週刊高知の子どもニュース 2020年12月20~26日
2 学期最後となった 1 週間、子どもたちの心温まるニュースが届きました。
高知市春野町でウミガメの保護に取り組み、亡くなった男性に、春野西小学校の 4 年生が感謝の手紙を書きました。「私たちがウミガメを大事にする」と思いをつづり、思い出のアルバムも作って男性の妻に贈りました。
香美市の楠目小学校ではツリーハウスが完成。「みんなが仲良く遊べる場所に」と 1 年生が発案しました。思い切り遊べる日が早く来ますように。
2020 年 12 月 20 ~ 26 日に高知新聞に掲載された子どもたちのニュースをお届けします。
目次
伝統の楮蒸し剥ぎ 拳ノ川小児童が体験 黒潮町
(高知新聞 2020 年 12 月 20 日朝刊より)
幡多郡黒潮町佐賀橘川の若山楮(こうぞ)和紙工房でこのほど、拳ノ川小学校の全児童16人が、佐賀地域の特産和紙原料「若山楮」の蒸し剥ぎを体験し、地元の伝統に触れた。
佐賀北部活性化推進協議会若山楮部会の主催。例年、近隣の複数校が参加しているが、今年は新型コロナウイルス対策のため拳ノ川小のみとした。同校では年間を通じて楮の栽培学習を行っており、今年も草刈りなどの世話をしてきた。
10日、3時間ほど蒸した長さ1メートルほどの楮、約100本が用意され、児童は同会の中嶋久実子さん(60)からアドバイスを受けながら、一本一本丁寧に手作業で皮を剥がしていった。
5年生の森稟花さん(11)は「今年は刈り取り作業からやったので、楮についてよく知ることができた。するっとむけたので面白かった」と笑顔だった。(今川彩香)
四万十町と静岡市の「興津中」同士 オンライン交流
(高知新聞 2020 年 12 月 21 日朝刊より)
防災学習など紹介
高知県高岡郡四万十町の興津中学校と、静岡市にある清水興津中学校の生徒が18日、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使って互いの学校や地域について紹介し、親睦を深めた。
11月に清水興津中近くで火災があり、興津中学校教諭がインターネットでニュースを見ようと「興津中」を検索したところ、高知県の興津中の防災学習の記事がヒット。これをきっかけに「興味津々プロジェクト」と銘打った交流会が実現した。
清水興津中側は、地元が人気アニメ「ちびまる子ちゃん」の舞台であることや名物の黒はんぺんなどを、興津中側はミョウガやピーマンなどの特産品や小室の浜などをそれぞれ紹介し合った。
また興津中は地区内に津波到達予想時間を表示する看板を設置したり、防災新聞を発行して地区の全世帯に配るなど防災学習の取り組みも伝えた。生徒が3人で、本年度を最後に閉校する興津中に対し、257人いる清水興津中の生徒は「うちも海辺の地域。ぜひ活動を引き継ぎたい」と話していた。
交流会後、興津中の浜崎恵里さん(15)は「閉校になった後も、防災学習が他の地域で続いてくれるなら素晴らしいこと」と喜んでいた。(井上太郎)
香美市楠目小の校庭にツリーハウス 児童が発案
(高知新聞 2020 年 12 月 22 日朝刊より)
「仲良く遊べる場に」
高知県香美市土佐山田町の楠目小学校の校庭に21日、県産材を使ったツリーハウスが完成した。1年生が発案し、「わくわくランド」と命名。「みんなが仲良く遊べる場所に」と願っている。
きっかけは1年A組の児童16人が4月、授業で読んだ絵本「そらいろのたね」(福音館書店)。主人公が種を植えると家が生えてきて仲間たちが集う―という物語で、児童らは「自分たちも作りたい」と声を上げた。
楠目小学校から相談を受けた高知県建設労働組合香美支部のメンバーが協力。県産のスギやヒノキ、保護者が集めた廃材も使って今月12日から作業を進めていた。
校庭のハクモクレンを中心に建てたツリーハウスは、高さ約3メートル、床は7平方メートルほど。早速登って遊んだ児童たちは「遠くの建物がいっぱい見える」「秘密基地みたい」と大喜びだった。
1年生は、コロナの影響で全校集会など学年を超えた交流が少ないことも意識したそうで、吉田ゆずはさん(7)は「上級生や先生も招待したい。ここでお弁当食べたら気持ちよさそう」と話していた。(小笠原舞香)
「ウミガメ 遺志継ぎ守る」高知市春野西小の児童
(高知新聞 2020 年 12 月 23 日夕刊より)
保護指導・熊沢さん急逝 感謝と決意の手紙
