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泣きたい時にはいっぱい泣いて|土居寿美子さんコラム「こころのとびら」④

泣きたい時にはいっぱい泣いて|土居寿美子さんコラム「こころのとびら」④

利用者の気持ちに寄り添う支援を。高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」理事長、土居寿美子さんのコラムです

わが子との毎日。穏やかに、楽しく過ぎる日もあれば、うまくいかず、イライラしてしまう日もありますね。子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。

ココハレのコラム「こころのとびら」では、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営する特定非営利活動法人の理事長、土居寿美子さんが執筆を担当します。土居さんはいるかひろばで 10 年以上にわたり、たくさんの親子に寄り添ってきました。「ご飯を食べてくれない」「おむつが外れない」「また怒り過ぎてしまった」…。そんな悩みを打ち明ける保護者とのエピソードをもとに、わが子への関わり方を紹介します。

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自分のしんどさに、気付いていますか?

この夏は、「酷暑」という言葉がぴったりの暑さでしたね。新型コロナウイルスの感染も続いていて、終息の予想はおろか、「もしかしたら、このウィルスとずっと付き合いながらの生活になるのかもしれない…」と想像してしまいます。

自分のことだけに集中できる方にとってもしんどい状況です。子育てをされている方はいつも以上にストレスがかかっているのではとお察しいたします。毎日本当にご苦労さまです。

 

ストレスがかかる毎日が続き、自分がしんどいのか、そうでもないのかということさえ分からなくなってしまう。そんな方もたくさんおられるのではないでしょうか。

いるかひろばでも、自分のしんどさに気付かず、日常の様子を話されていくうちに涙を流す方がいます。「大人なのになんで泣くの?」「そんなことで泣くの?」と思う人もいるかもしれませんね。泣きたい方がいたら、私は「いっぱい泣いてください」と伝えています。どうぞ素直に、感情のありのままを出していただきたいと思います。

 

■ともこさん(仮名)… 30 代のお母さん

普段は家で 2 人の子育てをしているというともこさん。たまにいるかひろばに遊びに来ていました。来られた時は、子どもたちと静かに過ごしています。

ある日、「上の子が最近下の子に手を出すんです」と話し始めました。

「下の子をたたいたり、ちょっかいを出したりするようになって…」

「下の子が生まれるまでは、子育てがあまりしんどいとは思わなかった」

ひたすら傾聴していると、「あれ…?なんで…?」と、ともこさん。その目から涙があふれました。「いっぱい泣いてくださいね」。私はしばらく背中をさすり、安心して泣いてもらいました。

ともこさんは、しんどい気持ちを打ち明け、たくさん泣きました。「泣くなんて思わんかった」「でも、なんかすっきりした…」。「話せてよかった」と笑顔で帰って行きました。

 

きっと、心の糸が張り詰めていたのだと思います。

きょうだいでの毎日にトラブルはつきもの。一緒に遊んだり、けんかしたりしながら、お互いに成長していきます。

ですが、毎日家で過ごし、トラブルに対応するお母さんは大変。イライラも募ってきます。お子さんの機嫌の悪い時ほど、いるかひろばに来ていただけたらなと思います。

後ろから「おかあさーん!」。甘えられてうれしくもあり、時には負担にもなり…(写真と本文は関係ありません)
後ろから「おかあさーん!」。甘えられてうれしくもあり、時には負担にもなり…(写真と本文は関係ありません)

ともこさんのように、何げない日常の話をする最中に「あれ、どうして涙が出るがやろう?」とおっしゃる方はたくさんいます。「いるかひろばの駐車場に車を止めた瞬間に涙が出ました」と話す方もいます。皆さん、泣きながら話をされた後には「すっきりしました」と笑顔になります。

子育てにはエネルギーがいります。子どもの成長を目の当たりにできてうれしいこともたくさん!でもそれと同じように、しんどいこともまたたくさん!その思いをシェアしてくれる誰かがそばにいてくれたら、気持ちは少し楽になるかもしれません。

 

子どもは泣くことで、自分の感情を訴えます。赤ちゃんはもちろん、言葉が話せるようになっても、自分の感情を上手に話すことはまだまだ難しいです。でも、ある程度大きくなった子どもが泣くことを、あまりプラスに思わない大人が増えているように思います。

「Aちゃんまだ泣きゆうかね」

「そんなに泣かれん」

「男やろ?泣いたらおかしいよ」

泣いている子どもにそんなふうな言葉を掛ける場面を見るたびに、あやしたり、なぐさめたりしているように見えて、実は大人の思いを子どもに伝えているだけのような気がしてなりません。「この子がなんで泣いているのか」ということを考え、その時の気持ちの代弁をしてあげることができていないように思うのです。

いるかひろばでは、例えば、遊んでいるおもちゃをお友達に取られて泣いている子どもがいたら、「嫌やもね」「まだ遊びたいもんね」「(おもちゃを持って行った)Aちゃんに『返して』って言ってみる?」など、子どもの気持ちを想像しながら声を掛けます。この声掛けが、コミュニケーションの取り方を身に付けることにつながります。

「代弁」とは自分の感情を上手に話せない子どもの気持ちを想像して言葉にすることで、「今まで遊びよったろ?もうAちゃんに貸しちゃりなさい」などと大人の思いを伝えることではないと、私は思います。

 

子どもが泣いて自分の思いを出しているのであれば、十分に吐き出させてあげることが大切です。それは、大人だって同じです。いろんな感情を抱え、本音もなかなか言えないまま生活していたら、気持ちがいっぱいいっぱいになります。

泣きたい気持ちの時は、どうぞいるかひろばに愚痴をこぼしに来てくださいね。

 

 

土居さんに相談したい場合は、「いるかひろば」に問い合わせをしてください。

高知市地域子育て支援センター「いるかひろば」はこちら

土居さんへのインタビューはこちら

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この記事の著者

門田朋三

土居寿美子

高岡郡梼原町出身。保育士として2005年から高知市の港孕保育園に勤務。07年から、港孕保育園内にある地域子育て支援センター「いるかひろば」の常勤スタッフとして、親子に寄り添った支援に取り組んできました。2019年11月に特定非営利活動法人いるかひろばを立ち上げ、理事長に。2020年から、いるかひろばをNPOとして運営しています。趣味はバレーボール。洋服やケーキなど何かを作ることも好きです。好きな言葉は「一所懸命」。

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