比島交通公園・山ちゃんです!⑤|キャスト時代に経験したディズニーの“魔法”とは?
高知県立交通安全こどもセンター園長・山崎勇人さんが交通公園の楽しみ方、子どもたちとのエピソードを紹介します
高知県立交通安全こどもセンター(高知市比島町 4丁目)は「比島交通公園」の愛称で親しまれています。
園長を務めるのが「山ちゃん」こと山崎勇人さん。地域の主任児童委員も務め、交通公園を子ども、親子の居場所にしていこうと活動しています。
コラム「比島交通公園・山ちゃんです!」では、山崎さんが交通公園の楽しみ方や、子どもたちとのエピソードを紹介します。
東京ディズニーシーでキャストを 5 年間務めた山崎さん。さまざまな場面で体験したディズニーの“魔法”とは?
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目次
前回のコラムでは、僕が今、人との関わりで大事にしていることについて、「あいさつ」「笑顔」「アイコンタクト」「相手の立場に立つ」の四つを紹介しました。
今回もディズニーでの経験を振り返りながら、大事にしていることを紹介します。
パーク内を走っているゲストがいたら、キャストはどうする?
僕が高校卒業後に 5 年間働いたディズニーシーでは、スタッフを「キャスト」、お客さんを「ゲスト」と呼んでいました。
パーク内では安全を最優先に行動します。パークを訪れるゲストのハピネスを生み出すために安全が第一という考えからです。全てのキャストには「SCSE」という行動基準があり、並んだアルファベットが優先すべき順を表しています。
- S:Safety=安全
- C:Courtesy=礼儀正しさ
- S:Show=ショー
- E:Efficiency=効率
このSCSEは世界のディズニーに共通です。では、例えばパーク内を走っているゲストがいたら、キャストはどう声を掛けるでしょうか。
これは一般的で、一見正しそうですが、ゲストの気持ちをワクワクした気持ちまで否定しているように受け止められてしまいます。パークは施設も安全に造り込んでいますから、「危ない」という表現も好ましくありません。
こちらが、ディズニーでの声掛けです。走らずに行ってもらうように促します。
ディズニーリゾートを訪れるゲストは、この日を何カ月も前から計画し、とても楽しみに来園しています。だからこそ、少しでも有意義に滞在したいし、一つでも多くのアトラクションやショーを体験したい!そんなワクワクを、迎えるキャストも大切にしています。
しかし、転んでけがをしたり、ほかのゲストにぶつかったりすると、楽しい思い出が一瞬にして崩れてしまうことがあります。ゲストのハピネスを守るためには、相手の気持ちも考えた声掛けが大事なのです。
「観察」よりも「想像力」。相手がよく見えてきました
声を掛ける前に、相手の気持ちを考えてみる。つまり「想像力」を働かせてみると、単なる「観察」以上に相手がよく見えてくるというのも、キャストで得た経験でした。
ディズニーリゾートの敷地は広大です。たくさんのゲストの中には、「何か困っているのかな?」という感じの方もいらっしゃいました。
常にアンテナを張りながらゲストの様子をよく見ていると、なぜ困っているのかがだんだんと分かってきます。ガイドマップをのぞき込んでいるのであれば、お目当てのアトラクションやショーの場所を探しているのかもしれません。
そんな時は「こんにちは。何かお探しですか?」と笑顔で声を掛けました。その際、ゲストが探しているお目当ての場所までの行き方をご案内するのはもちろんですが、さらに自分が調べたおすすめや近道などの情報をプラスしてお伝えしました。
「ありがとう!行ってきます!」と言ってくださるゲストの笑顔が大好きで、その瞬間、僕まで笑顔に!まさに“魔法の瞬間”をたくさん経験してきました。
最悪な出来事をハピネスにする“魔法”とは?
ゲストの残念な気持ちを修復する「サービス・リカバリー」も、僕は好きでした。
例えば、買ったばかりのポップコーンを落とし、中身がこぼれてしまったゲストを見かけたら…?
こんにちは。大丈夫ですか?ポップコーンはこちらで片付けます。
もしよろしければ、こぼれた分を元に戻します。買われた場所はどちらですか?
ゲストが望めば、購入したお店にご案内します。持ち場を離れられない場合は、「魔法のカード」に必要な項目を記入して、ゲストに渡します。購入したお店のキャストにカードを渡すと、こぼれた分を足してもらえるのです。
最悪な出来事を一瞬でハピネスな出来事に変える、まさに“魔法”でした。相手をよく見ることで、相手の気持ちを理解し、寄り添うことができる。相手と心を通わしていくためには思いやりが大切なのだと学びました。
“魔法”はディズニーだけじゃない!交通公園でも実践しています
ディズニーで身に付けた“魔法”は、高知に帰ってきて、交通公園で働き始めてからも役に立っています。
例えば、ゴーカートの発券機前にやって来たお客さん。「どれを買えばいいのか分からない」「職員に聞きたいけれど、声を掛けられない」という方もいらっしゃいます。
困りごとを想定した上で声を掛けると、他の職員から「園長はよく気が付きますねー」と言われます。これは、ディズニーで経験した 5 年間を、ずっと体が覚えているからでしょうね。
このように、声を掛ける前に相手の気持ちを考えてみるのはいかがでしょうか。子育てでしたら、目の前の子どもはうれしい気持ち?悲しい気持ち?少し想像するだけで、言葉や接し方は変わります。
毎回はできなくても、少し心掛けてみることで、子どもの自尊心や自己肯定感を育むことにつながると思います。ディズニー、そして交通公園で僕が実践している“魔法”を、ご家庭でもぜひ試してみてください!
8月28日(日)は「夏のこわーいおはなし会」
比島交通公園で予定されているイベントをご紹介します。
【 8 月 28 日・夏のこわーいおはなし会】
暑い夏、涼しいお部屋でおはなし会はいかがですか?土佐の民話劇や絵本、手遊び、紙芝居など幼児から楽しめます。手作りのおみやげもあります。
- 日時:2022 年 8 月 28 日(日)14:30~15:00
- 対象:幼児から楽しめます
- 参加費:無料
- 定員:20 人程度。先着順
- 申し込み:当日受け付けます
- 住所:高知県高知市比島町 4 丁目 8
- 電話番号:088-822-0777
- 利用時間:8:30~18:00。年末年始は休園。園内の消毒などで臨時休園があります
- 駐車場:無料。交通公園の専用駐車場は島津病院の南側に 30 台程度。島津病院の駐車場(交通公園の正門前)は日曜日のみ利用できます