「教えて!吉川先生」突発性発疹|突然の高熱の後、発疹が出ます
子どもの病気やけがについて、ココハレかかりつけ小児科医・吉川清志先生が解説します
子どもの急な発熱に「さっきまで元気だったのに…」と焦ったり、病気やけがについてインターネットで調べて、「本当に正しい情報なの?」と迷ったりした経験はありませんか?
「教えて!吉川先生」では、高知県内でたくさんの子どもたちを診察してきた小児科医・吉川清志(きっかわ・きよし)さんが「ココハレかかりつけ小児科医」として、子どもの病気やけがについて解説します。
今回は「突発性発疹」。突然の高熱や発疹への対応を聞きました。
目次
「突発性発疹」とは?
突発性発疹は「突然の高熱」と「解熱後の発疹」が特徴です。38 度以上の熱が 3 ~ 4 日続いた後、顔と体に淡く赤いぶつぶつができます。発疹にかゆみはなく、数日で薄くなります。塗り薬は必要ありません。
熱とともに咳、鼻水、下痢などの症状が出ることも多いです。
どうやって感染しますか?
突発性発疹の原因となるウイルスは「ヒトヘルペスウイルス」の一種です。ほとんどの大人は既に感染していて、体に潜んでいるウイルスが唾液から感染すると言われています。家庭内での感染のほか、保育園での子どもたちの密な接触による感染も考えられます。
昔はほとんどの子どもが 2 歳までにかかっていました。今は大人が箸をつけた食べ物を子どもに与える習慣などが減ったこともあり、感染時期が遅くなり、3 ~ 4 歳でかかる子どももいます。
流行する時期は?
突発性発疹はインフルエンザのような季節性の感染症ではありません。1年を通して一定の数が報告されています。
治療方法、予防方法は?
突発性発疹に直接効く薬はないので、熱・咳・下痢などの症状を和らげる薬を使いながら、自分の力で治るのを待ちます。予防方法も特にありません。多くの子どもがかかる感染症なので、慌てずに対応しましょう。
いつ受診すればいい?
初診では「風邪」と診断され、突発性発疹の可能性についても説明されます。熱が下がった後に出た発疹を確認して、初めて突発性発疹と診断します。発疹が出た段階で熱が下がり、子どもが元気であれば、受診は必ずしも必要ではありませんが、かかりつけの先生にあらかじめ確認しておきましょう。
目安である 3 ~ 4 日が過ぎても熱が下がらない場合や、発疹が出た後も熱が続く場合は別の病気の可能性がありますので、受診しましょう。
熱性けいれんに注意
突発性発疹は生まれて初めての発熱のことも多く、「熱性けいれん」が起こる場合があります。
熱性けいれんは、生後 6 か月から 6 歳の子どもの急な発熱時に起きます。「びっくりしないで」と言っても難しいですが、2 ~ 3 分で収まるなら心配は要りません。初めてのけいれんの場合や、5 分以上続く場合は急いで受診してください。この場合は救急車を呼んでもかまいません。
子どもが不機嫌になる?
突発性発疹を経験した親御さんの中には「ぐずって大変だった」という人もいますが、「熱のわりに元気だった」という人もいます。
熱への反応は、子どもの年齢や体の状態、体質によってさまざまで、熱に強い子もいれば、弱い子もいます。ぐずってしんどいようなら、解熱剤を使って和らげてあげましょう。熱が上がるとしんどくなるのですが、熱が下がると機嫌がよくなり、元気が出るなら、そのままおうちで経過を見てください。
吉川先生より「普通の風邪と同じ対応を」
突発性発疹は乳幼児が初めて熱を出す感染症の一つです。突然の高熱とその後の発疹に驚くと思いますが、風邪の一種です。顔の発疹も自然にきれいになりますので、そのままで大丈夫です。
どの子どもも必ずかかりますので、過度に心配せずに、普通の風邪と同じように対応してください。他の感染症と同じように、「何かおかしい」と感じた時は受診しましょう。かかった後は母子手帳に日付を記録しておいてくださいね。