週刊高知の子どもニュース 2020年11月1~7日
今週は地域学習の話題がたくさん届きました。
南国市の大湊小学校では 4 、5 年生が「戦争遺跡探検隊」を結成。旧高知海軍航空隊通信所跡など普段は見ることのできない遺跡を見学し、地元の戦争の歴史を学んでいます。
四万十市の西土佐小学校では地域のお祭りを調べている 3 年生が神社のお祭りでみこし担ぎに挑戦。重さに苦労しながら、地域の人がお祭りを大事にしていることを実感しました。
他にもユズを収穫したり、土佐あかうしと触れ合ったり。高知の子どもたちは豊かに学んでいます。
2020 年 11 月 1 ~ 7 日の子どもたちのニュースを、高知新聞の紙面からお届けします。
目次
戦争遺跡 語り継ごう 大湊小児童「探検隊」
(高知新聞 2020 年 11 月 1 日朝刊より)
地下通信所跡など視察 南国市
南国市前浜の大湊小学校の4、5年生が総合学習の時間に「戦争遺跡探検隊」を結成し、土佐史談会のメンバーらを講師に古里の戦争の歴史を学んでいる。高知大学農林海洋科学部の地下に残る旧高知海軍航空隊通信所跡も初めて視察し、次代の語り部へと意識を高めている。
同校は以前から地元に残る太平洋戦争時の軍用機格納庫「掩体(えんたい)」などの歴史を学んできた。今回は県の郷土学習支援事業の一環で、市内の各遺跡の背景などをさらに掘り下げようと、10、11月に全8回の授業を行う。
10月26日は児童11人が、なかなか見ることができない通信所跡を“探検”。2013年に調査した市生涯学習課文化財係の油利崇さん(38)の案内で、地下に4基あるコンクリート施設のうち、連絡通路でつながる2基に入った。
階段を下りた先は高さ2・6メートル、幅2・55メートル、長さが19・7~22・7メートルのトンネル状の空間。れんがを積んだ仕切り壁や通気口なども残る。床にはくるぶし高まで水がたまり、鉄筋がむき出しの部分もあった。
油利さんは「管制塔の役割を担っていた」「コンクリの厚みは60センチもある」などと説明。児童からは「爆撃されても生き残れそう」「太陽も見えん場所で働くのは嫌や」などの声が漏れた。
本土決戦に備えて造られた「トーチカ」(同市前浜)も見学し、通信所に比べて細い鉄筋が使われていることも目の当たりにした。土佐史談会の宅間一之会長(85)が「人命より機器を守ることに重きを置いた時代」と語ると、児童は「遺産の意味を伝えていかないと」と感じ入った様子だった。(横田宰成)
プロのすし おいしい! 佐川の児童施設 料理人が訪問
(高知新聞 2020 年 11 月 1 日朝刊より)
高岡郡佐川町甲の児童心理治療施設「さくらの森学園」の子どもたちがこのほど、プロの料理人が作るすしを堪能し、魚のおいしさや職人の仕事について学んだ。
高知市のNPO法人「なとわ」が、高知中央市場鮮魚買受人協同組合、県日本調理技能士会と協力し企画。10月27日に同市の「土佐御苑」「高知サンライズホテル」「寿し柳」から4人の料理人が施設を訪れ、子どもたちの前で赤身やエビ、ホタテなどのすしを握った。
小中学生8人はプロの味に「おいしい!」と目を輝かせ、好みのネタをどんどんおかわり。また料理人たちに「何で料理の道に進んだんですか?」「握るときに一番難しいネタは?」と、好奇心旺盛に質問していた。
同組合の青年部副部長、中田佳伸さん(37)は「みんないい顔をしちょって、本当にやってよかった。これを機に魚が好きになってくれたら」。同学園の中村久美施設長(61)は「コロナで子どもたちは外出できない日々が続いていた。すごくいい息抜きになった」と喜んでいた。(楠瀬健太)
仮装や演奏披露 商店街にぎわう 土佐清水市
(高知新聞 2020 年 11 月 1 日朝刊より)
ハロウィーンに合わせ31日、県内各地で子どもらが仮装パレードや住民との交流を楽しんだ。
土佐清水市の中心市街地では、パレードやコンサートが行われ、親子連れら約200人でにぎわった。妖精やお姫様、アニメのキャラクターなどに仮装した子どもたちが集合。パレードでは「トリック・オア・トリート」と店舗で声を掛け、お菓子をもらっていた。今年は、中央町商店街に特設ステージが設けられ、清水中学校音楽部や地元児童らが演奏やダンスを披露し、会場を盛り上げた。
