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子育ては思い通りには進まない!「よい加減」を大切に|小児科医・吉川清志さんが講演

子育ては思い通りには進まない!「よい加減」を大切に|小児科医・吉川清志さんが講演

毎日の子育て。うまくいく日もあれば、思い通りに進まない日もありますね。

ココハレの「教えて!吉川先生」でおなじみの小児科医・吉川清志さんが 高知市内で、子育てをテーマに講演しました。「よりよい子育て」や「完璧な子育て」を追求するのではなく、無理をせずに子どもと楽しく過ごす「よい加減」の大切さを語りました。

講演は「子育て支援・児童虐待予防研修会」として 2021 年 8 月 28 日にオンラインで開かれました。認定NPO法人「カンガルーの会」の主催で、保育士や子育て支援者ら約 100 人が参加しました。

吉川さんは高知医療センターの元病院長で、現在は土佐希望の家医療福祉センターの施設長を務めています。高知県感染症対策協議会の会長として、新型コロナウイルス対策にも取り組んでいます。

「いい」と思うことだけを突き詰めず、逆の面も考えてみましょう

講演では、コロナの第 5 波と対策について解説した後、子育ての話へと移りました。(コロナについて詳しくはこちら

子育てのアドバイスとして、吉川さんはお父さん、お母さんに「ほどほど」「よい加減」を呼び掛けてきました。バランスを取るには「長所と短所、物事の二面性を考えることが大事」と説明します。例えばこちら。

・早く…ゆっくり

・頑張る…休む

・効率よく…無駄、隙間

・ポジティブ…ネガティブ

・信じる…疑う

・優しさ…厳しさ

・ちゃんと、きちんと…いい加減=よい加減

 

例えば、親が子どもに言ってしまう「早くしなさい」という言葉。「誰にでもだらだらしたい日もあるし、無駄な時間も大切」と吉川さんは語ります。「ポジティブがよく、ネガティブはいけないと思われますが、ネガティブな考えによって、ポジティブで突っ走りそうなことにいいブレーキがかかることもありますね」

「いい」と思うことだけを突き詰めるのではなく、逆の面も考えてみることが、うまくバランスを取るきっかけになります。

父親としてはストライクゾーンが狭く、怒っていました

吉川さんは岡山県倉敷市の出身。「田舎で育った」そうです。講演では「幼稚園、小学校の時はよく忘れ物をした」「高校の最初のテストは 460 人中 320 番でぼろぼろ」「医師になりたいという強い気持ちはなくて、大学の第 1 志望は医学部、第 2 志望は工学部だった」と意外なエピソードも披露。「僕の人生は全くいい加減なんです」と笑います。

家庭では 5 人の子どもを育て、今では孫が 8 人。「気力、体力は十分でしたから、仕事第一で家はほったらかし。父親としてはストライクゾーンが狭く、しばしばキレて、子どもに怒ってました。おしりぺちんもしました」

孫に対しては「親とは違う立場で受け皿になっている」そう。「人は時間と経験によって、考え方が変化します。柔らかくなるし、厳しさよりも優しさが増してきたと感じます」

自身の経験も踏まえ、吉川さんは「子育ては親育ち」と語ります。

「子育ては予定通りには進みませんし、子どもは自分がやりたいこと、楽しいことを繰り返します。『汚さないで』と言っても汚します。言っても分からないし、理屈ではないんですね」

「人は歩き始めの頃、転んでも何度も立ち上がって練習して、上手に歩けるようになる。その間、親は待たないといけません。忍耐力が必要ですが、『子どもに絶対的に頼られている』ということを自覚し、自分の大切さを感じてほしいと思います」

人には、ありのままの自分を認めてもらえる人が必要です

よりよい親子関係を考える例として、吉川さんは学校で問題行動を繰り返していたある子どもを紹介しました。

「掃除の時に友達とけんかするなど、何度も問題を起こすんですね。よくよく聞いてみると、先生から「けんかしてはいけない」と頭ごなしに叱られていることが分かりました」

けんかには「友達が先にちょっかいを出してきた」など、その子なりの理由がありました。吉川さんは問題行動を起こした理由を聞くことを先生に助言。繰り返し話を聞くことによって、問題行動は減っていきました。

こうした悪循環は、親子関係でも起こります。

問題行動を起こす…友達とけんかをした!

親は「困った子だ」「手に負えない」と感じる

問題行動の結果だけを見て叱責する…「友達とけんかしたらだめでしょう!」

子どもは「自分を認めてもらえない」と感じる

子どもが反抗する、もしくは自信や意欲が低下する

親はイライラし、落ち込む

次の問題行動が起こる

 

 

「親だって子どもに感情をさらけ出していいし、怒ってもいい」。吉川さんはそう語った上で「問題行動を起こした理由をその都度、しっかり聞くことが大事」と呼び掛けました。

さらに、「人にはありのままの自分を認めてもらえる人が必要」ということで、提案した「プラスの親子関係」がこちら。

子どもの行動を客観的に見る

子どもの好ましい行動に注目する…友達にちょっかい出されてもすぐにやり返さず、ちょっと我慢できているな

好ましい行動を褒める…「けんかの前に友達にちょっかい出されたんだね。少し我慢できたのはよかったと思うよ」

好ましい行動が増え、問題行動が減る

子どもの自信、意欲が増す。反抗が減る

親の心が安定する

 

「褒める」という行為には、「刺激の多い現代において、的確によい行動を意識させる効果がある」とのこと。親としては「成果を焦らず、でも諦めない」という姿勢が大事だそうです。

「よりよい」ではなく、「普通」でいいんです

子育ての目標は人それぞれ異なりますが、「たくさんの育児情報に振り回され、かけ離れた目標を立てると、親も子も疲弊します」。吉川さんは次の二つを提案しました。

・健康で社会生活ができる人を育てる

・今生きていることを幸せと思える人生を送る

 

小児科では風邪を引いた子どもを連れてきたお母さんが「私の責任」と打ち明ける場面があるそうです。「子どもが風邪を引くことは当然。きちんと治療して回復すればいいし、風邪を引くことで抵抗力ができる。お母さんの責任ではない」。その上で、こう語り掛けました。

「『よりよい生活』ではなく、『普通の生活』でいい。『より健康』ではなく、『ほどほどの健康』でいい。『よりよい子育て』『完璧な子育て』を『もっと、もっと』と求めるのではなく、『よい加減』でいいんです」

「人間には苦労や失敗も必要で、それによって達成感が味わえます。親も悩みながら精いっぱい生きていることを見せればいい。子どものために我慢するのではなく、子どもと一緒に楽しい時間を過ごしてください」

この記事の著者

門田朋三

門田朋三

6歳と2歳の娘がいます。「仲良し」と「けんか」の繰り返しで毎日にぎやかです。あだなは「ともぞう」。1978年生まれ。

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