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「子どもの気を上手にそらす」とは?毎日1~2時間の散歩で学んだこと|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㉗

「子どもの気を上手にそらす」とは?毎日1~2時間の散歩で学んだこと|高知市子育て支援センターいるかひろば・土居寿美子さんコラム「こころのとびら」㉗

子育ての悩みに寄り添ってきた「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します

子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。

コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営する特定非営利活動法人の理事長・土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。

長男が 2 歳、次男が 8 カ月だった頃の土居さんの日課は散歩。子どもたちと 1~2 時間、外に出ました。「子どもの気を上手にそらす」といういるかひろばでの関わりは、長男との散歩で生まれました。

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長男2歳、次男8カ月。1~2時間散歩するのが日課でした

長男が 2 歳 8 カ月、次男が 8 カ月の頃、夫の転勤で高知県内の海辺の町に引っ越しました。引っ越しもバタバタしましたが、何とか無事に終え、新たな生活が始まりました。

その頃の日課は散歩でした。家事を一通り済ませたら、次男をベビーカーに乗せ、長男と 2 人で押しながら、1 時間から 2 時間ほどかけて神社や海岸の辺りを歩きました。

長男はいろんなものに興味があります。散歩する道には好きなものがそこかしこに落ちていました。石や木があると、触りたくなり、ベビーカーから離れて遊びだします。でも、落ちているものは自然のものばかりではありません。お菓子の空き袋やペットボトル、そして空き缶も大好きでした。

毎日の散歩が日課でした
毎日の散歩が日課でした

見つけると素早く拾い、口に入れようとするので、私は気が気ではありません。最初は「ダメ」と禁止したのですが、禁止すると余計にやけを言うので困りました。イライラもしました。

悩んだ末に、やり方を変えました。長男が大好きな小さなおもちゃを持って行き、触ってほしくないものを見つけた時は、さりげなくおもちゃと交換して気をそらしました。

おもちゃで気がそれなくなると、抱っこしたり、「見て見て!あそこにお船がおる」「あの車、かっこいいね」と、目に見える別の物で気をそらせるようにしていました。道にアンパンマンのキャラクターを描いたこともありました。

長男との関わりでの試行錯誤は、いるかひろばでの関わりにつながっています

今にして思えば、当時行っていた散歩も、目的は散歩ではなく、「関わり」だったように思います。子どもたちと家の中にいてもすることが限られますが、外に出たら行動が広がります。やけを言ってわーっとなる前に散歩に行くことで、子も親も切り替えができました。

長男との関わりには苦労しましたが、その試行錯誤は今、いるかひろばでの子どもたちとの関わりにつながっています。例えば「まだ帰りたくない」というお子さんの場合。

私:「○○くん、今日の靴は何色かな?」

子ども:靴箱に行って「あお!」

私:「青かぁ。うわぁ、かっこいいねぇ」「右足から履こうかねぇ」

子ども:何事もなかったようにすんなり履く

帰りたがらない子に「帰りましょう」とは言わずに、「今日はどんな靴で来てるのかな?見せてくれるかな?」と尋ねます。「靴を履かせたい」ではなく、「先生に靴を見せてほしいな」という気持ちで接します。そうすることで、子どもは部屋を出て、私に靴を見せてくれます。そうなったら、あとは子どもさんが喜ぶ言葉掛けをするだけで、十分に切り替えができると思います。

この方法でうまくいかない時は、園庭に線を引いて「よーいどんしようか」と提案したり、「車まで先生と行こうか」と誘ってみたり。あの手この手を試しています。

いるかひろばでの関わりも、あの手この手です
いるかひろばでの関わりも、あの手この手です

子育ては疲れ、ストレスのピークに…突然、耳が聞こえにくくなりました

長男が 3 歳になり、保育園に入園させることにしました。入園前に夫の実家に帰省をしました。

夫の実家で過ごしていたある日、朝起きると、私の耳に“異変”が起きていました。片方がふさがり、何だか聞こえにくい状態です。親戚に勧められて受診すると、医師に「すぐに治療を始めないと、片方の耳が聞こえなくなります。すぐに入院してください」と言われました。

即入院と言われても、子どもたちはどうしたらいいのか…。医師と話し合い、1 週間毎日通って点滴をすることで何とか折り合いを付け、症状は改善しました。

その後、「メニエール病」と診断されました。当時は腱鞘(けんしょう)炎にもなっていましたし、疲れやストレスのピークだったのかなと思います。通院の間は夫や祖母が子どもたちを見てくれました。子育てで困った時、へルプがあることがどれだけありたいかを経験しました。

無事にわが家に戻り、また 4 人での生活が始まりました。そして 4 月、長男の保育園生活がスタートしました。

初日は、もちろん大泣きでした。連れて行った私も、心の中は大泣きでした。

 

 

土居さんに相談したい場合は、「いるかひろば」に問い合わせをしてください。

高知市地域子育て支援センター「いるかひろば」

  • 住所:高知県高知市六泉寺町22 港孕保育園内
  • 電話:088-834-1484
  • 利用時間:月~金曜日 9:30~15:30、土曜日(月 2~3 回)9:30 ~ 12:00
  • 駐車場:無料。4 台(身体障害者用が 1 台)。置けない場合は提携先を案内します

オンラインいるかひろばのスケジュール

  • お試しオンライン(相談も):月~金曜日 9:30~10:00
  • オンラインいるかひろば:月~金曜日。午前は 11:15~11:45 、午後は 15:00~15:30 。通所いるかひろばとつないで「集まりの時間」を行います

 

土居さんへのインタビューはこちら

この記事の著者

門田朋三

土居寿美子

高岡郡梼原町出身。保育士として 2005 年から高知市の港孕保育園に勤務。07 年から港孕保育園内にある地域子育て支援センター「いるかひろば」の常勤スタッフとして、親子に寄り添った支援に取り組んできました。19 年 11 月に特定非営利活動法人いるかひろばを立ち上げ、理事長に。20 年から、いるかひろばをNPOとして運営しています。趣味はバレーボール。洋服やケーキなど何かを作ることも好きです。好きな言葉は「一所懸命」。

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