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「学校かわりたい」。長男が初めて自分の思いを語りました|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㉟

「学校かわりたい」。長男が初めて自分の思いを語りました|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㉟

子育ての悩みに寄り添ってきた「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します

子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。

コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営するNPO法人の理事長・土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。

土居さんの長男は小学校に入学後、学校生活についてほとんど語りませんでした。初めて自分から打ち明けたのが「学校かわりたい」でした。

こころのとびらはココハレの「コラム」で紹介しています

夫の転勤で新しい小学校へ。長男は自分で行動するようになりました

わが家の子育ての話を再開したいと思います。

長男が入学して 2 年たった頃、夫の転勤で転校となりました。この年に次男も入学し、2 人で新しい小学校に行くこととなりました。

2 人とも、嫌がる様子もなく学校に通い始め、ほっとしました。気の合う友達もできて、放課後は自転車で遊びに行くようになり、行動範囲も広がっていきました。

親の気持ちとしたら、うれしい半面、目の届かない所に行くのでドキドキの方が強かったように思います。

長男の行動範囲が広がっていきました
長男の行動範囲が広がっていきました

引っ越しとともに、長男は 1 人で寝るようになりました。学校の準備なども自分でするようになり、徐々に自立の行動が増えたように思います。

学校には機嫌よく通っていましたが、学校での様子は全く話しませんでした。

「教室で落ち着きません」…担任の先生から電話がありました

2 学期になった頃だったでしょうか。長男の担任の先生から電話がかかってくるようになりました。

「お宅の息子さんのことですが、教室でなかなか落ち着きません…」

「すごく騒いで、大変です…」

そんな電話が何度かあり、こう言われました。

「一度見に来てもらえませんか?」

学校での様子を長男から聞くことはありませんでした(いるかひろばの掲示作品より)
学校での様子を長男から聞くことはありませんでした(いるかひろばの掲示作品より)

私が学校に様子を見に行くと、騒いでいる様子はありません。

長男は「何しに来たが?」と不思議そう。担任の先生は「いつもはすごく騒いでいるんですけど…」と話していました。

学校について、長男に聞いてみました。

私:「学校はどう?」

長男:「別に。特になんもない」

嫌がる様子も困った様子もなかったので、それ以上は聞かずに見守ろうと思いました。

クラスの絵で長男が描いたものは…

それからほどなく、担任の先生が突然、わが家を訪れました。

図工の時間に「クラスの絵」を描いたそうです。先生は息子が描いた絵を私に見せました。

「お母さん見てください。息子さんがこんな絵を描いたんです。どこかおかしいのではないでしょうか。どこかで診てもらってはいかがでしょうか…」

息子の絵には、クラスの子どもたちの机がたくさん描かれていました。隅っこには掃除道具入れ。そして、掃除道具入れの中に、ちょっとリアルな真っ黒のおばけが描かれていました。

図工の時間に「クラスの絵」を描いたそうです
図工の時間に「クラスの絵」を描いたそうです

担任の先生はいろいろ話してくださいましたが、私に長男の様子を尋ね、困りごとを一緒に考えるということは全くありませんでした。先生が思っておられることを一方的に話して帰った印象でした。

長男は、この日初めて、「学校かわりたい」と言いました。

入学して間もない頃、長男は左利きを直すのが嫌で「学校に行きたくない」と言いました。この日の「学校かわりたい」からは、当時とは異なる思いを感じました。自分の気持ちを初めて自分から話したのだと、私は受け止めました。

家族で話し合い、引っ越しがあっという間に決まりました。

子どもの個性を、大人の主観で見ていませんか?

診断こそついてはいませんでしたが、特徴の強い長男です。おそらく、その先生は良かれと思って話してくださったのでしょう。

ただ、子どもの個性の話をする時に、先生が先生の主観で思っていること話すのと、子どもの困りごとを一緒に考えていくというスタンスで話すのとでは、家族の受け止めは全く変わります。

家庭訪問の後、長男が自分の思いを話せたことは大きな成長だと思います。

子どもが表現することを受け止めていきたいですね
子どもが表現することを受け止めていきたいですね

入園・入学、進級でお子さんの環境が大きく変わる春。いろんな人との出会いが、子どもの心の成長にもつながってきます。

わが子の個性を把握し、理解し、見守りながら、必要に応じてその都度関わっていく。それは、専門機関につながることよりも、何よりも大事なのではないでしょうか。

 

土居さんに相談したい場合は、「いるかひろば」に問い合わせをしてください。

高知市地域子育て支援センター「いるかひろば」

  • 住所:高知県高知市六泉寺町22 港孕保育園内
  • 電話:088-834-1484
  • 利用時間:月~金曜 9:30~12:00、12:30~15:30  日 、土曜日(月 2~3 回)9:30 ~ 12:00
  • 駐車場:無料。4 台(身体障害者用が 1 台)。置けない場合は提携先を案内します

オンラインいるかひろばのスケジュール

  • お試しオンライン(相談も):月~金曜日 9:30~10:00
  • オンラインいるかひろば:月~金曜日。午前は 11:00~11:30 、午後は 15:00~15:30 。通所いるかひろばとつないで「集まりの時間」を行います

 

土居さんへのインタビューはこちら

【ココハレインタビュー】「いるかひろば」理事長・土居寿美子さん|しんどい気持ち、安心して話して

この記事の著者

門田朋三

土居寿美子

高岡郡梼原町出身。保育士として 2005 年から高知市の港孕保育園に勤務。07 年から港孕保育園内にある地域子育て支援センター「いるかひろば」の常勤スタッフとして、親子に寄り添った支援に取り組んできました。19 年 11 月に特定非営利活動法人いるかひろばを立ち上げ、理事長に。20 年から、いるかひろばをNPOとして運営しています。趣味はバレーボール。洋服やケーキなど何かを作ることも好きです。好きな言葉は「一所懸命」。

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