「健診」をどう捉えていますか?|土居寿美子さんコラム「こころのとびら」⑦
子育て支援センター「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します
子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。
コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営する特定非営利活動法人の理事長、土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。
これまでのコラムはこちら
「個性」を見てくれる場
行政の取り組みに「 1 歳 6 カ月児健診」「 3 歳児健診」があります。皆さんは行かれましたか?
「言葉がゆっくり」「よく動く」など何か指摘されると、「チェックされた!」とマイナスに捉える方が多いように思います。いるかひろばでもそういう声をよく耳にします。
健診の結果に一喜一憂される方がたくさんいらっしゃるということだと思います。それは「表面的な捉え方」だと思います。
実は、私もわが子を育てる時に表面的な捉え方をしていました。上の子はチェックはされませんでしたが、「育てにくい」と日に日に感じていました。下の子を出産した後に、「同じ子どもでもこんなに個性が違うんだ」と気付かされ、個性に合わせた関わりを意識するようになりました。
困ったら泣きわめくわが子にどう関わったらいいのか。あの手この手を試しますが、うまくいきません。自分のしんどい思いを相談しても、「大きくなったら落ち着く」「もっと厳しくせんといかん」などの言葉が返ってくるばかりで、「言わなければよかったな」と後悔の思いばかりが残っていました。
その彼が父になり、子どもが生まれました。気質は父とそっくり!今度は健診で特徴を見極めてもらい、子育て相談の場が広がりました。
孫育てをしながら、自分の子育ての時には分かってあげることができなかったな、してほしくない行動を頭ごなしに制止してきたな…と反省点が思い浮かびます。
例えばスーパーで駄々をこねた時、やめさそうとすればするほどわめかれました。「恥ずかしい」「静かにして」という親の感情は、子どもには伝わらないのです。
たどり着いた関わり方は「乗っからない」。わめき始めたら、子どもの様子から目は離さずに、知らんぷりをしました。そして、わめきながらもこちらに来た時には頭をなでて、何ごともなかったかのように過ごしました。
関わりを変えるだけで、随分と駄々をこねる回数が減っていきました。
私の家族のように個性が強い子どもは、個性に合わせた関わりを毎日続けていくことが大事です。それを気付かせてくれる場の一つが健診です。「できたから良い」「できなかったから駄目」と子どもを表面的に評価する場ではなく、1 人 1 人の「個性」を見てくれる場、子育ての困りごとを一緒に考えてくれる場だと私は思います。
親にも「個性」があり、わが子とかみ合う時もあれば、そうでない時もあります。関わり方が分からない時は 1 人で抱えず、ぜひ発信してください。いるかひろばでよろしければ、一緒に考えていきたいと思います。