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「家庭で性教育を始めませんか?」小学高学年編|月経、射精、体の変化…思春期の始まりにどう対応しますか?

「家庭で性教育を始めませんか?」小学高学年編|月経、射精、体の変化…思春期の始まりにどう対応しますか?

乳幼児期から始まる性教育。思春期にさしかかった子どもにはどう関わればいい?高知県看護協会で聞きました

性教育は今、性の知識を伝えるだけではなく、自分を大事にし、相手も大事にする「命の教育」として進められています。子どもを性犯罪の被害者や加害者にさせないためにも必要だと言われています。

シリーズ「家庭で性教育を始めませんか?」では家庭でできる性教育について、高知県看護協会の皆さんにインタビューします。

この記事は「小学高学年編」。個人差はありますが、小学 4 年生ごろから思春期が始まり、体も心も大人に近づいていきます。月経、精通という命を育むための変化も起こります。親が知っておきたい知識や、子どもへの関わり方を紹介します。

 

シリーズ「家庭で性教育を始めませんか?」では、高知県看護協会の助産師、保健師、看護師の皆さんにインタビューします。看護協会では高知県教育委員会と連携し、高知県の実情に合わせた新しい性教育を進めています。

幼児期~小学低学年編」では乳幼児期から家庭でできる性教育について紹介しました。

今回の「小学高学年編」では次の皆さんにお話を聞きました。

  • 広末ゆかさん…保健師。中芸広域連合地域包括支援センターの前センター長
  • 関正節さん…助産師。高知医療センター看護部長
  • 筒井久美さん…助産師。渭南病院(土佐清水市)
  • 山本明子さん…看護師。こうち看護協会訪問看護ステーション所長
  • 岩崎美幸さん…看護師。高知医療センター
  • 宗崎由香さん…保健師。高知県健康対策課チーフ(感染症担当)
  • 岡崎優子さん…保健師。高知市母子保健課
(前列左から)広末ゆかさん、関正節さん、筒井久美さん、(後列左から)山本明子さん、岩崎美幸さん、宗崎由香さん、岡崎優子さん
(前列左から)広末ゆかさん、関正節さん、筒井久美さん、(後列左から)山本明子さん、岩崎美幸さん、宗崎由香さん、岡崎優子さん

思春期が始まると、体つきが変化していきます

「思春期」というと、皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょうか?体つきが変わる、気持ちがもやもやする、親に反抗する…。体や心の変化は脳が性ホルモンを分泌するように命令を出すことから始まります。

個人差はありますが、男の子も女の子もだいたい 10 歳くらいから、早い子は 8 ~ 9 歳くらいから体が変わり始めます。男の子の場合は脳から精巣へ命令が行き、男性ホルモンが出されます。女の子は脳から卵巣へ命令が行き、女性ホルモンが出されます。ホルモンは血液に混ざって全身に運ばれ、性器以外の体の部分に男女の特徴が現れます。これを「第 2 次性徴」と呼びます。

主な体の変化は次の通りです。

【男の子の体の変化】

  • 声変わりが始まる
  • 喉仏が出てくる
  • 脇毛、性毛が生える
  • ひげが生える
  • 肩幅が広くなる
  • 筋肉がついて、がっしりする

 

【女の子の変化】

  • 胸が膨らむ
  • 脇毛、性毛が生える
  • 腰幅が広くなる
  • 脂肪がついてふっくらする

 

体つきの変化に加えて、男の子は射精、女の子は月経(生理)が始まります。

 

思春期の体の変化は 10 歳ごろから、早い子は 8 ~ 9 歳ごろから始まります

心も変化し、他の人の気持ちを考え始めます

体つきの変化に加えて、この時期は心も変化します。「自分中心」で「自分もお友達もみんな一緒」という思考が 9 ~10 歳くらいを境に変わり、他の人との違いや他の人の気持ちを考えるようになります。また、抽象的思考の力もつき、「手を洗うことの大切さ」など、これまで習慣でやってきたことの本来の意味をきちんと理解し始めます。

心の変化は親からは見えづらいですが、周りの人が気になったり、親のことが嫌になったり、友達と比べて劣等感を抱いたりということが起こります。

思春期は「体も心も急激に変化する中で、自分の存在を再確認する時期」。変化への戸惑い、イライラ、反抗を、周囲の大人が「あなたはそのままでいいんだよ」と受け止めることが大切です。

