学校の飼いウサギ〝絶滅〟の危機!高知県内は野市東小のみ|週刊高知の子どもニュース(2023年1月1~8日)
2023 年、うさぎ年がスタートしました。高知の子どもたち、ぴょんぴょん跳ねる飛躍の年にしたいですね。
昔は多くの小学校で飼育されていたウサギが“絶滅”の危機にひんしています。高知県内の 34 市町村の教育委員会に問い合わせたところ、ウサギを飼育していると答えたのは、香南市の野市東小学校だけでした。小学校で何が起きたのでしょうか。
2023 年 1 月 1 ~ 8 日に高知新聞に掲載された子どもたちのニュースをお届けします。
目次
卯年ですが…学校の飼いウサギ〝絶滅〟の危機!高知県内は野市東小のみ 鳥インフル、教員多忙・・・
(高知新聞 2023 年 1 月 3 日掲載)
かつて高知県内の多くの小学校ではウサギが飼育されていた。読者の中にも、飼育委員だった人は少なくないだろう。ところが卯(う)年を迎えた今、学校現場のウサギは〝絶滅〟の危機にひんしている。昨年12月、県内34市町村の教育委員会に問い合わせたところ、ウサギを飼育していると答えたのは、野市東小学校(香南市野市町中ノ村)だけ。小学校で何が起きたのか。
野市東小のウサギ小屋は校舎の玄関脇にある。中をのぞくと、金網で仕切られた2部屋で、寄り添うように2匹が暮らしていた。真っ黒な毛の雄がココア、白と茶色のまだら模様の雌がミルク。ともに体長約30センチで、体重は1キロちょい。今月で4歳になるという。
「心が温まる」
月―金曜の世話は5、6年の飼育委員10人で回す。うち2人が、昼休みか放課後に餌やりや小屋の掃除などをする。
「最初は汚いと思ったけど、もう慣れた。今はきれいにしてあげたい」と委員たち。6年の田中康太郎君(12)は「ココアとミルクは仲良し。網越しに顔を寄せ合って、キュンキュンって何か話しゆう」と目を輝かせる。
児童によると「ココアは怖がりで、ビックリしたらすぐ部屋に入る」「ミルクはいつも元気いっぱい。走り回ってる」。ウサギはストレスに弱いため、生徒が抱くことはないが、おやつを手に乗せて食べさせたり、背中をなでてあげたり。「ふわふわで気持ちいい。心が温まる」「目がクリクリで、鼻をヒクヒクさせるしぐさがかわいい」と目を細める。
飼育担当の教員によると以前、こんなことがあった。ある日、2匹の食べ残しが多く、ふんが少ないことに飼育委員の児童が気付いた。教員が動物病院に連れて行くと、奥歯が伸び過ぎていた。頬を突き刺す恐れがあり、以来定期的に歯を切っている。「人や動物をいたわる優しい人になってほしい」という同校の願い通り、児童の発見がウサギを救ったわけだ。
アレルギー対応も
県教委や各市町村教委には、ウサギの飼育校数などの資料は残っていない。いつ、どれぐらいの数が飼われていたかは分からない。ただし、多くの関係者は「昔はだいたいどこの学校でもおった」「ここ15、16年の間に激減した」と口をそろえる。
なぜ減ったのか。
それぞれが口をそろえたのが、2004年に国内で初確認された鳥インフルエンザの影響だ。毎年のようにどこかでニワトリが感染し、そのたびに殺処分されてきた。厚生労働省の資料によると、鳥インフルはウサギにも感染するため、学校側は「何かあってからでは遅い」とする。
近年は動物アレルギーの児童への対応も叫ばれるようになった。さらに、土日や長期休みには教員が面倒をみる必要もあることから、教員の負担減への流れも、飼育減を後押ししたようだ。ウサギ同様、ニワトリを飼う学校も減り、今では高知市の高知、安芸市の土居、奈半利町の奈半利、津野町の中央の4小学校にしかいない。
野市東小の運動場の隅には先代のウサギ、チョコとバニラが眠る墓がある。19年の夏休み中に天寿を全うした。
教員が埋葬したが、児童が「お墓を作りたい」と墓標を建てた。子どもたちが置くのだろう。季節ごとに、知らぬ間に野花やどんぐりなどが供えられているという。同校は「ウサギと触れ合い、命を預かる重み、尊さを知ってほしい」と、これからも飼育を続ける方針だ。(加治屋隆文)
新春はアーケード疾走から!高知市の体育始め式に150人
(高知新聞 2023 年 1 月 4 日掲載)
新春恒例の「高知市体育始め式」が3日、同市帯屋町のアーケード街で開かれ、老若男女約150人が新年の健康を願いながら、走り初めで心地よい汗を流した。
「体育始め式」と書かれた横断幕を先頭に、少年野球チームのユニホーム姿の子どもらがアーケード西側から往復約1・3キロのコースを走った。バレーボールの鴨田スポーツ少年団で参加した鴨田小5年、浜田麻斗君(11)は「去年は全国大会に行けなかったので、今年はうまくなって全国に行く」と目標を語った。
高知城周辺ではクロスカントリーも開かれ、約1・3キロのコースを小学生37人が駆け抜けた。
男子の部で優勝した春野東小6年の上岡輔来(たすく)君(12)は「去年は4位。優勝できると思ってなかったからうれしい。将来は箱根駅伝に出て活躍したい」。女子の部優勝は、高知市の母の実家に帰省していた大阪府箕面市の3年、山田恵真さん(9)。上級生を抑える快走で「坂道がきつかったけど一生懸命走った。また来年頑張りたい」と話していた。
