に暮らす家族も大きな生活制限を受けることになる。
検査で陽性が確認された場合、患者の療養期間は症状が出た日(無症状の人は検体採取日)を「0日目」として起算し、計10日間となる。濃厚接触者となる家族は原則、感染者の療養終了からさらに2週間の自宅待機が求められることになる。
吉川医師は「決して患者が治れば済むという問題ではなく、家族も長期間、学校や仕事を休まないといけなくなる。そうした影響を考え、感染リスクのある行動を控え、対策を徹底してもらいたい」と呼び掛けている。(海路佳孝)