 

思春期は心も変化します。他の人の気持ちを考えながら、自分の存在を再確認します

 

学校では「体の変化」「月経、射精」を学びます

現在、子育てをしているお父さん、お母さんは「子どものころに性教育をきちんと受けたことがない世代」と言われています。例えば、月経について「男子は外で遊んで、女子だけで教えられた」という経験のあるお母さんもいるのではないでしょうか。

現在では小学校、中学校、高校で子どもの発達段階に合わせた性教育が行われています。高知県教委が 2021 年 2 月に改訂した「性に関する指導の手引き」では小学 4 年生の保健の時間に、思春期の体と心の変化を学ぶことになっています。男女の性器の仕組みや、月経の仕組み、射精の仕組みを習います。親も月経や射精について知っておきましょう。

 

 

月経:女性は月に 1 回、卵巣から卵子を出します。排卵後に卵子が受精しなかった場合に、子宮内膜がはがれて血液などとともに体の外に出されることを「月経」と言います

 

女性は生まれた時から、卵巣の中に卵子のもとになる細胞を備えています。思春期を迎えると、ホルモンの働きによって卵子が発育します。卵子は月に 1 回、卵巣から飛び出します(排卵)。卵子が卵管に吸収された時に精子がいると受精し、受精卵になります。

受精しなかった場合は、栄養分がたっぷりになっていた子宮の内側の膜(子宮内膜)が必要なくなります。子宮内膜はやがてはがれ、血液などとともに膣を通って体の外に出されます。これが「月経」です。

初めての月経を「初経」と言い、個人差はありますが、小学 5 年生ごろから中学生にかけて起こります。女性に命のもと、つまり赤ちゃんをつくる機能が備わったということになります。

 

射精:精巣でつくられた精子が尿道を通って体の外に出ることを「射精」と言います

 

初めての射精を「精通」と言い、小学 5 年ごろから中学生にかけて起こります。射精とは、精巣でつくられた精子が尿道を通り、白く、とろっとした液体として体の外に出されること。陰茎(おちんちん)に直接刺激を与えることで起こります。「夢精」といって寝ている間に出ることもあります。

お父さんの中には思春期に入り、「朝起きると、パンツがぬれていてびっくりした」という経験がある人もいると思います。男の子のお母さんの場合、精通を知らず、「大きくなったのにおねしょ?」と驚く、病気かと心配して受診するということもあるそうです。男の子の体の変化の一つとして知っておくと、安心ですね。

女性の初経と同じで、精通が起こると、男性として命のもと、つまり赤ちゃんをつくる機能が備わったということになります。

体の変化に戸惑う気持ちを、肯定も否定もせず受け止めましょう

子どもは自分の体に起こる変化を授業で習いますが、「ちょうど月経が始まった、精通があったというタイミングでないと、なかなか『生きた知識』として理解はできない」とのこと。思春期の体験と授業で習った知識とが結び付く土台づくりになるのが、家庭での性教育です。

幼い頃から心掛けていくといいことの一つが、「大人になることはすてきなことなんだよ」と伝えることです。子どもとお風呂に入った時に、「お母さんにはどうしておっぱいがあるの?」「お父さんにはどうしておちんちんがあるの?」と聞かれたことはありませんか?「大人の体について聞かれた時に前向きに答えることが、『すてきなことなんだよ』と伝えることにつながります」

子どもによっては、「胸が大きくなる」「声変わりをする」といった変化を「嫌だな」と感じます。自分の性に違和感を抱く子どももいますが、「『嫌だ』と感じてもOKです」。子どもの気持ちを肯定も否定もせずに受け止めることが「ありのままの自分でいい」という自己肯定感を育むことにつながります。

体の変化についても「『体の調子が悪いな』『何か変だな、気になるな』と思ったら、お父さんやお母さんに聞いてね」と幼い頃から伝えておくといいでしょう。

 

お父さん、お母さんの体を通して、「大人になることはすてきなことなんだよ」と伝えてあげてください

「自分のことは自分で」をさりげなく習慣に

月経や射精が始まるタイミングで親から子へ伝えたいのがエチケットです。女の子はナプキンの使い方や捨て方、汚れた下着の洗い方などを習います。この時に伝えたいのが「人の目に触れないようにしようね」ということ。「使ったナプキンを他の人が見たら嫌な気持ちになるから、人の目に触れないようにトイレットペーパーに包んで捨てるんだよ」と説明しましょう。