イベントは日米友好の橋渡しとなった同市出身のジョン万次郎にちなみ、米国文化に親しんでもらおうと地元有志が2012年に開始。運営者の1人、田中慎太郎さん(43)は「コロナに負けるなという意味も込めて開催した。これからも続けていきたい」と話していた。(山崎彩加)
お年寄りと子ども 仮装通じて交流 安芸市
(高知新聞 2020 年 11 月 1 日朝刊より)
ハロウィーンに合わせ31日、県内各地で子どもらが仮装パレードや住民との交流を楽しんだ。
安芸市の本町商店街では、仮装した子どもたちがお年寄りからお菓子をもらって楽しんだ。
地域のお年寄りの集まり「サロンはまちどり」(佐藤満子代表)が、さまざまな年代が交流する場を設けようと企画。参加証となる折り紙のネックレス、お菓子を入れた皿などは浜千鳥のメンバーらが手作りした。
マントやドレスできらびやかに仮装した子どもらは、商店街内のチェックポイントを巡り歩いた。お年寄りはクイズやじゃんけんゲームで出迎え、「あら、あんたかわいらしいねえ」と目を細めていた。子どもらはお菓子をもらうと「ありがとう」と喜んでいた。(森部智成)
弁当で自炊力磨こう 馬路小中 今年も月1回自作
(高知新聞 2020 年 11 月 1 日朝刊より)
安芸郡馬路村の馬路小中学校で、児童生徒が弁当を自作し登校する「馬路式お弁当の日!」がこのほど、始まった。来年2月まで月1回、将来に備えて自炊の力を磨く。
高校のない村では中学卒業後、村外で暮らし学ぶ子どもが多い。弁当の日は、自活の柱となる「食」に着目したPTAが音頭を取り、小学5年生から中学3年生を対象に2012年度から設けている。
初参加の5年生は、事前の授業で栄養バランスや彩り、「副菜の表面積は主菜の2倍」といったこつを学習。初日の10月27日、教室にはそれぞれの自信作が並んだ。
久保優菜さん(11)は午前5時すぎに起きて、エノキのベーコン巻きや鶏肉を焼いてレモン風味にしたおかずを作り、のりでごはんに犬を描いた。「調理法を工夫したら、何でもできることが分かった。自分で作ったから、おいしかった」と納得顔だった。(北原省吾)
ビーサン飛ばしに歓声 Tシャツアート展にぎわう 黒潮町
(高知新聞 2020 年 11 月 2 日朝刊より)
幡多郡黒潮町の入野海岸で開催中のTシャツアート展で1日、ビーチサンダルの飛距離を競う「第15回ビーサン飛ばし大会」や新婚夫婦の記念撮影イベントが行われ、大勢の人でにぎわった。
毎年恒例のビーサン飛ばし大会は、10歳以下の「こんまい子」、10歳以上の女性の「おなごし」、同男性の「おとこし」の各部門に10人ずつが出場。
空高くサンダルを飛ばしながらもファウルになったり、飛距離を伸ばそうと低空飛行させたりと白熱した争いが展開され、会場から大きな歓声が送られた。
「おとこし」で連覇した黒潮消防署員の岡田征幸さん(51)=四万十市=は、「おなごし」優勝の長女、優海さん(15)と親子Vを果たし、「家族で練習したかいがあった」と笑顔。「こんまい子」は黒潮町の村上稜太ちゃん(4)が優勝した。
会場では「りぼんウェディングロベスト」(四万十市)企画の「砂浜ウェディング」も開催。公募で選ばれた夫婦2組がドレスなどに身を包み、砂浜での記念撮影を楽しんでいた。(今川彩香)
ユズ摘み楽しいな 安田町児童が体験
(高知新聞 2020 年 11 月 3 日朝刊より)
安芸郡安田町の安田小学校の6年生13人がこのほど、同町東島でユズを収穫し、地元の農産物への理解を深めた。
地域学習の一環で10月27日に行われ、児童は260本ほどが栽培されている同町のユズ農家、中野睦夫さん(66)の果樹園へ。革手袋をはめ、車のタイヤもパンクさせるという硬くて大きなとげに注意しながら、傷が少なく形の良いユズを見極めていた。
ユズ摘みは幼稚園児のとき以来という小松慎君(11)は「懐かしい感覚。形と大きさを選んで切るのが楽しい」とにっこり。収穫後、児童は搾汁も体験した。
JA高知県によると、安田町では昨シーズン約600トンのユズが生産された。(北原省吾)
あかうし心音聞き児童が「命」学ぶ 奈半利町
(高知新聞 2020 年 11 月 3 日朝刊より)
安芸郡奈半利町の米ケ岡地区でこのほど、奈半利小学校の5年生24人が土佐あかうしと触れ合った。聴診器を使って心音に耳を澄ませたほか、放牧の様子を見学した。
