子どもの歯磨き、どうしていますか?|土居寿美子さんコラム「こころのとびら」⑧
子育て支援センター「いるかひろば」の土居寿美子さんが子どもへの関わり方を紹介します
子育てで困った時、悩んだ時、相談に乗ってくれるのが地域子育て支援センターです。
コラム「こころのとびら」は、高知市の地域子育て支援センター「いるかひろば」を運営する特定非営利活動法人の理事長、土居寿美子さんが執筆。たくさんの親子に寄り添ってきた経験から、わが子への関わり方を紹介します。
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親心?!
子どもの成長の中に「イヤイヤ期」があります。何を言っても、何をしても「イヤ!」。子育てを経験された方はいろいろと思い出すのではないでしょうか?
いるかひろばでも、子どもの「イヤイヤ」についてよく相談が寄せられます。その中でも「歯磨き」に苦労しておられる方がとても多いです。毎日、ご苦労さまです。
実は、私は子どもの頃、とても虫歯がありました。歯医者さんに行くのもすごく嫌で、痛くてつらい経験を何度となくしてきました。だから、わが子の歯磨きには熱を込めて関わっていました。「同じ経験をさせたくない」という親心から、押さえつけて磨いていました。
当時は一生懸命だったのですが、今思えば「子どものため」と言うよりも、「同じ経験をさせたくない」という気持ちの方が勝っていました。虫歯にさせないために強制的に磨くことは、決して悪いことではありません。ただ、子どもに合わせてあの手この手を考える余裕がなかったなと思います。
いろんな経験を重ねてきた今は、歯磨きを「イヤ!」と言うお子さんに合わせたやり方を、利用者と一緒に考えています。
いるかひろばではまず、お母さんにいつものように歯磨きをしてもらいます。「歯磨きするよ~」や「はい、お口開けて~」など声をかけて始める方がほとんどです。子どもは、お決まりのように嫌がります。私は次のように試してみます。
- 「歯磨きするよ~」と言わない
- 子どもに合わせて、気をそらせる。「あれは何かな?」と壁の上に飾っているアンパンマンを指さしてみたり
- 口を開けた時に歯ブラシを動かす
- 磨けたら、「はい、おしまい」「きれいになったね」と声をかけて終了
こうすると、ほとんどの子どもが泣きません。お母さん、お父さんはその光景を見て、きょとんとされています。「家では、あんなに嫌がっていたのに…」「いつもは泣くのに…」
相談のあるケースでは、子どもさんはほぼ 100 %、歯磨きが嫌いです。その場合、「今から歯磨きをします」と予告することは、「今からあなたにとって嫌なことをします」と予告することになります。「歯磨きの大切さを小さい頃から教えたい」という思いがあるかもしれません。でも、お子さんが泣くことがストレスになるならば、今は気をそらす方法でしっかり歯のケアだけをする方がいいように思います。「歯磨きは怖くない」と分かれば、いずれ泣かなくなります。
もちろん、子どもさんの中には、今から何をするのかを説明してから始めた方がいい場合もあります。前回のコラムでもお話ししたように、子どもの個性を見極めて合わせていくことが大切なのです。
歯磨きの対応に困っているお父さん、お母さん、いるかひろばでよろしければ一緒に考えていきましょう。