「人の目に触れないように」という説明は男の子にも必要です。汚れたパンツを見つけたら、「人の目に触れないように、パンツは自分で洗おうね」と伝えてください。汚れたパンツを『汚い!』と扱うと、性や性行為に対してネガティブな感情を抱くことがあるので注意しましょう。「自分の下着や靴下は自分で手洗いしてから洗濯機に入れる」ということを精通が起こる前から習慣付けておくと、自然な流れで処理できるようになるのでおすすめです。

 

性を「汚いもの」と扱わないでください。「自分のことは自分でする」という習慣も付けていきましょう

性に関する質問を叱ったり、ごまかしたりしないでください

思春期に入ると、性に興味を持つ子も出てきます。興味がなくても、周りの友達から情報が入ることがあります。「小学 4 、5 年生くらいになると、ネット検索ができるようになります。『子どもがアダルトサイトを検索していた』という保護者からの相談もあります。親が気をつけて遮断しても、情報は入ってくると思ってください」

「セックスって何?」「どうやったら赤ちゃんができるの?」など、子どもから性に関する質問を受けた時に、慌ててごまかしたり、「そんなことを聞くもんじゃない」と叱ったり、うそをついたりすると、子どもは「親に聞いてはいけないことなんだ」と感じます。性を否定的に捉えてしまうこともあります。「幼児期~小学低学年編」でも紹介したように、質問をされたら、「どうしてそんなことを聞くの?」と意図をまず尋ねてみましょう。答え方が分からない場合は、ひとまず「ちゃんと調べてから答えるね」と伝えます。

上手に答えられない時や、異性の親がいなくて説明に困った時の相談先の一つに、高知県思春期相談センター「PRINK」があります。保護者からの質問にも応じていますので、活用してみてください。

 

性の情報は、たとえ興味がなくても周りから入ってくると思っておきましょう

異性の子どもとのお風呂はいつまで?

小学高学年になると気になるのが「異性の子どもといつまでお風呂に入るか」という問題。お父さんと娘、お母さんと息子がいつまで一緒に入るか…悩みますね。「いつまで」という決まりはないですが、やめるタイミングには二つあります。

  • 子ども本人が嫌がる、拒否する
  • 親が子どもと一緒に入ることに違和感を覚える

こうしたタイミングで自然にやめてもいいですし、「子どもといつまでお風呂に入るのか」を夫婦で話し合っておくのもいいでしょう。体の変化が起こる前にやめるという選択もあります。子どもとのお風呂の時間は楽しいひとときだからこそ、楽しい思い出のままで上手に“卒業”したいですね。

 

「子どもといつまでお風呂に入るのか」について、夫婦で話し合ってみてください

性教育は「生教育」。お子さんの味方でいてあげてください!

思春期が始まる「小学高学年編」はいかがでしたか?体も心も急激に変化するこの時期の関わりのポイントは「逃げない、干渉し過ぎない」です。

気持ちをぶつけてくる子どもを避けたり、放置したりすると、子どもは「親が自分から逃げた」と受け止めます。また、しゃべらなくなったからと言って、しつこく話しかけるのもよくありません。

毎日の生活の中で、親が子どもと当たり前のように一緒の時間を過ごすことが「イライラをぶつけても、お父さん、お母さんは受け止めてくれる」という安心感、信頼感につながります。

「頑張って育ててきた子どもが思春期に入ると、かわいくないことも言いだします。腹が立ったり、寂しいなと感じたりすると思いますが、『私は最後まであなたの味方よ。何かあったら助けるよ』ということを繰り返し伝えてください。決して野放しにはせず、必要な時は引っ張ってあげてください」

看護協会では性教育を生きる力を育む「生教育」と捉えています。「性教育は家庭だけで頑張るものではなく、学校や地域と連携して取り組むものです。思春期は対応するお父さん、お母さんもしんどくなるので、自分がほっとできる時間をつくったり、困った時は周りの人に相談したりしてくださいね」

 

 

次回は「中学生編」をお届けします。

この記事の著者

門田朋三

門田朋三

6歳と2歳の娘がいます。「仲良し」と「けんか」の繰り返しで毎日にぎやかです。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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