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発達障害のある子どもの「親の会」とは?どんな活動をしているの?|「発達障害を知ろう⑨」高知県自閉症協会で聞いてみた

発達障害のある子どもの「親の会」とは?どんな活動をしているの?|「発達障害を知ろう⑨」高知県自閉症協会で聞いてみた

子どもの年齢は5~61歳。幅広い世代で支え合う高知県自閉症協会の活動を紹介します

就園、就学、進学、就職…。子育てでは子どもの成長に伴い、新たなステージへと踏み出します。困ったり、迷ったりした時は「正確な情報が欲しい」「経験談を聞きたい」と思います。

発達障害のある子どもを育てるお父さん、お母さんたちはどのように情報収集をしたり、保護者同士のつながりをつくったりしているのでしょうか。

高知県内で代表的な親の会は、自閉スペクトラム症(ASD)の当事者の保護者らでつくる「高知県自閉症協会」です。1972 年に活動を始め、当事者の年齢は 5~61 歳。幅広い世代のお父さん、お母さんたちが交流し、支え合っています。

自閉スペクトラム症の当事者が自分らしく生きることを目指し、活動しています

ココハレ編集部が訪ねたのは、2024 年 9 月 18 日に高知県立ふくし交流プラザ(高知市朝倉戊)で開かれた研修会。「災害後の暮らしの心構え」をテーマに、高知県災害派遣福祉チーム「DWAT(ディーワット)」について学びました。

南海トラフ地震をはじめとする災害時、発達障害のある人には特に配慮が必要です。災害が起きたと理解ができるのか、無事に避難ができるのか、避難所で過ごせるのか…。保護者の心配は尽きず、「迷惑をかけるので、避難所は諦めている」という人も少なくありません。

「障害について地域で知ってもらうことで、支援体制はできていく」「皆さんはSOSを出していい。支援を受ける『受援力』をそれぞれの地域で、日頃から高めておいてほしい」との講師の呼びかけに、会長の平野三代子さんは「私たちから支援を訴えてもいいんだと力になった」と話していました。

「災害後の暮らしの心構え」をテーマに、福祉の支援体制など最新の情報を学びました
「災害後の暮らしの心構え」をテーマに、福祉の支援体制など最新の情報を学びました

高知県自閉症協会ではこうした研修会を定期的に開催しています。

自閉スペクトラム症(ASD)の当事者が自分らしく暮らし、社会の一員として自立した生活ができる社会が広がることを目指し、学びを深めています。

【主な活動】研修会・勉強会、親子レク、啓発活動を続けています

高知県自閉症協会は 1972 年、「高知県自閉症児親の会」として発足し、2022 年に 50 周年を迎えました。会員は 2024 年 10 月現在、 177 人います。ASD当事者の年齢は 5~61 歳です。

最近の主な活動がこちら。

  • 広報活動…会報の発行、日本自閉症協会の機関誌の送付など
  • 講演会、研修会、保護者勉強会…ASDや発達障害について、法律や制度、防災など幅広く学んでいます
  • レクリエーション活動…親子で楽しめるイベントを企画しています
  • 啓発活動…毎年 4 月 2 日の「世界自閉症啓発デー」、4 月 2~8 日の「発達障害啓発週間」に合わせて、街頭での啓発活動やライトアップ、映画上映会などを企画しています
「世界自閉症啓発デー」では青色の物を身に着けて発達障害のある人を応援する「ライト・イット・アップ・ブルー」にも取り組んでいます(提供写真)
「世界自閉症啓発デー」では青色の物を身に着けて発達障害のある人を応援する「ライト・イット・アップ・ブルー」にも取り組んでいます(提供写真)
啓発活動にも力を入れています(提供写真)
啓発活動にも力を入れています(提供写真)

加盟している日本自閉症協会のほか、高知県立療育福祉センターなど県内の関係機関との連携にも取り組んでいます。

高知県から選任された「ペアレントメンター」として、発達障害のある子どもを育てる保護者や家族の相談に乗ったり、幼稚園や保育園、学校などを訪問して交流したりと活動する会員もいます。

