新型コロナウイルスのワクチンについて、吉川先生に聞きました
新型コロナウイルスのワクチン接種が高知県内でも始まりました。このワクチンは 16 歳以上が対象です。まずは医療従事者に接種し、4 月以降に 65 歳以上への接種が始まる見込みとなっています。
子育て中のお父さん、お母さんへの接種が始まるのはまだ先になりそうですが、効果や副反応についてどう考えたらいいのでしょうか。「教えて!吉川先生」でおなじみの吉川清志さんに聞きました。
コロナワクチン 効果、副反応は 県感染症対策協議会長 吉川医師に聞く
(高知新聞 2021 年 2 月 19 日掲載)
高い有効性 副反応許容範囲
高知県内でも医療従事者への先行接種が始まる新型コロナウイルスのワクチン。4月以降は65歳以上の高齢者への接種が始まる見込みだ。効果や安全性、副反応などについて、県感染症対策協議会長の吉川(きっかわ)清志医師=土佐希望の家医療福祉センター長=に聞いた。(聞き手=山本 仁)
―ワクチンの効果は。
「発症予防の有効性は95%とされている。接種した人は接種しなかった人に比べて発症する割合が20分の1になるということ。インフルエンザワクチンの40~60%よりも高く、有効性は高いと言っていい。一部では重症化を予防する効果もあるというデータも出ている。効果の持続期間は十分なデータがなく、まだ分からない」
―副反応は。
「接種した当日に約8割の人が接種部位に痛みを感じ、2日くらい続くようだ。翌日に頭痛や疲労感が出る人もいるが、これは1日くらいで治まる。海外のデータでは、アレルギー反応の中でも特に重い『アナフィラキシー症状』が100万回のうち11回の頻度で出た。この症状が出ると呼吸困難や血圧低下などで命の危険もあるが、アドレナリンを投与するなど治療法は決まっている。接種場所に15~30分とどまっていただき、早く適切に対応すれば救命できる。ワクチン接種が直接の原因になって死亡した事例はこれまで報告されていないと思う」
―接種を避けるべき人は。
「薬や食物で強いアレルギー反応が起こったことがある人は接種しないほうがいい。事前の問診などでそういう人を除けば、アナフィラキシーが起こる割合も下げることができるだろう」
―接種の意義とは。
「新型コロナの特効薬がない以上、ワクチン接種が感染を収束させる確実な手段になると期待している。だいたい人口の6、7割が免疫を持てば収束していくだろうと言われているので、多くの人に接種してほしい。特に優先接種の対象である医療従事者、高齢者、基礎疾患のある人。新型コロナに感染すると80代以上の人の致死率は10%以上、基礎疾患のある人は6~10%とされている。これらの人は接種のメリットが大きい」
―接種は自己判断。迷う人もいるのでは。
「新しいワクチンなので不安はあると思う。100パーセント安全ということはなく、副反応は一定あるが、ほとんどは数日で治まる。アナフィラキシーはちゃんと準備しておけば乗り越えられる。私は多くの人に接種してほしいが、アレルギー体質などでどうしても接種できない人はいるし、いろんな考えもある。接種しない人をバッシングせず、それぞれの判断を尊重することも大切だ」