高知市春野町の海岸で20年以上ウミガメの保護に取り組んできた「春野の自然を守る会」会長の熊沢佳範さん=同市=が10月末に76歳で亡くなった。熊沢さんの協力でウミガメをふ化させて育てている同市の春野西小学校4年生はこのほど感謝の手紙を書き、思い出のアルバムを作成。「私たちがウミガメを大切にする」―。熊沢さんの思いを引き継ぐ決意を記している。
南国市から土佐市にわたる高知海岸は、波による浸食などで砂浜がやせ、ウミガメが産卵を諦めたり、せっかく産卵しても卵が波にさらわれたりしている。こうした状況を心配した熊沢さんは、5~8月の産卵シーズンに地元の浜で毎朝見回りを続けてきた。
同小は2003年にふ化場を設置。以後、4年生が毎年、総合的な学習の時間でウミガメについて学んでいる。高知大の学生や大学院生らの協力も得ながら、砂浜から卵をふ化場へ移し、生まれた子ガメを放流。県の許可を受けて一部を約1年間飼育している。
本年度も4年生が6月に砂浜から取り出した146個の卵をふ化場へ移したところ、8月末に42匹の子ガメが生まれた。待ちに待った誕生で、子どもたちは熊沢さんらとの放流を楽しみにしていた。
ところが急きょ入院が決まった熊沢さんは放流に参加できなかった。授業以外でも子ガメのえさを届けたり、ふ化場の様子を見に訪れたりするなどしていた熊沢さん。入院中もカメのことを気に掛け、学校へ電話をかけてきたことがあり、子どもたちも、お見舞いの手紙を書こうとしていた。そんな矢先の訃報だった。
「これからカメはどうなるの。すごく不安になった」。突然の知らせにショックを受けた子どもたち。熊沢さんの死をすぐには受け入れられなかったが、感謝の気持ちを伝えたいと、39人全員で手紙を書くことにした。
「カメのひみつをおしえてもらってすごくうれしかった」「熊沢さんの思いをせおって、海がめを大事に育てていきたい」
ウミガメについてどんな質問でも答えてくれたこと。環境を守る大切さを熱く語っていたこと…。1枚では書き足らず、2枚、3枚と思いをつづった子もいる。
手紙とアルバムは、中野由紀校長が妻の裕子さん(72)に届けた。「最期まで、カメを通じた子どもたちとの触れ合いを『楽しかった』と言っていた。心のこもった言葉と写真をきっと喜んでいます」。涙をぬぐいながら、手紙とアルバムを握りしめた。
同小は今後も同会のメンバー、高知大生や大学院生らの力も借りながら、ウミガメの学習を続けていきたいとしている。(上野芙由子)
サンタに子どもら大喜び 土佐清水市青年団
(高知新聞 2020 年 12 月 26 日朝刊より)
新型コロナウイルス禍の中、子どもたちに少しでも楽しんでもらおうと24日夜、土佐清水市青年団(益永英彦団長)のメンバーらがサンタクロースに扮(ふん)して市内の子ども宅をサプライズで訪問し、保護者から託されたプレゼントを渡した。
1996年から続けており、今年はOBも含め8人が参加。赤い衣装に白いひげを着け、鈴をシャンシャン鳴らしながら、申し込みのあった3軒を回った。
サンタから「メリークリスマス!」とプレゼントを手渡された同市中浜の北添匠幹(なるみ)ちゃん(3)は、跳びはねて大喜び。サンタに気付いてもらえるよう前日から玄関にクリスマスツリーを飾っていたそうで「びっくりした。(プレゼントが)おっきい!」と満面の笑みを浮かべていた。
団員らは「新型コロナの影響で軒数は少ないけど、子どもの喜ぶ顔が見られて良かった。これからも活動を引き継いで続けたい」と話していた。(山崎彩加)
津野町でサンタが子どもに贈り物
(高知新聞 2020 年 12 月 26 日朝刊より)
高知県高岡郡津野町では、津野町教育委員会や地域おこし協力隊などの若者有志11人が、町内の希望のあった幼児や児童宅11軒を出張サンタとして訪問し、プレゼントを手渡した。
サンタ姿の若者らは4組に分かれ、事前に保護者から預かったお菓子や人形などのプレゼントを袋に入れて訪問。子どもたちは突然の出来事に緊張したり戸惑ったり。それでも「また来年会おうね」などと声を掛けられると「ありがとう」と元気に応えていた。
人気漫画「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」のグッズを受け取った中央小2年の三本麻央さん(8)=芳生野甲=は「びっくりしたけどサンタさんに会えてよかった」と笑顔を見せていた。(富尾和方)