高知県の「ペアレントメンター」として活動する会員もいます
高知県の「ペアレントメンター」として活動する会員もいます

【入会のきっかけ】地域の小学校?特別支援学校?就学時に悩み、経験談を聞きました

「親の会」として発足した 1972 年以降しばらくは、ASDの子どもを育てる保護者にとって「情報のない時代」「預け先や支援のない時代」が続きました。平野さんも「同じ高知県で子育てをする親同士で支え合ってきました」と振り返ります。

支援制度ができ、情報もインターネットやSNSで得られるようになった今の保護者が入会したきっかけを聞きました。

小学校に入学する時に、地域の小学校に行くのか、特別支援学校に行くのかを悩みました。自閉症児を育てているお母さんが周囲にいなかったので、勇気を出して行ってみました(小学 6 年生のお母さん)

 

就学に向けて悩んでいた時に、経験した方のお話を聞きたいと思い、入会しました。相談支援員さんや児童発達支援事業所の職員さんなど相談先はありますが、子どもの就学を経験した先輩保護者と知り合う機会は少ないのでよかったです( 5 歳年中児のお母さん)

 

子どもの就学は子育ての大きな節目。保護者としての経験談はもちろん、県内の情報も得られる場になっているようです。

【保護者座談会】子どもの年代ごとに開催。「未就園児、小学生」「中高生」「成人」に分かれています

最近の保護者のニーズも踏まえ、現在大事にしているのがグループ活動です。子どもの年代ごとに「保護者座談会」を開いて交流しています。

  • めばえ…就学前から小学校卒業までの子どもを育てる保護者グループ
  • わかば…中学校から高校卒業までの子どもを育てる保護者グループ
  • あおば…子どもが成人した保護者グループ

小学校卒業までのグループ「めばえ」は少人数で、和気あいあいとした雰囲気だそう。「うちの子にこんなこだわりが…」「学校の先生の理解が…」「不登校で困っている」とざっくばらんに話せるそうです。

座談会には役員さんたちも「先輩」として参加しています。笑顔の絶えない皆さんです
座談会には役員さんたちも「先輩」として参加しています。笑顔の絶えない皆さんです

わが子の発達障害について「ママ友や近所の人には話しにくい」「話が広がるのが心配」と、話すのをためらう人もいます。平野さんは「同じ境遇の親同士が会って話せる場は、子どもが成人した今でも大事」と話していました。

「めばえ」の座談会に参加しているお母さんたちも「大切な場所」と感じています。

障害のある子を育てていると、いろいろな困難に遭遇することが多い。そんな時に道しるべをもらったり、解決はしなくても共感して聞いてもらえたりすることが本当に心の支えになっています(小学 6 年生のお母さん)

 

同じような悩みを持ち、経験してきた方に安心して話せる自分の居場所ができたように感じています( 5 歳年中児のお母さん)

 

次回の座談会は 2024 年 11 月 14 日(木)10:00 から、高知県立ふくし交流プラザで開かれます。「めばえ」と「わかば」の合同座談会です。

申し込みは不要で、会員以外の人も見学OKです。詳しくは高知県自閉症協会のウェブサイトで確認してください。

「親のつらさ、しんどさ」を分かち合える場に

発達障害が広く知られるようになり、支援も充実してきましたが、平野さんたち会員の皆さんは「親のつらさやしんどさを分かち合える場は、時代が変わっても必要」と考えています。

「先輩パパ、ママの話を聞いてみたい」「中学や高校、成人後の話を聞きたい」という方はぜひ、高知県自閉症協会にアプローチしてみてください。

 

高知県自閉症協会

  • 住所:高知県高知市春野町芳原 737-1、NPO法人高知県自閉症協会内
  • 電話:088-803-4441
  • メール:autism-kochi@ceres.ocn.ne.jp
  • ウェブサイト:https://wwb.jp/j-kochi/ ※リニューアルが予定されています
  • 正会員:自閉症児・者の家族や当事者、会の趣旨に賛同する人。入会金 3000 円、年会費 5000 円
  • 賛助会員:会の趣旨に賛同する人。年会費 3000 円

この記事の著者

門田朋三

門田朋三

小 3 と年長児の娘がいます。「仲良し」と「けんか」の繰り返しで毎日にぎやかです。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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