くるくる回る、まねっこする…子どものテンションわしづかみ。夢中になる遊びには4つのコツがあった!|「みやもっち体育」で運動遊びをやってみよう
夢中になる遊びのコツをみやもっちが伝授します
「運動遊び」を通して高校生と園児が交流する授業が 2024 年 11 月 27 日、春野高校(高知市春野町弘岡下)で行われました。
高校を訪れたのは、「みやもっち体育」の生みの親である宮本忠男さんと、杉の子せと幼稚園の年少児 32 人。
「やってみよう!」
宮本さんの声かけで始まった高校生と子どもたちの交流授業には、幼児期の温かい心をはぐくむ大事な遊びの要素が詰まっていました。
子どものテンションをわしづかんで、はじける笑顔を引き出すためにはちょっとしたコツが。
これを高校の授業で学べるなんてうらやましい…!
子育て世代の私たちが今すぐ実践できる遊びのコツとは?小学生の子どもを育てるココハレ編集部員が交流授業の様子を通じてお伝えします。
目次
初めてづくしの授業がスタート
「みやもっち体育」は土佐清水市出身の幼児体育講師である宮本さんが提唱している幼児体育です。運動遊びを通して子どもたちに体の基本的な使い方を教えるメソッドは高知県内の幼稚園や保育園で取り入れられています。
春野高校でもこれまで様々な取り組みをしてきました。
「前転」につながる運動遊びとは?(2021 年 12 月)
子どもの「有能感」を育もう(2022 年 10 月)
今回の「みやもっち体育」は「初めて」が 2 つ。
1 つ目は「みやもっち体育」として初めて、高校生自身で遊びのアイデアを出す授業をすること。
2 つ目は高校生たちにとって、これが初めて子どもと交流する授業であること。
参加する高校生は保育や福祉を学ぶ「生活クリエイト系列」の 2 年生 31 人です。「保育基礎」の授業を通して子どもの成長を促す運動遊びを学びます。
初めてづくしの授業に、宮本さんも「今日は何が起こるかわからないですよ!」とわくわくしながら臨みました。
高校生と子どもがペアを組み、いよいよ「みやもっち体育」の始まりです。
「こうしてほしい」が通じない…やってみるから反応が分かる
宮本さんが最初に行ったのは、太鼓に合わせてジャンプしたり、くるくるとまわる運動遊び。
太鼓のテンポがどんどん早くなって子どもたちは「きゃー!」とおおはしゃぎ。
宮本さんが「おへそとおへそを合わせてみよう」「次はお尻を合わせてみよう」と高校生たちに指示を次々と出しますが、早くなるテンポにテンションが上がる子どもたちはもはや制御不可能。
「おしり!おしり合わせるんだよ。おしりーーー!」
やりたいのにできない…早速困っている高校生もちらほら。
ビニール袋、長い棒…遊びが次から次へと生まれてきます
次に宮本さんが配ったのは 1 枚のビニール袋です。
まずは全員で、高いところからふわふわ舞い落ちるビニール袋をキャッチする遊びをやりました。
「ほかにもいろんな遊びができそうじゃない?やってみよう!」と宮本さん。
しっぽ取りのような遊びや、クシャクシャとビニールの音を出す遊び、風船のようにビニール袋を膨らませてたたく遊びなど、教室のいたるところで新しい遊びが生まれてきました。
ここで「みやもっち体育」でおなじみのアイテム、スポンジでできた長い棒が登場。
だんだんコツをつかんできた高校生たち自らで遊びを考案します。
折り曲げてトンネルを作ってみたり、引っ張り合って力比べをしてみたり。
「この長い棒で何ができる?やってみよう!」という宮本さんの一言で、高校生は子どもたちの「楽しい!」「やってみたい!」という声を次々と引き出していきます。
「なるほど!」「こう来たか!」子どもの反応に合わせて遊ぶように
子どもたちと打ち解けた高校生たちの顔はすでにお父さんとお母さんのよう。
「お父さん、お母さん!今からおすしを配るよー」
渡されたのは色とりどりのペットボトルキャップです。キャップの裏におすしのシールが貼られています。
もう宮本さんのヒントはほとんど必要ありません。高校生たちはキャップを渡されたと同時に「どうやって遊ぼう?」と子どもの反応を見ながら自分たちで考え始めます。同じすしネタがそろうように神経衰弱をしてみたり、高く積み上げる競争をしてみたり。
「なるほど!」「こう来たか!」と子どもたちの反応を見ながら遊ぶ信頼関係ができてきたようです。
トンネルをくぐった先にはとびきりのプレゼント。スキンシップで深まる仲
授業はいよいよクライマックスへ。
長い布でひらひらとはためくトンネルを作って「よーいどん!」
その中を子どもたちが笑顔で駆け抜けます。
ゴールした子どもを抱き上げて次々と運んでいく…はずでしたが、抱っこしたまま離したくない高校生。子どもの重み、あたたかさにぐっときた様子。
そろそろお別れの時間です。
言語化できないから…子育ては想像の10倍以上大変だ
今回高校生たちが一番最初に戸惑ったのは、「このように動いてほしい」というこちらの意図が通じないこと。
お尻同士をぶつけたくても、お尻を向けてくれない。しゃがみたいのに、しゃがんでくれない。
子育ては想像の 10 倍以上大変だ…
「たとえば、高校生のみんなはどうやってストレスを発散する?」
「私は自転車に乗って大声で歌います!」
「じゃあ言語化できない幼児の場合はどうする?自転車は一人では乗れないし、カラオケもできないし」
宮本さんは高校生たちに重ねて問いかけます。
「幼児の『本当はこれをやりたいのに』『私にかまってよ』というストレスはどうすればいいんだろう?」
高校生たちはすでに、その答えに気がついていました。それは遊ぶこと。
幼児期の温かい心をはぐくむ遊びこそが優しさなのだと宮本さんはつけ加えます。
【最後に】はじける笑顔の理由はこれ!子どもを夢中にさせる4つのコツ
「みやもっち体育」では子どものテンションが上がる瞬間が幾度となくありました。
例えばこんな場面。
何気なく遊んでいたこれらの場面の中に、実は幼児期の温かい心をはぐくむ遊びのコツが 4 つ含まれていました。
そのコツとは…競争、模倣、偶然、めまい。
①よーいどん!!=競争
②楽しそうだから一緒にやってみよう=模倣
③同じすしネタがそろったらラッキー!=偶然
④目が回る~=めまい
だったのですね。
どれも今回の運動遊びに入っていた要素で、温かい心をはぐくむ遊びとはこういうものだということを身をもって体験した高校生たち。
この体験が進路選択の場面だけでなく、これからの人生でずっと役に立ちますように。
宮本さんは「なじみのない場所では子どもたちはなかなか遊べないもの。初めての場所でも信頼関係ができたのは、みんな笑顔だったから。楽しい場所になってよかった」と初めての企画をほっとした表情で振り返っていました。
雨でやることがないとき、公園の遊具で遊び尽くしたとき…「さて、これから子どもと何しよう?」という場面に直面したときに思い出してほしい!
輪ゴム、タオル、マグネット…身近なものを使って応用できるのもうれしい「みやもっち体育」。幼児期を過ぎた我が家でも実践中です。
ココハレでは宮本さんへのインタビューを紹介しています。
【ココハレインタビュー】幼児体育講師・宮本忠男さん|子どもたちに大人気「みやもっち体育」とは?