高知市などが毎年開催。新型コロナウイルス対策で昨年に続き予約制となった。(加治屋隆文)
ガラスの天井が消えた? 女子の生徒会長が存在感 高知県内公立中98校に45人…校長「10年で増えた印象」―変わる学校
(高知新聞 2023 年 1 月 6 日掲載)
高知県内中学校の生徒会長は男女どちらが多いのか―。高知新聞が全98校(分校、私立校除く)に確認したところ、ほぼ同数という結果になった。過去の記録がないため比較できないものの、複数の校長は「昔はどこも男だった」「ここ10年で女子が増えてきた印象」と口をそろえる。「小さな社会」と呼ばれる学校で、女子の存在感が増しているようだ。
多くの中学校では2学期末が生徒会役員の改選期。本紙はこれに合わせて、新旧の生徒会長の性別を尋ねた。
この結果、2022年4月時点で男子53人、女子45人。新体制の23年1月5日時点(6校は今後改選)で男子50人、女子42人だった。このうち高知市では22年4月が男子5人、女子17人。23年1月時点(南中は改選なし)で男子13人、女子9人となっていた。
昨年12月中旬、高知市の城東中では体育館に集まった全校生徒を前に、唯一の立候補者が登壇した。
2年生の伊藤陽彩(ひいろ)さん(14)。1年時に副会長を務めた経験から「学校をつくり、担っていくという責任感と、それを上回る圧倒的な楽しさを感じた」と出馬の理由を語り、「校則の中で必要ないものはどんどん変える。クラスマッチなどの行事も復活させる」。原稿を読むことなく、生徒一人一人の顔を見渡して堂々と訴え、会長に信任された。これで3年連続で女子が生徒会長を務めることになった。
大谷俊彦校長は「昔は野球部とかのリーダーが支持されていたけど、今の男子はシャイ。女子の方が大人の考えができて積極的」。生徒会全体を見ても役員10人のうち、これまでは男子が2人だったが、新体制では1人という。
ほかの学校長や教員も、「女子が生徒会長と聞いて驚くこともなくなった」「リーダーシップを取れる子が増えた。体育大会のリーダーも女子」「女子は発言力があり、活発に前に出てくる」「男子の幼さが加速した印象」と語る。
その背景として、ジェンダー平等の学習が進むなどしてきたことを挙げ「『女子は一歩引いて』はもうない。生徒会長=男というイメージもない」「女だから、男だから、というより自分自身が活躍したい思いが芽生えている」と語った。
県教委小中学校課の今城純子課長は「性差はあっても能力に差はない。小学校からそう学習しているから、その意識が浸透している」とし「出席番号も昔は男子が先だったけど、今は関係ない。呼び名も『君』じゃなくて『さん』に統一した。あとは、女子がしゃきしゃきしている県民性もあるのかな」と話した。
翻って大人の社会では、女性の社会進出を阻む「ガラスの天井」の存在が指摘され続けている。
地方自治体の長の性別を問うた共同通信の調査(昨年10~11月)によると、全国1741市区町村で女性は43人と、わずか2・5%だった。その1人、いの町の池田牧子町長(2期目)は「町長選に立候補した時、『女に何ができる?』と言われたこともあった。悔しかったけど、何でもできると今までやってきた」とし、次代を担う中学生に「『男女の差』なんて言われることもなく、何にでもなれる時代。夢や希望に向かって、やりたいことをやりきって」とエールを送った。(玉置萌恵)
秋葉まつり3年ぶり本格開催へ 太刀踊り・鳥毛ひねり稽古開始 仁淀川町
(高知新聞 2023 年 1 月 8 日掲載)
土佐三大祭りの一つに数えられる仁淀川町の秋葉まつりは2月、3年ぶりに本格開催を予定している。新型コロナウイルス感染防止のため過去2年は規模を縮小していたが、7日には久々の本番へ向けた稽古「ならし」が同町内でスタート。子どもらが地域の大人の指導で、太刀踊りなどの練習に励んだ。
秋葉まつりは毎年2月9~11日、同町別枝地区の秋葉神社の祭神が、岩屋神社や市川家といったゆかりの地をみこしで巡る。2021、22年は総勢約200人の行列や道中で披露する太刀踊り、毛やりを投げ合う鳥毛ひねりなどを自粛。祭神も簡素な唐櫃(からひつ)で粛々と運んだ。
この日は、太刀踊りなどを披露する別枝地区3集落(本村、沢渡、霧之窪)の奉納組が稽古を一斉に開始した。沢渡組は沢渡多目的集会施設で地元の大人たちが児童12人に、太刀踊りを手取り足取り指導。今年初めて踊る別府小学校3年の池川大和君(9)は「難しいけど、楽しい。地元の大事なお祭りやき、本番では間違わずにやりたい」と懸命に舞っていた。
屋外では、花形の鳥毛ひねりの稽古も。初の大役を担う中田英明さん(28)は「不安でいっぱいやけど、下手な鳥毛をやるわけにはいかん」。長さ7メートル、重さ5キロの毛やりを投げてはつかむ動作を確認していた。
秋葉神社祭礼練り保存会の片岡和彦会長(70)は「縮小を続けたら、奉納行事の継承が難しくなる。今年はしっかりやりきらないかん」と意気込んでいた。片岡会長は密集を避けるため、「苦渋の判断だが、本番の見学は控えてほしい」としている。(楠瀬健太)
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