子どもに関わる前に…夫婦ですれ違いはありませんか?|子育ての悩みに寄り添う土居寿美子さんコラム「こころのとびら」⑮
高知市の子育て支援センター「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します
子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。
コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営する特定非営利活動法人の理事長・土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。
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「子どもを思う親の気持ち」は夫婦それぞれにありますが…
このコラムの 13 回目は「うちの子はわがまま!どうしたらいい?」、14 回目は「しつけを焦っていませんか?」というタイトルで、子どもの「しつけ」について、そして、しつけを考える上でとても大事な「子どもの気質」についてお話しました。
実は、子どもに関わる上でもっと重要なことがあると、保護者から寄せられる相談から感じています。それは、「夫婦の考え方の違い」もしくは「同居している家族や子育てに関わってくれている人との考え方の違い」です。考え方の違いによって、お母さん、もしくはお父さんの気持ちの負担につながっているのかも…と思うことがしばしばあります。
お母さんたちから聞くのは、例えばこんなエピソードです。
★私が子どもを注意していたら、そばにいた夫も私に合わせて同じ言葉で注意をする
母の思い「私が怒ってる時に一緒に怒るんじゃなくて、子どものフォローをしてほしい」
★夫と子どもが遊んでいる。子どもが泣きだしたら、夫は「お母さんじゃないといかん」と言い、必ず私の所に連れてくる
母の思い「泣いている子どもの面倒を見るのはいつも私」「夫にはせめて、感謝の気持ちを言ってほしい」
★夫が休みの時、子どもが「パパ遊ぼう」とパパの所に甘えに行く。すると、夫は「休みの時ぐらいちょっと休ませて」と拒否する
母の思い「休みの時ぐらい?私は 24 時間 365 日、休みなんてありませんけど!」
こういった話題になると、エピソードは尽きません。
よくよく話を聞いていると、お父さんにも、お母さんにも「子どもを思う親の気持ち」があり、共通の思いもたっぷりあります。そして、お互いを思いやる気持ちもあると感じます。
でも、お互いの「良かれ」がちょっとしたことですれ違い、双方の思いがズレてしまい、とてももったいないことになってます。すれ違いを少しでも少なくするために、お互いのことを少し掘り下げて考えるというやり方を取り入れられてはいかがでしょうか?
子どもについて、お母さんが気になっているところと、お父さんが気になっているところは必ずしも一致していない場合が多いようです。
例えば、おもちゃの片付け方。お母さんは「楽しく遊んで最後にまとめて片付けたらいい」と思っている一方で、お父さんは「使い終わったおもちゃはその都度片付けるべき」と思っています。お父さんとお母さんの思いが逆の場合もあります。お互いの気質や育ってきた環境の違いから、イライラするポイントも違ってくるということに気付いておらず、夫婦のいざこざに発展している方もいらっしゃいます。
家事についても、お母さんがお父さんにしてほしいことと、お父さんがしていることが一致していないケースが多いですね。
いるかひろばでは 2020 年度から、子育て講座で「ペアレント・プログラム(ペアプロ)」を開催しています。自分と子どもの「いいところ」「努力しているところ」「困ったところ」を書き出し、対応を考えていきます。これを夫婦間に取り入れてみると、お互いの得意なこと、努力していること、困っていることを再認識でき、関わり方を少し見直すことでお互いが生活をしやすくなるかもしれません。
9 月の講座では、夫婦でのペアプロを企画しています。来年度以降もペアプロを年に 3 回行い、そのうち 1 回を夫婦バージョンにする予定です。
また、いるかひろばでは毎月 2 回、土曜日に開所しています。夫婦でお子さんを連れてこられる方もいますよ。よかったらご利用くださいね。