奈半利町畜産組合などが10月28日、命と食の大切さを伝えようと、同組合員が飼育する牛を同地区の放牧地に連れてきた。
児童は雄の子牛2頭に近づき、聴診器を左前脚の付け根付近へ。心臓が動く音を聞いた丸下楓翔(ふうが)君(11)は、「人間とおんなじでドクドクいいよった。胸の毛はさらさらして、温かかった」と話していた。
子どもたちは、あかうしのバーべキューも楽しみ、「軟らかい」「まだまだ食べられる」と満喫した様子だった。(北原省吾)
大栃小中50人がバレエレッスン プロが遠隔指導
(高知新聞 2020 年 11 月 3 日朝刊より)
香美市物部町大栃の大栃中学校でこのほど、大阪市のバレエ団によるオンライン授業が行われ、全校生徒と大栃小の5、6年生約50人が、体をいっぱいに使っての表現を楽しんだ。
文化庁の「文化芸術による子供の育成事業」の一環。10月20日、国内外で活躍する「法村友井バレエ団」スタジオと中学校体育館をビデオ会議アプリで接続して開かれた。
プロダンサーの指導を受けた子どもたちは、かかとを合わせながらつま先を180度開いて立つ姿勢や体の回転方法といった基本動作を練習。パントマイムも体験し、「愛を誓います」「悲しいです」といった感情やせりふを、両手や顔の動きで表現していた。
最後には、名作「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」のワンシーンの再現にも挑戦。同中2年の公文敏登(はやと)さん(14)は、「プロの技術や表現力の高さに感動した。バレエの世界に少し興味が出た」と話していた。(小笠原舞香)
南国市の大篠小児童が高齢者体験
(高知新聞 2020 年 11 月 4 日朝刊より)
高齢者の不自由さや手助けが必要な事柄を理解しようと、高知県南国市大埇甲の大篠小学校5年生140人がこのほど、同校で器具を使った疑似体験をした。
10月29、30の両日、市社協の職員を講師に招いた。児童は2人一組となり、1人が関節の動きや視界を制限する器具や耳栓などを着け、もう1人が補助。「転びそう」と言いながら歩いて、財布からお金を出したり、地区のごみの日を表から読み取ったりした。
種田栄志君(11)は「この状態で生活するのはつらいと感じた。困ってたら、何かで助けになりたい」と話していた。(川嶋幹鷹)
アイデアあふれる60点 高知市で発明くふう展
(高知新聞 2020 年 11 月 6 日朝刊より)
県教育文化祭・児童生徒発明くふう展が5~6日、高知市布師田の中小企業会館で開かれた。アイデアあふれる作品が60点並び、来場者の目を楽しませた。
県発明協会(安岡和彦会長)と高知新聞社などが毎年開いており49回目。今年は新型コロナウイルスの影響もあり応募数は例年より少なめで、「児童生徒の部」に18小学校から寄せられた。
最高賞の県教育長賞には土佐市の高岡第二小6年、河添菜々さんの「太陽からのお中元(おくりもの)」が選ばれた。段ボール製の箱の内部にアルミホイルを張り、太陽光の熱で調理するこんろで「実用的で見た目も美しい」と評価された。
ほかにも、テニスラケットで作ったギターや磁石を使ったUFOキャッチャーなどユニークな作品が並んでおり、会場を訪れた人は「大人では思いつかないような作品があって、すごい」と目を丸くしていた。(乙井康弘)
西土佐小児童みこし担ぐ 四万十市の大宮神社で秋の例大祭
(高知新聞 2020 年 11 月 7 日朝刊より)
高知県四万十市西土佐大宮の大宮神社でこのほど、秋の例大祭が行われた。地区の子どもと一緒に、西土佐小学校の児童もみこしの担ぎ手を体験した。
五穀豊穣(ほうじょう)を願って毎年秋の大祭時にみこしが地区を回っている。今年は2日、総合的な学習で地域のお祭りを調べている西土佐小学校3年生が初めて参加した。
雨のため、近くの旧大宮小学校体育館でみこし担ぎ。児童ら約25人が、金色の装飾や鈴が輝くみこしを元気いっぱいに担ぎ、シャラシャラと音を立てて上下に揺らした。
西土佐小学校の柴萌夏さん(9)は「おみこしは重くて肩が痛くなったけど、大宮の人がお祭りを大事にしているのが伝わった。ずっと続いてほしい」と話していた。
この後、総代らがみこしや太鼓を車に載せて地区を巡った。ドコドコドンと太鼓の音が響くと、家々から住民が出てきてみこしに向かって手を合わせ、お神酒を受け取っていった。(平野愛弓)