「子どもの熱が何日も続く」「解熱剤で下がらない」「様子見っていつまで?」|こうちこども救急ダイヤル「#8000」Q&A集・発熱編…子どもの病気・けがで困ったらチェック!

「子どもが夜、具合が悪くなった」「急いで病院に連れて行くべきかどうか、判断に迷う」という時に強い味方になるのが「こうちこども救急ダイヤル」。「#8000」に電話すると、看護師さんが対応してくれます。
ココハレでは今回、「#8000」によく寄せられる質問について、ココハレのかかりつけ小児科医・吉川清志先生に聞きました。
この記事は発熱編。「子どもの熱が何日も続く」「解熱剤が効かない」「医師に『様子を見て』って言われたけど、いつまで?」など、困った時の参考にしてください。
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目次
【#8000とは】子どもの病気・けがの電話相談。看護師さんが毎日、午後8時~翌日午前1時に対応します
「こうちこども救急ダイヤル」は夜間対応してくれる電話相談です。相談員の看護師さんが子どもの病気やけがの症状を聞き取り、必要な場合は受診を勧めてくれます。
運営は高知県から高知県看護協会に委託されていて、毎日午後 8 時から翌日の午前 1 時まで対応しています。
- 電話:#8000 または088-873-3090
- 時間:20:00~深夜 1:00、年中無休

今回は「#8000」に寄せられた質問を県看護協会の皆さんが集計。ココハレの「教えて!吉川先生」でおなじみの小児科医・吉川清志先生に答えていただきました。

【Q1】39度以上の熱が何日も続いていて、座薬や解熱剤でも下がりません


熱が続くと、心配ですね。まず、「なぜ発熱するのか」からご説明します。
発熱は体内に入ってきたウイルスや細菌と戦うために起こります。体温が高いと、ウイルスや細菌が体内で増える力が弱まります。そして、病気をやっつける白血球がよく働くようになります。つまり、「体が頑張っている証拠」なんです。
熱への対応では、本人の状態の見極めが大切です。熱は高いけれど、眠れて、ご飯も食べて、機嫌よく過ごしていれば大丈夫。反対に、「眠れない」「食べられない」「機嫌が悪い」ようでしたら、座薬や解熱剤を使い、症状が改善するようなら経過を見てください。

熱の勢いによっては、座薬や解熱剤を服用しても思ったように熱が下がりません。38 度台まで下がってしんどさが軽くなれば「効果あり」と判断します。少し楽になり、眠れて、水分が取れる状態なら、抵抗力も一定保たれますので、36 度台に下がらなくても構いません。
【Q2】「熱が下がるまで様子を見てください」っていつまで?


ウイルスによる感染症ならば、3~4 日は様子を見てください。その間、熱が上がったり下がったりしますが、熱の高さよりも「元気かどうか」が大事です。「熱が高くても元気」「熱が高い時はしんどそうだが、下がれば元気」ならば大丈夫です。
「元気がどうか」は全身状態で確認します。通常の咳や鼻水は風邪の症状ですので、様子を見ましょう。次の症状がある場合は、ためらわずに再受診してください。
【再受診が必要な症状】
- 咳が多い
- 息が苦しそう
- 熱が下がってもぐったりしている
- 意識がぼんやりしている
- けいれんしている
【Q3】熱は何日たったら下がる?


通常のウイルス感染症ならば、熱は 3~4 日たつと下がります。3~4 日経過しても続く場合は、他の病気がないかの確認が必要ですので、再受診してください。
熱の出始めでは症状の見極めが難しいですが、3~4 日経過すると最初の診察では分からなかった症状から判断できる場合があります。再受診の際には熱以外の症状も先生に伝えてください。

熱が出た場合、咳や鼻水などの症状があると風邪と思われますが、「熱だけ」の場合は他の病気も疑います。特に生後 6 カ月未満で、まだお母さんからもらった免疫がある時期の赤ちゃんの「熱だけ」は注意が必要です。必ず受診してください。
【Q4】解熱剤が効かないので「6時間間隔」は守らなくてもいい?


解熱剤は通常、間隔を 6 時間以上空けて投与します。1 日 2~3 回以内が目安です。使い過ぎると副作用を起こすので、間隔は守りましょう。
熱の勢いが強いと解熱剤が効きにくいので、首や脇の下や足の付け根を冷やすことも有効です。冷たい水を入れたビニール袋や、冷やした保冷剤を薄いタオルで包んで冷やしてみてください。冷た過ぎるようなら外しましょう。
「昼間は熱が下がったのに、夜になると上がる」との相談も多いですが、これは治っていく上での通常の経過です。熱のみにとらわれず、お子さんが「元気かどうか」を確認してください。熱以外の咳や腹痛、下痢、嘔吐など、Q2 で挙げた症状にも注意してください。
【Q5】「明日まで様子を見て」と言われましたが、熱が続いていて心配です


発熱は体内でウイルスや細菌と戦っている証拠です。解熱剤は風邪を治す薬ではなく、あくまで症状を取る薬です。風邪は自分の力で治しますので、熱が下がるまでに 3~4 日かかります。
様子見で大丈夫ですが、お子さんが「元気かどうか」はチェックしてください。Q2 に書いているように「咳が多い」「息が苦しそう」「ぼんやりしている」「けいれんしている」などの症状がある場合や、親御さんが「いつもと何か違う」と感じた場合は受診してください。
【Q6】受診したのに先生がインフルエンザの検査をしてくれないのはなぜ?


熱が出ると、何の病気か気になると思いますが、検査には適切なタイミングがあります。症状が出てすぐに検査すると、早過ぎて正しい結果が出ない場合があります。この場合は「すぐに検査せず、半日待つ」という判断をします。「翌日一番に検査しましょう」などと指示があると思います。鼻の検査は痛いので、できるだけ検査回数を少なくしたいと考えています。
インフルエンザは症状が出てから48 時間以内に服用すると効く薬がありますので、検査のタイミングに注意しています。
一方で、RSウイルス感染症には特効薬がなく、通常は風邪の対症療法になります。対症療法で治らない場合や、咳が強い場合、熱が続く場合、あるいは患者が 0 歳の乳児である場合や周囲の感染者の情報を総合的に考えて検査を行います。
親御さんとしては「何の病気か知って安心したい」という思いがあるかと思いますが、検査は痛みを伴います。お子さんの負担を考え、「すぐには検査をしない」「必要でない検査はしない」という考え方の先生もいます。疑問や不安がある場合はぜひ、先生に質問してみてください。
【Q7】熱性けいれんの予防薬は熱が下がっていても2回目の投与が必要ですか?


その時に熱が下がっていても、後で急に高熱になることがあります。2 回目も必ず使用してください。
熱性けいれんは発熱に伴って起こるけいれんです。「突然意識がなくなり、白目をむく」「体ががくがく震える」「名前を呼んでも反応がない」などの症状が出ます。
ダイアップは熱性けいれんを起こしたお子さんに処方される予防の座薬です。37.5 度以上の発熱に気づいた時点で、1 回目を使用します。2 回目は 8 時間後です。2 回目を投与するタイミングで熱が下がっていても、後で急に高熱になることもあるので、必ず使用してください。
熱性けいれんは生後 6 カ月~ 6 歳頃に 7~8 %の子どもに起こります。決して珍しくはありませんが、目の前のお子さんに起きるとびっくりされるでしょう。
救急車は「けいれんが 5 分以上続く場合など」とされていますが、心配な時は呼んでください。最初にけいれんを起こした時は必ず受診しましょう。
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