子どもの身体能力、把握できていますか?|バランス、筋力、柔軟性、筋持久力…家庭で測定する方法を「子ども運動教室」で聞きました

暑さが和らぎ、ようやく外遊びのできる季節がやってきました。そこで、あらためて気にしてあげたいのが子どもの身体能力。うちの子は何が得意で、何が苦手?何を伸ばしてあげたらいい?
そんな疑問に応える「子ども運動教室」が高知健康科学大学・土佐リハビリテーションカレッジとオーテピア高知図書館のコラボ企画として開かれました。
バランスに筋力、柔軟性、筋持久力。家庭でもできる測定方法を紹介します。
目次
高知健康科学大学とオーテピアのコラボ企画です
「子ども運動教室」は 2025 年 9 月 23 日、高知市追手筋 2 丁目のオーテピアで開かれました。
高知健康科学大学・土佐リハビリテーションカレッジとオーテピアはコラボ企画を毎年開催。運動体験と運動に関する本の紹介を組み合わせて、体を動かす楽しさやこつを伝えています。
今年は子どもたちに自分の体の状態を知ってもらおうと開催されました。ガイドは作業療法学専攻の講師で認定作業療法士の稲富惇一さんです。




参加した子どもたちが測定した項目と、データの目安を紹介します。

【バランス】かかとを固定し、手を前に伸ばします
稲富さんによると、バランス能力には「静的バランス」と「動的バランス」があります。
静的バランスはその場で止まった状態で取るバランスのこと。片足立ちなどが挙げられます。
動的バランスは、動きの中で体を最適なバランスに保ち続けること。遊びやスポーツの基礎となります。今回は動的バランスを測定しました。
やり方は簡単。壁などを背に立ち、かかとを固定します。利き手で拳を握り、前に真っすぐ伸ばした状態がスタート地点。かかとを動かさずに、そのまま前に倒れます。利き手の拳が前に移動した長さを測ります。


ぐらぐらしないようにおなかに力を入れて、限界まで伸ばしてください。

腕を伸ばした長さの平均値がこちら。
- 6 歳:女子 16 ㎝、男子 15 ㎝
- 7 歳:女子 17 ㎝、男子 19 ㎝
- 8 歳:女子 21 ㎝、男子 20 ㎝
- 9 歳:女子 22 ㎝、男子 22 ㎝
- 10 歳:女子 22 ㎝、男子 22 ㎝
- 11 歳:女子 22 ㎝、男子 24 ㎝
- 12 歳:女子 22 ㎝、男子 24 ㎝
【柔軟性】体の柔らかさはけが防止につながります
体の軟らかさを確認する「柔軟性」のエリアでは、子どもたちが膝を前に伸ばして座り、機器を前に押していました。
背中と腰を壁に付けて両腕を前にぴんと伸ばした状態がスタート地点。機器が前に移動した長さを測りました。



体の柔らかさは、けがの防止につながるそうです。
機器がない家庭でも、物差しを使って測定できます。段ボールで手作りすると、子どもが喜びそうですね。

両腕を伸ばした長さの平均値がこちら。
- 6 歳:女子 28.75 ㎝、男子 27.28 ㎝
- 7 歳:女子 31.42 ㎝、男子 28.91㎝
- 8 歳:女子 33.95 ㎝、男子 29.98 ㎝
- 9 歳:女子 36.13 ㎝、男子 32.26 ㎝
- 10 歳:女子 39.88 ㎝、男子 34.09 ㎝
- 11 歳:女子 40.55 ㎝、男子 36.02 ㎝
- 12 歳:女子 43.28 ㎝、男子 40.85 ㎝
【筋力】助走なしの両足跳びでジャンプ!
「筋力」のエリアでは、両足ジャンプで前に跳んだ長さを測りました。
両足ジャンプは助走なし。1 回目に練習して感触をつかみ、2 回目を測定していました。




筋力は遊びやスポーツでの瞬発力につながるそうです。平均値はこちら。
- 6 歳:女子 107.81 ㎝、男子 116.08 ㎝
- 7 歳:女子 121.75 ㎝、男子 128.87 ㎝
- 8 歳:女子 129.89 ㎝、男子 138.60 ㎝
- 9 歳:女子 143.71 ㎝、男子 148.84 ㎝
- 10 歳:女子 149.20㎝、男子 156.87 ㎝
- 11 歳:女子 158.10 ㎝、男子 166.85 ㎝
- 12 歳:女子 166.70 ㎝、男子 185.27 ㎝
【筋持久力】あおむけのダンゴムシポーズで30秒キープ!
最後に「筋持久力」のエリアです。ひっくり返ったダンゴムシポーズで測定します。
あおむけに寝転び、膝を抱えるように曲げ、足をクロスさせます。腕は胸の前でクロス。頭を持ち上げ、キープします。
時間の目安は全年齢で 30 秒。ぷるぷる震えながら頑張っていました。


筋持久力とは、筋肉が繰り返される負荷に耐えられる能力のこと。不足していると、疲れやすくなります。
「授業中や食事中にすぐ姿勢が崩れる」という場合、単に「姿勢が悪い」ではなく、筋持久力が原因かもしれません。
稲富さんは「筋持久力がないため、筋肉を使わずに骨で座っている子どもがいます。『姿勢が悪いな』と感じたら、一度測定してみてください」と話してました。

【平均値より低い場合は?】遊びの中で体力、筋力をつけてあげましょう
家庭で測定できる四つの項目、いかがでしたか?今回の記事では目安として、平均値を紹介しました。
わが子の数値が平均値を下回っていると心配になりますが、稲富さんは「あくまで、お子さんの得意なこと、苦手なことを把握するための目安です」と呼びかけました。

平均値を下回っていても、平均値を超えるためのトレーニングは必要ないそうです。
「遊びを通して体を動かすことで、体力や筋力は自然と向上します。暑さが和らぎ、外遊びができるようになってきました。お父さん、お母さんは大変だと思いますが、秋から春にかけては外遊びをたくさんさせてあげてください」


「うちの子、運動が苦手」「不器用」といった悩みは最近増えているそうです。日常生活に支障がある場合や、子どもが困っている場合などは対応が必要です。
「最初は保健センターや子育て支援センターへの相談がいいと思います」と稲富さん。「小さいお子さんの場合は乳幼児健診の際にも相談してみてください」
「子ども運動教室」では運動に関する書籍が紹介されました。体の仕組みや栄養についての本以外に、絵本や児童書も並んでいました。
物語も体を動かすきっかけになりますね。親子で外遊びを楽しんでいきましょう!




この記事の著者
